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第1章 都会生活
3話 初体験
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私も恋愛していた時はあった。淡い初恋とかもあったけど、それより、高校のとき、先輩に心がときめいた時を鮮明に覚えている。あの頃は、今よりは少し純粋だったかもしれないわね。
先輩は、サッカーの部活をしていて、サッカー練習場の横を歩いていたら、先輩が蹴ったボールがゴールを決めた。陽の光で逆光となった先輩から汗が飛び散る姿を見たときに、目をそらすことができなくなっていたの。
それから、よくサッカーの練習をする先輩を金網越しに、遠くから見つめる時間が増えていった。今から思うと、熱い太陽のもとで、あんなに長時間立っていられたなんて不思議。
とは言っても、金網横にずっと立ってたら痛い女と思われちゃうから、木陰のベンチに座っていたり、金網沿いを歩いては帰ってきたりとか、いろいろな工夫はしていた。
「今井さん、これから帰るのか? 駅まで一緒に行こう。」
そんな私を見ていたのかしら。ある日、学校から帰ろうとすると、先輩が、駅まで一緒に帰ろうと声をかけてきた。
私は恥ずかしくなって下を向き、返事をできずに、その場に佇んでいたの。
「さあ、行くぞ。」
先輩は、私の背中を軽くたたいて、前に押してくれた。横の木々には、やかましいぐらいセミが鳴いていて、周りに人がいたはずだけど、先輩と2人だけのよう。
今日も暑かったけど、そんなことは気にならず、ただ、2人だけの世界で、これから、どうしたらいいのかと頭の中は真っ白だった。
夏の強い日差しが、先輩の後ろから差し込み、先輩の顔を見るのが眩しい。でも、このまま、ずっと見ていたい気持ちが抑えられなかった。
帰り道で、何を話していいかわからず、先輩だけが話し、私は頷くだけだった。
「今井さんは、1年B組だよな。」
「はい。」
「担任って、英語担当の新井だよな。あの先生、俺たち、太っているからポンポコというあだ名で呼んでたけど、今井さんたちもそう呼んでるの?」
「ええ。」
「そうなんだ。あいつ発音も悪いし、なんかおっちょこちょいだけど、思いというか熱意はあって、そんなに嫌いじゃないんだよな。」
私が、ほとんどしゃべらないものだから、先輩は駅について、別方向の電車に乗るまで、ずっと話し続けてくれたの。私の顔を振り向かせようと。
なんの話しをしていたのかはよく覚えていないし、周りの風景も目に入らなかったけど、先輩の笑顔、私への優しさ、そして私を振り向かせたいという熱意は伝わって嬉しかった。
その晩、ベットの中で、先輩の顔ばかりが思い出され、寝れなかった。そして、夢の中で、先輩は私をきつく抱いてくれた。
それから、サッカーの練習がない時は、一緒に帰る日が増えて、駅のベンチで暗くなるまで、ずっと話し続けるような日も増えていったの。
そんな関係を続けて2ヶ月ぐらい経った頃かしら、休日に、横浜に遊びに行ったことはよく覚えている。
そろそろ、手を握って欲しいなと思って近づいて歩いていたら、気づいてくれたのか、レンガ倉庫の前を歩いているとき、自然に私の手を握ってくれたの。
先輩の手は少し汗をかいていたようだったけど、男性の手って、とっても暖かいのね。そして、ゴツゴツ感はあるけど太くがっちりしていて、力強くて頼もしいと感じた。また、手を通じて、こんなに温かい気持ちが伝わるんだと感激したわ。
そして、海岸沿いを歩いていると、だんだん日が落ちていき、大さん橋で、夕日が周りを真っ赤に染め、高いビルがシルエットになっている。そして、夕日が水面に移り、水面が揺れるたびにキラキラと輝いていた。
その時、キレイねと伝えようと先輩の顔をみたら、先輩の顔がすぐ横にあって、先輩の唇が私の顔に近づいてきた。驚いて、固まっていたら、唇が温かくてやわらかい先輩の口で塞がれ、夕日の中で初キスを経験した。
