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第2章 同性愛者でもいいじゃない
1話 最愛の人
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私の大切な人を奪ったあいつは、必ず殺してやる。
7年前、私は、こんな人とは2度と会えないと思えるぐらいの最愛の人と出会ったの。私は、女性なのに、女性しか好きになれない。だから、これまで誰との恋も実らなかった。何回かは、告白したこともあったわ。でも、いつも、そんなつもりで一緒にいたんじゃないって言われて、私の恋は終わった。
だから、自分の気持ちはずっと押し殺してきたの。私は、普通の子のように恋人と一緒に暮らしたりしたこともないし、恋人すらいたこともない。よくドラマとかで、カフェでパンケーキとか相手に食べさせたりするのは憧れるけど、一生できないわね。
なんで、こんなんだろう。こんな体だからいけないのかしら。思い切って男性になってみる? そんなことは、今更できないでしょう。自分の体に文句とかはないの。と言うより、結構、気に入っている。
好きな人と恋人として過ごしたいだけなのよ。どうして、こんなたわいもない願いが叶わないのかしら。そう思って、青春と言われる時期を過ごしてきた。
でも、大学4年生の時、同じ大学の3年生で、帰り道によく電車でみかける子がいて、その子から挨拶があった。
その子は、後ろから橙色の夕日が差し込んで神々しくて、そして、電車の電気で、可愛らしい笑顔いっぱいの顔が輝いていた。
「こんにちは。同じ大学の先輩ですよね。」
「東央大の学生なんですか。初めまして。この電車で、よく会いますよね。」
「本当に、大体同じ時間ですものね。でも、私、先輩のこと、もう少し前から知っているんです。サークルで、社交ダンスしているでしょう。昨年の学祭で、私、社交ダンスを披露している先輩のこと見て、素敵だなって憧れていたんですよ。」
「そうなの。気づかなかった。それなら、サークルに入ればいいのに。」
「私は、もう3年生ですけど、今からでも入れるんですか?」
「大丈夫よ。うちのサークルは適当だから。社交ダンスじゃなくて、練習の後の飲み会が目当ての人も多いのよ。だから、飲み会メンバーが増えるんだったら、みんな大歓迎だと思う。そんなんだから、今からでも全く問題はないわ。練習も、土曜だけだし、そんなに大変というわけではないでしょう。」
「そうなんですね。じゃあ、今度の土曜日に行ってみようかな。何か、用意した方がいいものって、あるんですか?」
「大会とか出るんだったら、いろいろ必要だけど、当面は、上はTシャツでよくて、ダンス用のスカートとダンスシューズぐらいかしら。今度、来たら、帰りに一緒に買いに行ってみましょうよ。」
「そこまでしてもらったら助かります。では、土曜日に伺いますね。」
「楽しみにしているわ。じゃあ、今度の土曜日の10時半に、正門で待ち合わせにしましょう。」
「わかりました。今日は、勇気を出して声をかけてよかったです。」
「こちらこそ、サークルメンバーが増えて良かったわ。じゃあ、私は、この駅で降りるから、また今度ね。」
「はい。」
とても、素直で、清楚な女性だと、一目見て心を奪われた。でも、一線を越えるとまた嫌われるから、あくまでも友達としてのおつきあいに止めておこう。
土曜日には、正門で待ち合わせをし、見学の後、サークルに入ると言ってくれた。そこで、メンバーの飲み会には行かないで、2人で一緒にシューズとかを買いに行くことにした。また、せっかくなので、そのあとに一緒にイタリアンに行くことにしたの。
「先輩って、大学卒業したらどうするんですか?」
「今、ちょうど司法試験の最終結果を待っているけど、合格するはず。そしたら、検事になるつもり。女性だからって、馬鹿にされたりすることないし、正義を貫くって感じで、私に合っていると思うから。」
「すごいんですね。私なんて、今、化粧品会社とかのインターンとか始めたんですけど、なんとなく上手くいっていなくて。」
「美花さんは、可愛いし、誠実だから、どこか、良いところが見つかるって。」
