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第2章 隕石の襲来
1話 婚前旅行
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この前の誘いは、ちょっと強引すぎたかしら。いえ、お酒のせいにしておけば大丈夫、大丈夫。河北さん、まんざら嫌ではなさそうだったし。
この調子なら、強引に1つの部屋しか取れなかったと言っておけばいい。そうすれば、成り行きで一緒に過ごせる。まあ、河北さんは、そんなことは気にしないと思う。
あの晩は、悪夢を見ることなく、ぐっすり寝ることができた。河北さんは、私にとって、普通とは違う意味で、心安らぐ存在になるんだと思う。
でも、こんな私が、心安らぐ時間を期待していいのかしら。でも、考えても仕方がない。もう走り出してるんだから、前に進むしかないの。
心は、どす黒い闇に包まれているけど、そんなことは顔に出さず、とびきり明るく振る舞うしかない。
「おはよう。なんか、いつもと違ってスポーティーな服で来たね。そんな今井さんも可愛いよ。」
「おはようございます。また、朝からお褒めいただいちゃって、ありがとうございます。ところで、旅行って、新幹線の席で食べるお弁当も楽しみの一つですよね。イクラしゃけ弁当を買ってきたので食べちゃいますね。河北さんは、朝ご飯はどうするんですか。」
東京駅で待ち合わせると社内の人に見つかるかもしれないから、新幹線には、河北さんは東京駅から乗り、私は大宮駅から乗ることにした。だから、大宮駅で一緒になったの。
河北さんも、いかにも山歩きという服装で、登山靴は、乾いた泥で少し汚れているわね。よく、山にいっているんだと思う。でも、日帰りということなのか、リュックは思ったより小さく、無造作に足元に置かれていた。
私もリュックは足元に置いて、新幹線の席には、ガサツと思われないように、ゆっくりと座った。心の中を読まれないように、笑顔いっぱいで、明るい雰囲気作りに徹することにした。過去のことは、今更、どうしようもないから。
新幹線は走り出し、窓からは、家々が次々と流れていく。河北さんには、2列シートの窓側に座ってもらっているから、河北さんの顔を見ると、朝日が正面から入ってきて眩しいけど、今は笑顔で顔を見つめ、喋り続けよう。
河北さんは、テーブルをおろして、買ってきたレジ袋をテーブルの上に置いたけど、まだ眠たそうにしている。髪なんかも、いつもと違って、少し乱れているわね。完璧でドライな人というわけでもなさそう。
まだ眠そうな河北さんは、そうはいっても笑顔で話しかけてきた。
「私はカツサンド買ってきたから食べようかな。どうぞ、食べて。ところで、これから、郡山で降りて、すぐに乗り換えて磐梯熱海駅で降り、予約しているタクシーで登山口に向かうことになっている。念のために言っておくね。」
「わかりました。楽しみだな。でも、別々の駅で乗って待ち合わせって、いかにも夫婦じゃないし、不倫と思われているかもしれないですね。なんか、ドキドキです。」
「大人をちゃかすんじゃないよ。まあ、周りからどう思われても、これから会うこともない人達だろうから問題はないけど。」
「そうか。ところで、河北さんって、本当にお肉お好きですよね。お魚も食べないとダメですよ。」
「お魚も食べてるよ。お寿司とか好きだし。」
「どんなネタが好きなんですか?」
「はまちとか、サーモンとか、マグロのトロとかかな。マグロの赤身はそんなに美味しいとは思わないけど。」
「私も、マグロの件は一票入れようかな。しめ鯖とか、甘エビとか、鰻とかはどうですか?」
「それらも美味しそうだね。」
「では、次はお寿司屋ですね。楽しみ。お酒とか何が好きなんですか?」
「さっきから質問攻めだね。お酒か。強いお酒とか好きで、スピリッツ系、ウォッカとか、焼酎とか、あとウィスキーとか好きかな。」
「ワインとか、日本酒はお嫌いなんですか?」
「ワインも、日本酒も大好きだよ。結局、アルコールが入っていれば、なんでも大好きなんだ。」
「そうなんですか。では、お寿司屋さんで、ワイングラスで日本酒を飲み、その後、ショットバーでウィスキーをという感じですね。予約しておきます。」
「あれ、いつの間にか、次の予約が入っちゃったね。」
