誰か、私を殺して

一宮 沙耶

文字の大きさ
上 下
33 / 46
第7章 組織の壊滅

6話 スクープ

しおりを挟む
僕は、週刊誌の記者として、異能力者が存在しているらしいという情報を得ていた。
しかも、日本政府を転覆しようとしているらしい。
都市伝説のような話しだが、どうも本当らしいという周辺情報があり、調べることにした。

最初に目をつけたのは、顔、体を変えて他人になりきれるという異能力者だった。
そんなことがあり得るんだろうか?
そんな事があれば、誰でも騙されてしまう。

まずは、その人の尾行から始めた。
かなり古い2階建てのアパートに住み、とても質素に暮らしていた。
異能力者だからといって、儲かるわけじゃないみたいだ。異能力者でないのかもしれない。

こんな貧しい服を来ている人が異能力者なのか?
諦め、尾行をやめようと思った頃だった。
部屋から女性が出てくるじゃないか。しかも、おしゃれな服を着た美人。
あんな貧しい生活をしている男性が、あんな美人と付き合っているのか?

違和感を感じて、その女性を尾行することにした。
その女性は、雪が降り始めた六本木に行き、ある女性と話していた。
なにか揉めているようだ。
最初は、別の女性が笑顔いっぱいで駆け寄り、近づいた途端、顔は凍りついた。

5分ぐらいだろうか、2人の女性は言い争っていたけど、駆け寄った女性はうなだれた。
そして、2人は別の方向に歩いていった。何があったのだろうか。
僕は、異能力者と思われる男性の部屋から出てきた女性の尾行を続けた。

その女性は、暗い公園に入り、周りを見渡した後、なんと男性トイレに入っていった。
どういうことだろうか。あの女性は、どうして男性トイレに?
その女性はトイレの個室に入った音がしたので、僕は中を覗いた。誰もいない。

そして、驚くことに、その男性トイレから尾行していた男性が出てきたじゃないか。
その男性がトイレに入ったことはないはずなのに。
これは、自分の顔、体を変えられる異能力者ではないかと疑念を持った。
もしかしたら、さっき話していた女性も異能力者なのかもしれない。

その後も、そのアパートを張り、不在の時に忍び込んで隠しカメラをセットした。
そして、驚くべき映像を入手したんだ。その住人の顔と体が変化していく映像。

これは大スクープだ。世の中に発表すれば、僕は一流記者となれる。
俺は、この異能力者に声をかけようかとは思ったけど、警戒されて逃げられても困る。
映像はフェイクだと言われてしまうかもしれない。

その時、政府が異能力者を抹殺しようとしているという情報が入ってきた。
その中心は公安だとか。そこで、公安にアクセスしてみることにした。
公安の食いつきは良かったが、映像を見せたところ、特に驚いた雰囲気はなかった。

「これって、フェイクじゃなくて、信じてください。」
「大丈夫です。このような異能力者がいることは我々も知っています。」
「そうなんですか。でも、一応、確証がないと記事にできなくて。」
「そうですよね。では、公安メンバー10人とリアルで、顔と体を変える映像をリアルで見ましょう。そこまで証人がいれば、本当だと言えるでしょう。」
「そうですね。お願いします。」

僕は、10日程度、様子をみていると、公安の前で、その男性は顔を変え始めたんだ。
これで証明できる。これを世の中に出せば、俺は、世界でも一躍有名になれる。
これで、聡子も、結婚する人が、世界で名の通っている有名な記者だと自慢できるだろう。聡子は喜んでくれるに違いない。

俺は、聡子がお父さんと赤い絨毯のバージンロードを歩いてくるのを、愛らしく見ていた。
その時、公安は、すでに、あのアパートに住む異能力者を抹殺していることに気づかず。
しかも、俺に向って進む聡子も異能力者で、公安から狙われているということも知らずに。

そもそも、公安は、聡子を追っていく中で、僕もマークしていた。
そして、スクープの餌をちらつかせ、他の異能力者の存在をあぶり出した。
僕を暗殺することを前提として・・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女ハッカーのコードネームは @takashi

一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか? その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。 守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

愛する女性の行方

一宮 沙耶
大衆娯楽
人を愛するが故に不幸になる、そんな女性たちのお話しです。 舞台は、メタバースが一般化した、今から30年ぐらい先。 では、開幕です。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ようこそ、悲劇のヒロインへ

一宮 沙耶
大衆娯楽
女性にとっては普通の毎日のことでも、男性にとっては知らないことばかりかも。 そんな世界を覗いてみてください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

山縣藍子のくすぐりシリーズ

藍子
大衆娯楽
くすぐり掲示板したらばの【君の考えたくすぐりシーン】スレで連載していた大人気?(笑)シリーズの藍子のくすぐり小説です。

処理中です...