「そうだと、いいんですけど・・・。少し暗くなっちゃいましたけど、気持ちを明るく持たないとです。ところで、先輩って、彼いるんですか?」
「いないけど。」
「先輩は綺麗だし、モテると思うんですけど。隠しているだけじゃないんですか?」
「そんなことないけど。」
「ちょっと、変なこと聞くんですけど、いいですか?」
「なに?」
「先輩って、もしかしたら女性が好きなんじゃありません。」
「どうして?」
「そんな気がしたんです。好きって、ライクじゃなくてラブという意味ですよ。」
「・・・。」
「そうなんですね。隠さなくてもいいですよ。私もそうだから。なんかピーんときたんですよ。」
「え?」
「そういう人って、肩身、狭いですよね。」
「そうなんだ。身近に、私以外にも、そういう人がいるんだって、びっくり。」
「私、男性と付き合ったこともあるんですけど、どうしても好きになれなくて、いつも女性を目で追いかけちゃってるんですよ。そんな時に、先輩を学祭で見かけて先輩に一目ぼれしちゃって、実は、それから頻繁に、先輩を追いかけて、同じ電車に乗っていたんです。」
「だから、よく電車で会ったんだ。ストーカーだったわけね。」
「ひどいんだから。」
「ごめん。ごめん。冗談だって。でも、嬉しい。」
「こうして、カミングアウトもできたし、付き合いませんか。私たち、付き合える範囲も狭くて、運命の出会いって感じだし。」
「ありがとう。積極的ね。私でよければ、美花さんとこれからも一緒にいたい。これから私のこと、2人の時は沙羅と呼んでくれる。」
「わかった。私も美花と呼んでね。」
「1つお願いがあるんだけど、いい?」
「何?」
「このお肉、私が、あ~んって言うから、食べてくれない。昔から、そういうの憧れだったんだ。」
「そうなんだ。そんなことだったら、いくらでも。いくわよ。どうぞ。」
「あ~ん。ありがとう。これで、夢の1つが叶った。」
「こんなことでよければ、いつでも言ってね。私も楽しいわ。」
「なんか、楽しくなってきた。ずっと、私のこと嫌いにならないでね。」
「そんなことないですよ。沙羅、ポジティブシンキングですって。」
「そうよね。ありがとう。」
こうして、私たちは付き合うことになった。
7年前、私は、こんな人とは2度と会えないと思えるぐらいの最愛の人と出会ったの。私は、女性なのに、女性しか好きになれない。だから、これまで誰との恋も実らなかった。何回かは、告白したこともあったわ。でも、いつも、そんなつもりで一緒にいたんじゃないって言われて、私の恋は終わった。
だから、自分の気持ちはずっと押し殺してきたの。私は、普通の子のように恋人と一緒に暮らしたりしたこともないし、恋人すらいたこともない。よくドラマとかで、カフェでパンケーキとか相手に食べさせたりするのは憧れるけど、一生できないわね。
なんで、こんなんだろう。こんな体だからいけないのかしら。思い切って男性になってみる? そんなことは、今更できないでしょう。自分の体に文句とかはないの。と言うより、結構、気に入っている。
好きな人と恋人として過ごしたいだけなのよ。どうして、こんなたわいもない願いが叶わないのかしら。そう思って、青春と言われる時期を過ごしてきた。
でも、大学4年生の時、同じ大学の3年生で、帰り道によく電車でみかける子がいて、その子から挨拶があった。
その子は、後ろから橙色の夕日が差し込んで神々しくて、そして、電車の電気で、可愛らしい笑顔いっぱいの顔が輝いていた。
「こんにちは。同じ大学の先輩ですよね。」
「東央大の学生なんですか。初めまして。この電車で、よく会いますよね。」
「本当に、大体同じ時間ですものね。でも、私、先輩のこと、もう少し前から知っているんです。サークルで、社交ダンスしているでしょう。昨年の学祭で、私、社交ダンスを披露している先輩のこと見て、素敵だなって憧れていたんですよ。」
「そうなの。気づかなかった。それなら、サークルに入ればいいのに。」
「私は、もう3年生ですけど、今からでも入れるんですか?」
「大丈夫よ。うちのサークルは適当だから。社交ダンスじゃなくて、練習の後の飲み会が目当ての人も多いのよ。だから、飲み会メンバーが増えるんだったら、みんな大歓迎だと思う。そんなんだから、今からでも全く問題はないわ。練習も、土曜だけだし、そんなに大変というわけではないでしょう。」