「そうそう、放っておきませんから。そういえば、河北さんは、品川にお住まいでしたよね。お寿司って言うと、築地あたりのお店でいいですか?」
「任せるよ。」
「はい、任されました。」
私は、無理して、両手でハートマークを作り、顔を傾けて微笑んだ。そんな風に振る舞わないと、罪悪感が顔の表情から出てしまいそうだったから。
「そんな可愛いポーズもできるんだ。」
「あれ、私のこと、これまでどう思ってきたんですか?」
少しやりすぎたかしら。まあ、拒否られているわけでないし、これが普通と思わせれば、こちらのペースで持っていける。まずは、好きなものの話しをして、それを一緒にと言えば、断れないはずよ。
次は、海外旅行かな。どこに行きたいかとか聞こう。とは言っても、重たい女とか思われないように、1つのイベントの後に1つ提案という感じかな。でも、河北さんは仕事で海外とかしょっちゅう行っているから、どこがいいだろう。
仕事ということはレジャーの観光地とか行っていないということかもしれないわ。だと、モルディブとか、いやいや山が好きなんだから、登れるところとか、でも、そんな本格的なところに私はついていけるのかな? オーロラを見るとか幻想的かも。
「なんか楽しそうだね。何考えていたの?」
「いえいえ。あれ、宇都宮駅だって。宇都宮って、こんな所にあったんだ。知らなかった。」
「東京にずっといると、栃木とか来ること少ないもんね。」
2人はタクシーに乗り換え、順調に登山口まで来て、山歩きを始めた。
歩き始めてすぐに滝があり、虹がかかっている。また、紅葉の時期なので、周りの風景は、一面、黄色やオレンジ、とても美しかった。登山は、体力があれば、楽しいんだと思う。私の心はまだ、楽しめるまでには回復していなかったけど。
大きな岩がごろごろしている所を過ぎたころかしら、まだ10月下旬なのに、途中から、所々、地面に雪のようなものがあって、すべらないように注意して歩いていった。
東京にいると、まだ秋だから、雪なんて想像もしていなかったけど、東北の山は違うのかもしれない。
天候は少し曇ってきて、細かく雪のようなものが強い風にのって体にあたる。でも、吹雪などといった心配はなさそうで、登山には支障はなさそうだった。
むしろ、暗い風景が、また、私に、昔のことを思い出させていた。でも、彼が一緒だから、少なくとも、その時間だけは、あの事件のことは忘れよう。
この調子なら、強引に1つの部屋しか取れなかったと言っておけばいい。そうすれば、成り行きで一緒に過ごせる。まあ、河北さんは、そんなことは気にしないと思う。
あの晩は、悪夢を見ることなく、ぐっすり寝ることができた。河北さんは、私にとって、普通とは違う意味で、心安らぐ存在になるんだと思う。
でも、こんな私が、心安らぐ時間を期待していいのかしら。でも、考えても仕方がない。もう走り出してるんだから、前に進むしかないの。
心は、どす黒い闇に包まれているけど、そんなことは顔に出さず、とびきり明るく振る舞うしかない。
「おはよう。なんか、いつもと違ってスポーティーな服で来たね。そんな今井さんも可愛いよ。」
「おはようございます。また、朝からお褒めいただいちゃって、ありがとうございます。ところで、旅行って、新幹線の席で食べるお弁当も楽しみの一つですよね。イクラしゃけ弁当を買ってきたので食べちゃいますね。河北さんは、朝ご飯はどうするんですか。」
東京駅で待ち合わせると社内の人に見つかるかもしれないから、新幹線には、河北さんは東京駅から乗り、私は大宮駅から乗ることにした。だから、大宮駅で一緒になったの。
河北さんも、いかにも山歩きという服装で、登山靴は、乾いた泥で少し汚れているわね。よく、山にいっているんだと思う。でも、日帰りということなのか、リュックは思ったより小さく、無造作に足元に置かれていた。
私もリュックは足元に置いて、新幹線の席には、ガサツと思われないように、ゆっくりと座った。心の中を読まれないように、笑顔いっぱいで、明るい雰囲気作りに徹することにした。過去のことは、今更、どうしようもないから。
新幹線は走り出し、窓からは、家々が次々と流れていく。河北さんには、2列シートの窓側に座ってもらっているから、河北さんの顔を見ると、朝日が正面から入ってきて眩しいけど、今は笑顔で顔を見つめ、喋り続けよう。
