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第6章 東京生活
1話 バブル
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40歳になったのを契機に、東京で暮らすことにした。鷺ノ宮 美里として。
東京は浮かれていた。東京だけではないのかもしれない。
Japan as No.1なんて言われ、誰もが、ドラッグをしているかのように、はしゃいでいた。
今晩、私は、1人で渋谷のバーカウンターで飲んでいる。
ここは、男性じゃなく、女性を好きな女性が口コミで集う会員制のバー。
女性どうしで手を握り合い、カクテルを傾けるカップルもいる。
初めて出会い、会話に盛り上がる女性達もいる。
レズビアンの出会いの場だから集まり、女性どうしでくつろげる場所。
私は、日頃からレズビアンと宣言しているわけじゃない。
世の中から変人だと言われちゃう。
周りには、あの男性がかっこいいとか適当に嘘をいって合わせている。
ただ、レズビアンの間では、自然に愛情を語り合える世の中になったと思う。
バーに入るには会員じゃないとだめだから、男性とかはいない。
男性の前で甲高い声を出し、女性を貶める女性もいない。
だから、安心して、女性だけの時間を楽しめる場。
最近、私は、ボディコンとか呼ばれている服を着ていることが多い。
明治時代生まれの私は、背は低いから、ボディコン姿がかっこいいわけではない。
更に、体のラインがはっきり出て少し恥ずかしい。
でも、みんなも着ているし、少しは慣れたかな。
髪が長いのは、周りの雰囲気に合っていてちょうどいいわね。
これまで髪の毛を切っても、すぐに戻るから困っていたんだけど。
「あのう、もし、よろしければご一緒させていただいていいですか?」
「ええ。」
背の高い、すらっとした女性が私に微笑みかけている。
理知的で、上品な雰囲気ね。
「どうぞ。ここには、よく来られるんですか?」
「よく、来ています。この前も会っているのですが、気づいていませんでしたか。」
「すみません。気づきませんでした。」
「一目見て、お美しいと心を奪われて、それからずっと、あなたのことを考えていたんです。」
「また、お上手なこと。」
「いえ、本当に、お美しい。お声もかわいらしいし。」
「お名前は?」
「桜井 朋美。朋美と呼んで。あなたは?」
「鷺ノ宮 美里。美里と呼んでくれると嬉しい。」
「じゃあ、今夜の出会いに乾杯ね。乾杯。」
「乾杯。」
彼女との会話は楽しかった。いろいろなことを知っている。
この日を契機に、休日とかも一緒に遊びに出かけるようになった。
サーフィンとか、ダイビングとか、私は初めて経験することに充実した時間を過ごした。
そして、神戸に一緒に旅行にもいった。
その前夜は、朝一の新幹線に乗ろうと、東京駅にあるホテルで一緒に過ごしたの。
シャワーを浴び、浴衣姿で髪を乾かしながら朋美に話しかけた。
「すっぴんになっても、私のこと嫌いにならないでね。」
「とんでもない。化粧しなくても、とっても綺麗よ。本当よ。むしろ、化粧がいらないくらい。美里は、もうすぐ30歳でしょう。どうして、そんなに肌がきれいなのかしら。私も同じ年だけど、30歳に近づくにつれて肌が荒れてきたような気がする。」
「そんことないって。朋美の肌はとってもきれい。もし荒れるとすれば、仕事のストレスよ。もう少し楽な部署に移ったらどう?」
「まあ、今の仕事続けたいし。それはいいとして、美里は背が小さいのも可愛くて、いいわよね。」
「え~、そうかな。背が小さいの、すこしコンプレックスなんだけど。朋美みたく、すらっと高い背になりたいな。」
「お互いに、ないものねだりなのね。そんなこと、どうでもいいわ。美里のこと大好き。」
朋美は、後ろから私を抱きかかえてくれて、私は振り返り、口を重ねた。
朋美は、上手に私の服を脱がした。本当に自然ね。
「明かりは消して。」
「恥ずかしがり屋ね。わかったわ。」