「そうなんですね。じゃあ、今度の土曜日に行ってみようかな。何か、用意した方がいいものって、あるんですか?」
「大会とか出るんだったら、いろいろ必要だけど、当面は、上はTシャツでよくて、ダンス用のスカートとダンスシューズぐらいかしら。今度、来たら、帰りに一緒に買いに行ってみましょうよ。」
「そこまでしてもらったら助かります。では、土曜日に伺いますね。」
「楽しみにしているわ。じゃあ、今度の土曜日の10時半に、正門で待ち合わせにしましょう。」
「わかりました。今日は、勇気を出して声をかけてよかったです。」
「こちらこそ、サークルメンバーが増えて良かったわ。じゃあ、私は、この駅で降りるから、また今度ね。」
「はい。」
とても、素直で、清楚な女性だと、一目見て心を奪われた。でも、一線を越えるとまた嫌われるから、あくまでも友達としてのおつきあいに止めておこう。
土曜日には、正門で待ち合わせをし、見学の後、サークルに入ると言ってくれた。そこで、メンバーの飲み会には行かないで、2人で一緒にシューズとかを買いに行くことにした。また、せっかくなので、そのあとに一緒にイタリアンに行くことにしたの。
「先輩って、大学卒業したらどうするんですか?」
「今、ちょうど司法試験の最終結果を待っているけど、合格するはず。そしたら、検事になるつもり。女性だからって、馬鹿にされたりすることないし、正義を貫くって感じで、私に合っていると思うから。」
「すごいんですね。私なんて、今、化粧品会社とかのインターンとか始めたんですけど、なんとなく上手くいっていなくて。」
「美花さんは、可愛いし、誠実だから、どこか、良いところが見つかるって。」
「そうだと、いいんですけど・・・。少し暗くなっちゃいましたけど、気持ちを明るく持たないとです。ところで、先輩って、彼いるんですか?」
「いないけど。」
「先輩は綺麗だし、モテると思うんですけど。隠しているだけじゃないんですか?」
「そんなことないけど。」
「ちょっと、変なこと聞くんですけど、いいですか?」
「なに?」
「先輩って、もしかしたら女性が好きなんじゃありません。」
「どうして?」
「そんな気がしたんです。好きって、ライクじゃなくてラブという意味ですよ。」
「・・・。」
「そうなんですね。隠さなくてもいいですよ。私もそうだから。なんかピーんときたんですよ。」
「え?」
「そういう人って、肩身、狭いですよね。」
「そうなんだ。身近に、私以外にも、そういう人がいるんだって、びっくり。」
「私、男性と付き合ったこともあるんですけど、どうしても好きになれなくて、いつも女性を目で追いかけちゃってるんですよ。そんな時に、先輩を学祭で見かけて先輩に一目ぼれしちゃって、実は、それから頻繁に、先輩を追いかけて、同じ電車に乗っていたんです。」
「だから、よく電車で会ったんだ。ストーカーだったわけね。」
「ひどいんだから。」
「ごめん。ごめん。冗談だって。でも、嬉しい。」
「こうして、カミングアウトもできたし、付き合いませんか。私たち、付き合える範囲も狭くて、運命の出会いって感じだし。」
「ありがとう。積極的ね。私でよければ、美花さんとこれからも一緒にいたい。これから私のこと、2人の時は沙羅と呼んでくれる。」
「わかった。私も美花と呼んでね。」
「1つお願いがあるんだけど、いい?」
「何?」
「このお肉、私が、あ~んって言うから、食べてくれない。昔から、そういうの憧れだったんだ。」
「そうなんだ。そんなことだったら、いくらでも。いくわよ。どうぞ。」
「あ~ん。ありがとう。これで、夢の1つが叶った。」
「こんなことでよければ、いつでも言ってね。私も楽しいわ。」
「なんか、楽しくなってきた。ずっと、私のこと嫌いにならないでね。」
「そんなことないですよ。沙羅、ポジティブシンキングですって。」
「そうよね。ありがとう。」
こうして、私たちは付き合うことになった。
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