毎日、新しい経験ばかりで充実していた。キスをした翌日の月曜日なんて、学校に行って男性生徒を見るたびに、先輩とのキスの瞬間を思い出して、知らない男性でも、まともに顔をみることができなかったの。クラスメートからも顔が赤いよといわれちゃった。
先輩は、いつも優しい言葉をかけてくれて、私は、周りが見えなくなった。世の中には2人しかいない、自分が特別な人じゃないかと舞い上がっていたの。
そして、友達と一緒に旅行に行くと両親に嘘をつき、先輩と一緒に伊豆のペンションに泊まりにいき、初体験をした。ペンションでは、嘘の年齢を伝えたときは、ドキドキだった。
ペンションでは、おしゃれなフレンチをノンアルコールのワインでいただいて、私も、初めていっぱいしゃべった。私のことを知ってもらいたくて。
その後、お風呂に入った後、寝巻きを着て同じ部屋で過ごしたときは、もう胸の鼓動を止めることができなかった。髪の毛をドライヤーで乾かしているときは、恥ずかしくて、鏡に顔を向け、先輩の顔を見れずに、ただ微笑んでいたの。
そんな私をみてか、髪が乾いた頃、先輩は、後ろから私を優しく抱きしめてくれた。
朝、ベットで起きて、先輩があどけない顔で寝ている姿をみて、本当に幸せに浸ったわ。この人とずっと一緒にいるって。
でも、半年が経ち、先輩も大学受験であまり会えない日々が続き、そして、次に私も受験で忙しくなり、なんとなく関係は疎遠になっていったの。あんなに仲良かったのに、いつの間にか私たちの関係は自然消滅していた。
あんなに夢中だったのに、冷めている自分には驚いた。また、そんなことに気づかずに日が経っている私って、何なんだろう。
ただ、大学に入って1年が過ぎたぐらいかしら、道端で、なんと先輩と再会したの。
「あれ、みうじゃないか。久しぶり。」
「あ、祐樹だ。本当に久しぶり。元気だった?」
「ああ、とっても元気だよ。みうは、もう大学生だよね。」
「ええ、この近くの女子大に入ったの。」
「そうなんだ。ところで、せっかく再会したんだから、これから飲みにでも行かない?」
「行こうか。私、まだ20歳じゃないけど、飲んでもいいわよね。行こう、行こう。楽しみ。」
別に嫌いになって別れたわけじゃなかったから、楽しく飲んで、その後、祐樹と一緒に一晩過ごした。
朝起きて、横にある祐樹の顔は高校の時と同じだった。そして、起きたら、笑顔で私の髪の毛をなでてくれた。優しさも変わらない。
真っ白なシーツにフカフカの掛ふとんが暖かくて、軽く包まれた感覚が、祐樹の気持ちのように感じた。
祐樹の笑顔も、なにも変わってなくて、ずっと私を笑わそうとがんばってくれていた。私は、高校の時の幸せな時間が戻ってくると思い、再び、心が満たされる日々が続いた。
「みうと再会できてよかった。高校の終わり頃、わかれちゃって、本当に暗い日々を過ごしていたんだ。どうして、あの時、別れちゃったんだろうね。」
「本当にそう。どうして別れちゃったんだろう。でも、せっかく会えたんだから、これからはずっと一緒にいようね。」
「ずっと、みうを大切にするよ。」
「ありがとう。嬉しい。」
祐樹と結婚する日を遠くに夢見つつ、今は、もっと楽しいことがいっぱいあった。大阪のUSJとか、神戸とか、福岡とか、月に1回ぐらい旅行に行って、2人の写真も増えていった。
男の人って、頼れると思う時と、本当に馬鹿だなと思うときの両方があるじゃない。2人で写真を撮るときには、いつも、祐樹はふざけていたけど、それが楽しかった。
また、祐樹ったら、起きたばかりで下着姿の私と一緒に写真を撮ろうとするから、やめてよと言って枕を投げたりとか、ほのぼのとした時間を過ごしていた。このまま、ずっと、この時間が続くと思いながら。
でも、この幸せはそんなに続かなかった。事件が起きたの。先輩との子供を妊娠してしまった。誰にも相談できずに暗い日々が続いたけど、放置できずに、祐樹に相談することにしたわ。
