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7話 なり代わり
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「お嬢さん、女子高生じゃないよね? まあ、銀座のクラブだし、そんなことないか。美魔女っているんだね。」
「佐々木さん、冗談でも、そんなこと言いふらさないでくださいね。このクラブは、女子高生が対応するなんて違法なことしませんから。この子は、もう1年以上も、このクラブにいる人気者なんですよ。たしかに、どんどん若くなっている気もしますけど、お客様が元気になるのを見るのが楽しいでしょうね。」
「お客の生気を吸って若返っているなんてことはないんだよね?」
「佐々木さん、冗談はやめてくださいよ。凛と申します。これからもご贔屓を。なにを飲まれますか?」
「2001年産のデュジャックボンヌ・マールはある? あの赤ワインは好きなんだけど。」
「ございます。ご用意させていただきますね。凛は、その赤ワイン知ってる?」
「こんな若いお嬢さんじゃ知らないでしょう。ママと一緒に飲んでみて。」
「私もいただけるんですか。どんな素敵な味か、楽しみです。ありがとうございます。」
「じゃあ、乾杯しよう。」
こんな日々を過ごしていた。
でも、流石にクラブで働くには無理な見た目になっていたわ。
未だに整形をお願いした医者には定期検診に行っていたの。
「もう、昔の面影はないですね。顔だって、ぷっくらとして小顔になっている気もする。すっかり女子高生にしか見えません。ただ、最近は、若年化は止まってきたようですね。卵巣が感じる年齢と、見た目の年齢が同じになったということなのかもしれません。そうすると、これから歳をとることになるかもしれません。」
「よかったです。これ以上、若返るとどうしようと困っていたところなんです。」
「ところで相談があるのですが。」
「なんですか?」
「私の知り合いに、女子高生の子供さんが行方不明の親がいまして。捜索願も出したらしいのですが、警察も、死亡したような事実がないので、家出をしたんじゃないかと、今は何もしれくれません。そんな中、奥様がお嬢様が亡くなったんじゃないかとノイローゼになってしまい、旦那様が困ったと悩んでいるんです。」
「で、私とどう関係があるんですか?」
「旦那様が、だれでもいいので自分の娘として一緒に暮らして欲しいと言っているですよ。」
「普通、娘はまだ死んでないって、信じ続けるんじゃないんですか?」
「奥様が、このまま何もしないと自殺しちゃうと心配しているらしいんです。」
「いくらなんでも、私が娘じゃないって気づくでしょう。」
「いや、買い物にでても、出会う女子高生に声をかけて、娘に向けて言うように、帰ってきなさいとしがみつくらしいんですって。君と暮らしても気づかないと思いますよ。それに、旦那さんからは、君の写真を見せたら、実の娘さんと似ているって言ってました。背も偶然、同じぐらいらしいし。」
「もう、そこまで話しが進んでいるんですか?」
「まあ、君が嫌だったら断りますけどね。でも、この家の娘になれば、君の戸籍問題はなくなるですけど。今、君は戸籍上、何歳でしたっけ? 女子高生として人生を再出発できるんですよ。」
たしかに、戸籍の問題は残っていた。
政治家スキャンダルの情報源からも逃げられる。
「先生は、その旦那様のご友人なのですか?」
「いや、実は飲み屋で、たまたま横に座っていて、悩みを大声で話しているのを聞いたんです。それでぴーんときたんです。君を紹介すればいいってね。それで相談なのですが、私もメリットを得たい。みんながWin-Winになれるようにね。」
「やっぱり、慈善活動じゃないんですね。それで、何をして欲しいんですか?」
「君の年金をもらいたいんです。私を年金受領の代理人として指定して欲しい。君はまだお金をたくさん持っているようだし、これから社会人になってまだまだ稼げる。誰も損しないいい提案だと思うんですけど。」
私の年金は私のものだけど、これで戸籍の問題はなくなる。
その旦那さんも、奥様も幸せな生活を送れる。
たしかに、いい案ではあるわね。
私は、同意し、先生が出した委任状に記名押印をした。
翌日、指定された家に行ってみた。
渋谷の松濤にある大金持ちの家。
この周辺は大金持ちが多く、地区で警備員を雇っている。
高い塀で中の生活は隠されて、分からないの。
歩くだけで警備員に睨まれる、そんなエリアね。
佐久間という表札の家に来た。
厚いコンクリートの壁にあるインターフォンを鳴らしてみる。
「南崎先生からご紹介を受けた者ですが・・・。」
「おお、来てくれたんだね。里見、瑠香が戻ってきたよ。早く、来て。」
門の扉が開き、階段を登っていくと、玄関は二重扉となっていた。
玄関が開くと、目の前はそれだけで20畳ぐらいある玄関。
ドアの上にある大きな窓から陽が入り、明るく開放的。
「え、瑠香、戻ってきてくれたのね。これまで大変だったでしょう。これから、使用人に、瑠香が好きなグラタンを作ってもらうから、待っていてね。それまで、自分の部屋でゆっくりしていて。」
リビングの奥にある赤い絨毯に覆われた階段を上がる。
階段は2方面から湾曲して2階で合流する作りで、洋館みたい。
リビングは吹き抜けとなり、その上には2階がない開放的な空間。
2階にあがると、部屋は5つあるようだった。
その下に、キッチン、使用人部屋、倉庫とかあるらしい。
お風呂は2階にあるとか。