私は、満たされた気持ちで眠りに落ちた。
翌朝、新幹線で新神戸に向かい、明治時代の館とかを見て、神戸の街をぶらぶらした。
昔は、こんな家を別荘に持っていて、夏休みを過ごしたこともあり、懐かしかった。
でも、いくら朋美でも、私が、その頃生きていたなんて言えない。
朋美は、街中のおしゃれな宝石店で、真珠のネックレスを買ってくれたの。
「これまでのお礼でプレゼントしようと思ったんだけど、なにがいいか迷ってたのよ。さっきから色々見てたんだけど、美里の心は、清らかで深みのあって真珠がぴったりと思ったわ。その中で、これは、シンプルだけど気品があって、いいかなと思うの。これ、プレゼントしようと思うんだけど、気に入ってもらえる?」
「好きな人からプレゼントをもらうなんて初めて。嬉しい。朋美も、どう? おそろで2人で付けようよ。私もプレゼントする。」
「じゃあ、お互いに神戸の記念にということで。大切にしようね。」
「うん。」
それからホテルにチェックインをし、部屋に入るととてもきれいで、ふかふかのベット。
まだ、3時過ぎなのに、朋美は、部屋にはいるとすぐに私の体を求めてきた。
「まだ明るくて恥ずかしい。」
「美里をだきしめたいの。気持ちを抑えられないわ。」
私は、朋美に体を任せた。
外の人たちは、仲の良い女友達が神戸に一緒に旅行に来たとしか思わないわよね。
愛されているという幸せと、そんなスリル感で心は満たされていた。
少し休んで、中華街で夕食をとり、少し酔っぱらった朋美とタクシーでホテルに戻る。
おいしい料理、お酒、そして素晴らしい夜景。
私は、朋美に買ってもらったネックレスをつけた自分を鏡に映し、幸せでいっぱいだった。
東京駅で別れるとき、私は別れたくなく、朋美の腕をつかんでいた。
「寂しい。もう少し、一緒にいようよ。」
「遅くなったし、今日は帰るわね。ごめん。泣かないで。今度の土曜日にまた会おうね。」
「うん。じゃあ、さようなら。」
朋美との生活は本当に充実していた。
朋美を私の家に呼び、過ごす時間も増えていった。
おそろいのコップとかをそろえるのも楽しかった。
東京は浮かれていた。東京だけではないのかもしれない。
Japan as No.1なんて言われ、誰もが、ドラッグをしているかのように、はしゃいでいた。
今晩、私は、1人で渋谷のバーカウンターで飲んでいる。
ここは、男性じゃなく、女性を好きな女性が口コミで集う会員制のバー。
女性どうしで手を握り合い、カクテルを傾けるカップルもいる。
初めて出会い、会話に盛り上がる女性達もいる。
レズビアンの出会いの場だから集まり、女性どうしでくつろげる場所。
私は、日頃からレズビアンと宣言しているわけじゃない。
世の中から変人だと言われちゃう。
周りには、あの男性がかっこいいとか適当に嘘をいって合わせている。
ただ、レズビアンの間では、自然に愛情を語り合える世の中になったと思う。
バーに入るには会員じゃないとだめだから、男性とかはいない。
男性の前で甲高い声を出し、女性を貶める女性もいない。
だから、安心して、女性だけの時間を楽しめる場。
最近、私は、ボディコンとか呼ばれている服を着ていることが多い。
明治時代生まれの私は、背は低いから、ボディコン姿がかっこいいわけではない。
更に、体のラインがはっきり出て少し恥ずかしい。
でも、みんなも着ているし、少しは慣れたかな。
髪が長いのは、周りの雰囲気に合っていてちょうどいいわね。
これまで髪の毛を切っても、すぐに戻るから困っていたんだけど。
「あのう、もし、よろしければご一緒させていただいていいですか?」
「ええ。」
背の高い、すらっとした女性が私に微笑みかけている。
理知的で、上品な雰囲気ね。
「どうぞ。ここには、よく来られるんですか?」
「よく、来ています。この前も会っているのですが、気づいていませんでしたか。」
「すみません。気づきませんでした。」
「一目見て、お美しいと心を奪われて、それからずっと、あなたのことを考えていたんです。」