そしたら、祐樹は、本当に僕の子かというじゃない。よくある展開だけど、その言葉に、男性への期待はなくなり、病院の先生には強姦されたと、目に涙を浮かべて嘘をつき、1人で堕ろすことにした。
先輩は、サッカーの部活をしていて、サッカー練習場の横を歩いていたら、先輩が蹴ったボールがゴールを決めた。陽の光で逆光となった先輩から汗が飛び散る姿を見たときに、目をそらすことができなくなっていたの。
それから、よくサッカーの練習をする先輩を金網越しに、遠くから見つめる時間が増えていった。今から思うと、熱い太陽のもとで、あんなに長時間立っていられたなんて不思議。
とは言っても、金網横にずっと立ってたら痛い女と思われちゃうから、木陰のベンチに座っていたり、金網沿いを歩いては帰ってきたりとか、いろいろな工夫はしていた。
「今井さん、これから帰るのか? 駅まで一緒に行こう。」
そんな私を見ていたのかしら。ある日、学校から帰ろうとすると、先輩が、駅まで一緒に帰ろうと声をかけてきた。
私は恥ずかしくなって下を向き、返事をできずに、その場に佇んでいたの。
「さあ、行くぞ。」
先輩は、私の背中を軽くたたいて、前に押してくれた。横の木々には、やかましいぐらいセミが鳴いていて、周りに人がいたはずだけど、先輩と2人だけのよう。
今日も暑かったけど、そんなことは気にならず、ただ、2人だけの世界で、これから、どうしたらいいのかと頭の中は真っ白だった。
夏の強い日差しが、先輩の後ろから差し込み、先輩の顔を見るのが眩しい。でも、このまま、ずっと見ていたい気持ちが抑えられなかった。
帰り道で、何を話していいかわからず、先輩だけが話し、私は頷くだけだった。
「今井さんは、1年B組だよな。」
「はい。」
「担任って、英語担当の新井だよな。あの先生、俺たち、太っているからポンポコというあだ名で呼んでたけど、今井さんたちもそう呼んでるの?」
「ええ。」
「そうなんだ。あいつ発音も悪いし、なんかおっちょこちょいだけど、思いというか熱意はあって、そんなに嫌いじゃないんだよな。」
私が、ほとんどしゃべらないものだから、先輩は駅について、別方向の電車に乗るまで、ずっと話し続けてくれたの。私の顔を振り向かせようと。
なんの話しをしていたのかはよく覚えていないし、周りの風景も目に入らなかったけど、先輩の笑顔、私への優しさ、そして私を振り向かせたいという熱意は伝わって嬉しかった。
その晩、ベットの中で、先輩の顔ばかりが思い出され、寝れなかった。そして、夢の中で、先輩は私をきつく抱いてくれた。
それから、サッカーの練習がない時は、一緒に帰る日が増えて、駅のベンチで暗くなるまで、ずっと話し続けるような日も増えていったの。
そんな関係を続けて2ヶ月ぐらい経った頃かしら、休日に、横浜に遊びに行ったことはよく覚えている。
そろそろ、手を握って欲しいなと思って近づいて歩いていたら、気づいてくれたのか、レンガ倉庫の前を歩いているとき、自然に私の手を握ってくれたの。
先輩の手は少し汗をかいていたようだったけど、男性の手って、とっても暖かいのね。そして、ゴツゴツ感はあるけど太くがっちりしていて、力強くて頼もしいと感じた。また、手を通じて、こんなに温かい気持ちが伝わるんだと感激したわ。
そして、海岸沿いを歩いていると、だんだん日が落ちていき、大さん橋で、夕日が周りを真っ赤に染め、高いビルがシルエットになっている。そして、夕日が水面に移り、水面が揺れるたびにキラキラと輝いていた。
その時、キレイねと伝えようと先輩の顔をみたら、先輩の顔がすぐ横にあって、先輩の唇が私の顔に近づいてきた。驚いて、固まっていたら、唇が温かくてやわらかい先輩の口で塞がれ、夕日の中で初キスを経験した。
毎日、新しい経験ばかりで充実していた。キスをした翌日の月曜日なんて、学校に行って男性生徒を見るたびに、先輩とのキスの瞬間を思い出して、知らない男性でも、まともに顔をみることができなかったの。クラスメートからも顔が赤いよといわれちゃった。