河北さんは、テーブルをおろして、買ってきたレジ袋をテーブルの上に置いたけど、まだ眠たそうにしている。髪なんかも、いつもと違って、少し乱れているわね。完璧でドライな人というわけでもなさそう。
まだ眠そうな河北さんは、そうはいっても笑顔で話しかけてきた。
「私はカツサンド買ってきたから食べようかな。どうぞ、食べて。ところで、これから、郡山で降りて、すぐに乗り換えて磐梯熱海駅で降り、予約しているタクシーで登山口に向かうことになっている。念のために言っておくね。」
「わかりました。楽しみだな。でも、別々の駅で乗って待ち合わせって、いかにも夫婦じゃないし、不倫と思われているかもしれないですね。なんか、ドキドキです。」
「大人をちゃかすんじゃないよ。まあ、周りからどう思われても、これから会うこともない人達だろうから問題はないけど。」
「そうか。ところで、河北さんって、本当にお肉お好きですよね。お魚も食べないとダメですよ。」
「お魚も食べてるよ。お寿司とか好きだし。」
「どんなネタが好きなんですか?」
「はまちとか、サーモンとか、マグロのトロとかかな。マグロの赤身はそんなに美味しいとは思わないけど。」
「私も、マグロの件は一票入れようかな。しめ鯖とか、甘エビとか、鰻とかはどうですか?」
「それらも美味しそうだね。」
「では、次はお寿司屋ですね。楽しみ。お酒とか何が好きなんですか?」
「さっきから質問攻めだね。お酒か。強いお酒とか好きで、スピリッツ系、ウォッカとか、焼酎とか、あとウィスキーとか好きかな。」
「ワインとか、日本酒はお嫌いなんですか?」
「ワインも、日本酒も大好きだよ。結局、アルコールが入っていれば、なんでも大好きなんだ。」
「そうなんですか。では、お寿司屋さんで、ワイングラスで日本酒を飲み、その後、ショットバーでウィスキーをという感じですね。予約しておきます。」
「あれ、いつの間にか、次の予約が入っちゃったね。」
「そうそう、放っておきませんから。そういえば、河北さんは、品川にお住まいでしたよね。お寿司って言うと、築地あたりのお店でいいですか?」
「任せるよ。」
「はい、任されました。」
私は、無理して、両手でハートマークを作り、顔を傾けて微笑んだ。そんな風に振る舞わないと、罪悪感が顔の表情から出てしまいそうだったから。
「そんな可愛いポーズもできるんだ。」
「あれ、私のこと、これまでどう思ってきたんですか?」
少しやりすぎたかしら。まあ、拒否られているわけでないし、これが普通と思わせれば、こちらのペースで持っていける。まずは、好きなものの話しをして、それを一緒にと言えば、断れないはずよ。
次は、海外旅行かな。どこに行きたいかとか聞こう。とは言っても、重たい女とか思われないように、1つのイベントの後に1つ提案という感じかな。でも、河北さんは仕事で海外とかしょっちゅう行っているから、どこがいいだろう。
仕事ということはレジャーの観光地とか行っていないということかもしれないわ。だと、モルディブとか、いやいや山が好きなんだから、登れるところとか、でも、そんな本格的なところに私はついていけるのかな? オーロラを見るとか幻想的かも。
「なんか楽しそうだね。何考えていたの?」
「いえいえ。あれ、宇都宮駅だって。宇都宮って、こんな所にあったんだ。知らなかった。」
「東京にずっといると、栃木とか来ること少ないもんね。」
2人はタクシーに乗り換え、順調に登山口まで来て、山歩きを始めた。
歩き始めてすぐに滝があり、虹がかかっている。また、紅葉の時期なので、周りの風景は、一面、黄色やオレンジ、とても美しかった。登山は、体力があれば、楽しいんだと思う。私の心はまだ、楽しめるまでには回復していなかったけど。
大きな岩がごろごろしている所を過ぎたころかしら、まだ10月下旬なのに、途中から、所々、地面に雪のようなものがあって、すべらないように注意して歩いていった。
東京にいると、まだ秋だから、雪なんて想像もしていなかったけど、東北の山は違うのかもしれない。
天候は少し曇ってきて、細かく雪のようなものが強い風にのって体にあたる。でも、吹雪などといった心配はなさそうで、登山には支障はなさそうだった。
むしろ、暗い風景が、また、私に、昔のことを思い出させていた。でも、彼が一緒だから、少なくとも、その時間だけは、あの事件のことは忘れよう。
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