「また、お上手なこと。」
「いえ、本当に、お美しい。お声もかわいらしいし。」
「お名前は?」
「桜井 朋美。朋美と呼んで。あなたは?」
「鷺ノ宮 美里。美里と呼んでくれると嬉しい。」
「じゃあ、今夜の出会いに乾杯ね。乾杯。」
「乾杯。」
彼女との会話は楽しかった。いろいろなことを知っている。
この日を契機に、休日とかも一緒に遊びに出かけるようになった。
サーフィンとか、ダイビングとか、私は初めて経験することに充実した時間を過ごした。
そして、神戸に一緒に旅行にもいった。
その前夜は、朝一の新幹線に乗ろうと、東京駅にあるホテルで一緒に過ごしたの。
シャワーを浴び、浴衣姿で髪を乾かしながら朋美に話しかけた。
「すっぴんになっても、私のこと嫌いにならないでね。」
「とんでもない。化粧しなくても、とっても綺麗よ。本当よ。むしろ、化粧がいらないくらい。美里は、もうすぐ30歳でしょう。どうして、そんなに肌がきれいなのかしら。私も同じ年だけど、30歳に近づくにつれて肌が荒れてきたような気がする。」
「そんことないって。朋美の肌はとってもきれい。もし荒れるとすれば、仕事のストレスよ。もう少し楽な部署に移ったらどう?」
「まあ、今の仕事続けたいし。それはいいとして、美里は背が小さいのも可愛くて、いいわよね。」
「え~、そうかな。背が小さいの、すこしコンプレックスなんだけど。朋美みたく、すらっと高い背になりたいな。」
「お互いに、ないものねだりなのね。そんなこと、どうでもいいわ。美里のこと大好き。」
朋美は、後ろから私を抱きかかえてくれて、私は振り返り、口を重ねた。
朋美は、上手に私の服を脱がした。本当に自然ね。
「明かりは消して。」
「恥ずかしがり屋ね。わかったわ。」
私は、満たされた気持ちで眠りに落ちた。
翌朝、新幹線で新神戸に向かい、明治時代の館とかを見て、神戸の街をぶらぶらした。
昔は、こんな家を別荘に持っていて、夏休みを過ごしたこともあり、懐かしかった。
でも、いくら朋美でも、私が、その頃生きていたなんて言えない。
朋美は、街中のおしゃれな宝石店で、真珠のネックレスを買ってくれたの。
「これまでのお礼でプレゼントしようと思ったんだけど、なにがいいか迷ってたのよ。さっきから色々見てたんだけど、美里の心は、清らかで深みのあって真珠がぴったりと思ったわ。その中で、これは、シンプルだけど気品があって、いいかなと思うの。これ、プレゼントしようと思うんだけど、気に入ってもらえる?」
「好きな人からプレゼントをもらうなんて初めて。嬉しい。朋美も、どう? おそろで2人で付けようよ。私もプレゼントする。」
「じゃあ、お互いに神戸の記念にということで。大切にしようね。」
「うん。」
それからホテルにチェックインをし、部屋に入るととてもきれいで、ふかふかのベット。
まだ、3時過ぎなのに、朋美は、部屋にはいるとすぐに私の体を求めてきた。
「まだ明るくて恥ずかしい。」
「美里をだきしめたいの。気持ちを抑えられないわ。」
私は、朋美に体を任せた。
外の人たちは、仲の良い女友達が神戸に一緒に旅行に来たとしか思わないわよね。
愛されているという幸せと、そんなスリル感で心は満たされていた。
少し休んで、中華街で夕食をとり、少し酔っぱらった朋美とタクシーでホテルに戻る。
おいしい料理、お酒、そして素晴らしい夜景。
私は、朋美に買ってもらったネックレスをつけた自分を鏡に映し、幸せでいっぱいだった。
東京駅で別れるとき、私は別れたくなく、朋美の腕をつかんでいた。
「寂しい。もう少し、一緒にいようよ。」
「遅くなったし、今日は帰るわね。ごめん。泣かないで。今度の土曜日にまた会おうね。」
「うん。じゃあ、さようなら。」
朋美との生活は本当に充実していた。
朋美を私の家に呼び、過ごす時間も増えていった。
おそろいのコップとかをそろえるのも楽しかった。
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