これからは金持ちとしての生活が保証されているみたいね。
旦那さんが私の部屋に通してくれた。
女の子らしい部屋。でも広い。
クローゼットには多くの可愛い服やバックが並んでいたの。
「佐々木さん、冗談でも、そんなこと言いふらさないでくださいね。このクラブは、女子高生が対応するなんて違法なことしませんから。この子は、もう1年以上も、このクラブにいる人気者なんですよ。たしかに、どんどん若くなっている気もしますけど、お客様が元気になるのを見るのが楽しいでしょうね。」
「お客の生気を吸って若返っているなんてことはないんだよね?」
「佐々木さん、冗談はやめてくださいよ。凛と申します。これからもご贔屓を。なにを飲まれますか?」
「2001年産のデュジャックボンヌ・マールはある? あの赤ワインは好きなんだけど。」
「ございます。ご用意させていただきますね。凛は、その赤ワイン知ってる?」
「こんな若いお嬢さんじゃ知らないでしょう。ママと一緒に飲んでみて。」
「私もいただけるんですか。どんな素敵な味か、楽しみです。ありがとうございます。」
「じゃあ、乾杯しよう。」
こんな日々を過ごしていた。
でも、流石にクラブで働くには無理な見た目になっていたわ。
未だに整形をお願いした医者には定期検診に行っていたの。
「もう、昔の面影はないですね。顔だって、ぷっくらとして小顔になっている気もする。すっかり女子高生にしか見えません。ただ、最近は、若年化は止まってきたようですね。卵巣が感じる年齢と、見た目の年齢が同じになったということなのかもしれません。そうすると、これから歳をとることになるかもしれません。」
「よかったです。これ以上、若返るとどうしようと困っていたところなんです。」
「ところで相談があるのですが。」
「なんですか?」
「私の知り合いに、女子高生の子供さんが行方不明の親がいまして。捜索願も出したらしいのですが、警察も、死亡したような事実がないので、家出をしたんじゃないかと、今は何もしれくれません。そんな中、奥様がお嬢様が亡くなったんじゃないかとノイローゼになってしまい、旦那様が困ったと悩んでいるんです。」
「で、私とどう関係があるんですか?」
「旦那様が、だれでもいいので自分の娘として一緒に暮らして欲しいと言っているですよ。」
「普通、娘はまだ死んでないって、信じ続けるんじゃないんですか?」
「奥様が、このまま何もしないと自殺しちゃうと心配しているらしいんです。」
「いくらなんでも、私が娘じゃないって気づくでしょう。」
「いや、買い物にでても、出会う女子高生に声をかけて、娘に向けて言うように、帰ってきなさいとしがみつくらしいんですって。君と暮らしても気づかないと思いますよ。それに、旦那さんからは、君の写真を見せたら、実の娘さんと似ているって言ってました。背も偶然、同じぐらいらしいし。」
「もう、そこまで話しが進んでいるんですか?」
「まあ、君が嫌だったら断りますけどね。でも、この家の娘になれば、君の戸籍問題はなくなるですけど。今、君は戸籍上、何歳でしたっけ? 女子高生として人生を再出発できるんですよ。」
たしかに、戸籍の問題は残っていた。
政治家スキャンダルの情報源からも逃げられる。
「先生は、その旦那様のご友人なのですか?」
「いや、実は飲み屋で、たまたま横に座っていて、悩みを大声で話しているのを聞いたんです。それでぴーんときたんです。君を紹介すればいいってね。それで相談なのですが、私もメリットを得たい。みんながWin-Winになれるようにね。」
「やっぱり、慈善活動じゃないんですね。それで、何をして欲しいんですか?」
「君の年金をもらいたいんです。私を年金受領の代理人として指定して欲しい。君はまだお金をたくさん持っているようだし、これから社会人になってまだまだ稼げる。誰も損しないいい提案だと思うんですけど。」
私の年金は私のものだけど、これで戸籍の問題はなくなる。
その旦那さんも、奥様も幸せな生活を送れる。
たしかに、いい案ではあるわね。
私は、同意し、先生が出した委任状に記名押印をした。
翌日、指定された家に行ってみた。
渋谷の松濤にある大金持ちの家。
この周辺は大金持ちが多く、地区で警備員を雇っている。
高い塀で中の生活は隠されて、分からないの。
歩くだけで警備員に睨まれる、そんなエリアね。
佐久間という表札の家に来た。
厚いコンクリートの壁にあるインターフォンを鳴らしてみる。
「南崎先生からご紹介を受けた者ですが・・・。」
「おお、来てくれたんだね。里見、瑠香が戻ってきたよ。早く、来て。」
門の扉が開き、階段を登っていくと、玄関は二重扉となっていた。
玄関が開くと、目の前はそれだけで20畳ぐらいある玄関。
ドアの上にある大きな窓から陽が入り、明るく開放的。
「え、瑠香、戻ってきてくれたのね。これまで大変だったでしょう。これから、使用人に、瑠香が好きなグラタンを作ってもらうから、待っていてね。それまで、自分の部屋でゆっくりしていて。」
リビングの奥にある赤い絨毯に覆われた階段を上がる。
階段は2方面から湾曲して2階で合流する作りで、洋館みたい。
リビングは吹き抜けとなり、その上には2階がない開放的な空間。
2階にあがると、部屋は5つあるようだった。
その下に、キッチン、使用人部屋、倉庫とかあるらしい。
お風呂は2階にあるとか。
これからは金持ちとしての生活が保証されているみたいね。
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