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第9章 滅亡へ
1話 広島生活
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広島で生活し始めた。鷺ノ宮 芽依として丸菱物流に入社した。
同期は感染症拡大の頃に大学生活を過ごし、消化不良で卒業したような人たち。
将来に夢をもてない人も多いけど、その点では私に似てるかもしれないわね。
私は、入社早々に、同期の橘 唯奈という女性に目が離せなくなった。
自分の好きを知ることで、自分の気持ちを素直に受け入れられるようになったんだと思う。
彼女は、天真爛漫という感じで、いつも、笑っていた。
男性にもそうだけど、女性しかいないトイレでも、いつも明るかったの。
相手の女を自分の下とマウントを取ってくる女性。
男性に少しでもいい顔をすると、男性にだらしないと噂を流す女性。
自分の意見がなく、いつも誰かに同調ばかりしている女性も多い。
でも、彼女は、女性の嫌らしさとか全くなくて、常に周りを明るくしていたわ。
本当に清らかな女性だし、自分の意見をしっかり持ってる。
最初に会ったのは、入社1日目の同じ職場だった。
「緊張するわよね。私、橘 唯奈。同期よね。一緒に頑張ろうね。」
「初めまして。私は、鷺ノ宮 芽依。よろしく。」
「私ね、正直言うと、この会社は男性ばっかりというイメージが強くて、最初は入社するなんて考えてなかったの。でも、化粧品会社とか女性が多い会社、みんな落ちちゃってさ。なんとか入れたのがこの会社なんだけど、大丈夫かな?」
「唯奈って呼んでいい? 大丈夫だよ。唯奈、とっても爽やかだから、みんなから愛されるって。」
「そうかな。なんとなく、やっていける気持ちになってきた。ありがとう。ところで、芽依って、本当に美人よね。なんか同期っていうだけで自慢できそう。」
「また、口がうまいんだから。」
「本当よ。」
それから、ランチは毎日一緒に行くようになったの。
そして、月に1回ぐらいかな、夜、一緒にレストランに行くようになった。
ピザが私達の席に運ばれてきたときに、唯奈は話し始めた。
「芽依は、誰か好きな人がいないの?」
「う~ん。今はいないかな。少し前に、別れちゃって。」
「そうなんだ。芽依はきれいだから、彼なんていつでもできるしね。」
「ねえ、唯奈って、どんな人がタイプなの?」
「そうね、嘘つかない誠実な人がいいかな。」
「私は嘘つかないよ。私なんてどう?」
「それはいいわね。芽依が男性だったら、付き合っているかも。あはは。ところで、営業の酒井くん、かっこいいよね。彼女とかいるのかな。」
酒井くん、人気があって、出世するというもっぱらの噂のある人。
「酒井くんか。人気もあるけど、なんか、何人もの女性に声をかけてるらしいよ。」
「え、そうなんだ。人は見かけによらないね。」
私は、唯奈が酒井くんに取られたくなくて、思わず、ありもしない話しをしちゃった。
人を貶めるような女性にはなりたくなかったのに。
どうしてこんなこと言っちゃったんだろう?