先輩は、いつも優しい言葉をかけてくれて、私は、周りが見えなくなった。世の中には2人しかいない、自分が特別な人じゃないかと舞い上がっていたの。
そして、友達と一緒に旅行に行くと両親に嘘をつき、先輩と一緒に伊豆のペンションに泊まりにいき、初体験をした。ペンションでは、嘘の年齢を伝えたときは、ドキドキだった。
ペンションでは、おしゃれなフレンチをノンアルコールのワインでいただいて、私も、初めていっぱいしゃべった。私のことを知ってもらいたくて。
その後、お風呂に入った後、寝巻きを着て同じ部屋で過ごしたときは、もう胸の鼓動を止めることができなかった。髪の毛をドライヤーで乾かしているときは、恥ずかしくて、鏡に顔を向け、先輩の顔を見れずに、ただ微笑んでいたの。
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朝、ベットで起きて、先輩があどけない顔で寝ている姿をみて、本当に幸せに浸ったわ。この人とずっと一緒にいるって。
でも、半年が経ち、先輩も大学受験であまり会えない日々が続き、そして、次に私も受験で忙しくなり、なんとなく関係は疎遠になっていったの。あんなに仲良かったのに、いつの間にか私たちの関係は自然消滅していた。
あんなに夢中だったのに、冷めている自分には驚いた。また、そんなことに気づかずに日が経っている私って、何なんだろう。
ただ、大学に入って1年が過ぎたぐらいかしら、道端で、なんと先輩と再会したの。
「あれ、みうじゃないか。久しぶり。」
「あ、祐樹だ。本当に久しぶり。元気だった?」
「ああ、とっても元気だよ。みうは、もう大学生だよね。」
「ええ、この近くの女子大に入ったの。」
「そうなんだ。ところで、せっかく再会したんだから、これから飲みにでも行かない?」
「行こうか。私、まだ20歳じゃないけど、飲んでもいいわよね。行こう、行こう。楽しみ。」
別に嫌いになって別れたわけじゃなかったから、楽しく飲んで、その後、祐樹と一緒に一晩過ごした。
朝起きて、横にある祐樹の顔は高校の時と同じだった。そして、起きたら、笑顔で私の髪の毛をなでてくれた。優しさも変わらない。
真っ白なシーツにフカフカの掛ふとんが暖かくて、軽く包まれた感覚が、祐樹の気持ちのように感じた。
祐樹の笑顔も、なにも変わってなくて、ずっと私を笑わそうとがんばってくれていた。私は、高校の時の幸せな時間が戻ってくると思い、再び、心が満たされる日々が続いた。
「みうと再会できてよかった。高校の終わり頃、わかれちゃって、本当に暗い日々を過ごしていたんだ。どうして、あの時、別れちゃったんだろうね。」
「本当にそう。どうして別れちゃったんだろう。でも、せっかく会えたんだから、これからはずっと一緒にいようね。」
「ずっと、みうを大切にするよ。」
「ありがとう。嬉しい。」
祐樹と結婚する日を遠くに夢見つつ、今は、もっと楽しいことがいっぱいあった。大阪のUSJとか、神戸とか、福岡とか、月に1回ぐらい旅行に行って、2人の写真も増えていった。
男の人って、頼れると思う時と、本当に馬鹿だなと思うときの両方があるじゃない。2人で写真を撮るときには、いつも、祐樹はふざけていたけど、それが楽しかった。
また、祐樹ったら、起きたばかりで下着姿の私と一緒に写真を撮ろうとするから、やめてよと言って枕を投げたりとか、ほのぼのとした時間を過ごしていた。このまま、ずっと、この時間が続くと思いながら。
でも、この幸せはそんなに続かなかった。事件が起きたの。先輩との子供を妊娠してしまった。誰にも相談できずに暗い日々が続いたけど、放置できずに、祐樹に相談することにしたわ。
そしたら、祐樹は、本当に僕の子かというじゃない。よくある展開だけど、その言葉に、男性への期待はなくなり、病院の先生には強姦されたと、目に涙を浮かべて嘘をつき、1人で堕ろすことにした。
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