唯奈は、嘘をつかない人が好きだと言っていたのに。
「酒井くんより、素敵な人はきっといるよ。」
「そうかな。でも、騙される前にわかって良かったかも。芽依、ありがとう。お礼でもないんだけど、今度、温泉に一緒に旅行に行かない?」
「いいわね。どこに行こうとしているの?」
「九州の黒川温泉って知ってる? 前から人気があるようで行ってみたかったの。」
「あ、知ってる。行こう、行こう。楽しみ。」
「10月15日とか行ける?」
「大丈夫だと思う。その頃って、紅葉とかきれいそうじゃない。」
「そうだと思う。じゃあ、予約しておくね。でも、彼とか怒らない? なんで僕と一緒じゃないんだよとか。」
「彼いないから大丈夫。唯奈はできたの?」
「まだなんだよね。誰か、いないかな。」
同期は感染症拡大の頃に大学生活を過ごし、消化不良で卒業したような人たち。
将来に夢をもてない人も多いけど、その点では私に似てるかもしれないわね。
私は、入社早々に、同期の橘 唯奈という女性に目が離せなくなった。
自分の好きを知ることで、自分の気持ちを素直に受け入れられるようになったんだと思う。
彼女は、天真爛漫という感じで、いつも、笑っていた。
男性にもそうだけど、女性しかいないトイレでも、いつも明るかったの。
相手の女を自分の下とマウントを取ってくる女性。
男性に少しでもいい顔をすると、男性にだらしないと噂を流す女性。
自分の意見がなく、いつも誰かに同調ばかりしている女性も多い。
でも、彼女は、女性の嫌らしさとか全くなくて、常に周りを明るくしていたわ。
本当に清らかな女性だし、自分の意見をしっかり持ってる。
最初に会ったのは、入社1日目の同じ職場だった。
「緊張するわよね。私、橘 唯奈。同期よね。一緒に頑張ろうね。」
「初めまして。私は、鷺ノ宮 芽依。よろしく。」
「私ね、正直言うと、この会社は男性ばっかりというイメージが強くて、最初は入社するなんて考えてなかったの。でも、化粧品会社とか女性が多い会社、みんな落ちちゃってさ。なんとか入れたのがこの会社なんだけど、大丈夫かな?」
「唯奈って呼んでいい? 大丈夫だよ。唯奈、とっても爽やかだから、みんなから愛されるって。」
「そうかな。なんとなく、やっていける気持ちになってきた。ありがとう。ところで、芽依って、本当に美人よね。なんか同期っていうだけで自慢できそう。」
「また、口がうまいんだから。」
「本当よ。」
それから、ランチは毎日一緒に行くようになったの。
そして、月に1回ぐらいかな、夜、一緒にレストランに行くようになった。
ピザが私達の席に運ばれてきたときに、唯奈は話し始めた。
「芽依は、誰か好きな人がいないの?」
「う~ん。今はいないかな。少し前に、別れちゃって。」
「そうなんだ。芽依はきれいだから、彼なんていつでもできるしね。」
「ねえ、唯奈って、どんな人がタイプなの?」
「そうね、嘘つかない誠実な人がいいかな。」
「私は嘘つかないよ。私なんてどう?」
「それはいいわね。芽依が男性だったら、付き合っているかも。あはは。ところで、営業の酒井くん、かっこいいよね。彼女とかいるのかな。」
酒井くん、人気があって、出世するというもっぱらの噂のある人。
「酒井くんか。人気もあるけど、なんか、何人もの女性に声をかけてるらしいよ。」
「え、そうなんだ。人は見かけによらないね。」
私は、唯奈が酒井くんに取られたくなくて、思わず、ありもしない話しをしちゃった。
人を貶めるような女性にはなりたくなかったのに。
どうしてこんなこと言っちゃったんだろう?
唯奈は、嘘をつかない人が好きだと言っていたのに。
「酒井くんより、素敵な人はきっといるよ。」
「そうかな。でも、騙される前にわかって良かったかも。芽依、ありがとう。お礼でもないんだけど、今度、温泉に一緒に旅行に行かない?」
「いいわね。どこに行こうとしているの?」
「九州の黒川温泉って知ってる? 前から人気があるようで行ってみたかったの。」
「あ、知ってる。行こう、行こう。楽しみ。」
「10月15日とか行ける?」
「大丈夫だと思う。その頃って、紅葉とかきれいそうじゃない。」
「そうだと思う。じゃあ、予約しておくね。でも、彼とか怒らない? なんで僕と一緒じゃないんだよとか。」
「彼いないから大丈夫。唯奈はできたの?」
「まだなんだよね。誰か、いないかな。」
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