7 / 9
7話 彼との別れ
しおりを挟む
竜也のご両親にご挨拶にいった後、とんでもないことが起きたの。そう、誰にも言えない3つ目のことが発覚した。
私が大学生になり、男性から女性に変わったすぐ後ぐらいに、家に帰るとお母さんが真っ暗な部屋で泣いていたの。
何かと聞いたら、お父さんが、電車の中で痴漢として逮捕され、それで会社をクビになったって。離婚するのは当然で、慰謝料もたくさんもらうけど、それ以上に恥ずかしくて生きていけないと泣いていた。
お母さんの実家は、お金持ちで、お父さんと離婚しても暮らしには困らなかった。大学もこれまでどおり通うことができた。
だけど、なぜか、私の大学の友人とか、その事件のことを知っていて、私を見るみんなの目は冷たかった。私には、嫌らしい遺伝子が入っているって。私には、関係ないのに。
そして、大学では、私ははぶられるようになり、飲み会とかにも呼ばれなくなった。そして、孤独になったし、引け目を感じて、いろいろなところで、暗い日々を送ることになったの。
その頃は、見えるものは全て灰色で、私から色が消えた。そして、みんなが私のことを、汚らわしいものでも見てるように思えて、いつも、陰に隠れて過ごすような生活をしていた。
大学の校庭を歩くと、サークルでテニスをしている人たちが、練習の合間に楽しそうに話している姿が見える。どうして、私は、この人たちのように過ごせないんだろう。
お父さんのことは私のせいじゃない。でも、みんな私が汚らわしいと見てくる。どうして、こんなに世の中は不公平なんだろう。
大学生なのに、サークル活動に参加せず、授業が終わるとすぐに家に閉じこもっていた。大学の最後の2年は、本当に辛かった。
でも、今の会社は、その事件について知らなかったのか、素直に入社できたことはラッキーだった。だから、お父さんの事件のことはすっかり忘れていたの。
でも、竜也のご両親は、この事件のことを、どうやってかは不明だけど見つけ出し、私のせいじゃないけど、息子を、このような事件を起こした家族の一員にはできないと言い出した。そして、竜也もごめんって言って、私を守ってくれなかった。
私は、この人とずっと一緒にいられると喜んでいたのに、一瞬にして崩れ去ったことに、目の前が真っ暗になったわ。
そして、家に帰ると、お母さんをたたき、お母さんのせいだと大声で責めたの。お母さんは、ごめんなさいといい、2人で泣き崩れた。
その後、竜也から、お詫びのメールが来て、ご両親にあの事件のことを伝えたのは、芽衣だったと聞いた。それを聞いた私は、復讐する気持ちに溢れて、自分を止められなかった。もともと、竜也を芽衣から奪ったのは私だったのに。
芽衣は、その頃、あのホストが自分を貶めたにもかかわらず、そのホストにはまり、財産を失い、借金までしていた。でも、なんとか20万円ぐらい借りて、私の過去を調べたらしい。恨みを晴らすって。
ひどい。幸せの絶頂だった私を崖から突き落とすなんて。私は、気づいたら、夜道を歩く芽衣を待ち伏せしていた。
「芽衣、ひどいじゃない。竜也と私との仲を壊すなんて。」
「そもそも、あなたが竜也を奪ったんでしょう。また、痴漢のことは、私が作りだしたものじゃなくて事実だし。それを知ってもらっただけで、私が悪いわけじゃないわよ。」
「そうだとしても、芽衣が言う必要はないのよ。」
私は、怒りを抑えられなくなって、芽衣を突き飛ばした。その時に、運悪く、トラックが走ってきて、芽衣は轢かれてしまった。私は、別に殺そうとして突き飛ばしたわけじゃない。
周りを見渡したけど、監視カメラとかがあるように見えなかったし、帽子もかぶっていたので、私と分からないと思い、その場から走って逃げたの。
翌朝、女性が事故で轢かれたというニュースがでていた。また、警察がきたけど、私は昔、親友だったけど、芽衣が部屋に入ってきて暴行されて以来、会っていないと答えておいたら、それ以降は警察も来なくなった。
ニュースとかで見ている限り、ホストにお金をむしり取られ、お金がなくなったら相手にされなくなり、また借金が膨らみすぎたことに悲観し、自殺したんじゃないかということで決着したように見えたわ。
私は、胸をなでおろした。怒りに任せて動いちゃったけど、今回は、なんとか問題にならずに終わらせることができた。しかも、私を恨んでた人を排除できたし。
でも、竜也が戻ることがないのは変わりがない。本当に、余計なことをして。だから、死んで当然なのよ。
私は、ベットで横たわりながら、そんなことを本心から思っている自分に、本当に人格が変わっちゃったと、ふと我に返り驚いていた。でも、もう私には、自分を止めることはできない。
いつの間にか寝ていたら、ふと、大きな鳥が羽ばたいて降りてくる気配を感じた。そして、目を開けると、天井がなくなっていて、星空が見える。私はどこにいるの?
いきなり、大きな鳥は私に向かって降りてきて、鋭い爪があるその足で私をつかみ、再び、空に向かって飛び始めた。
10階建てのマンションが真下にみえているから、地上30mぐらいの所にいるんだと思う。強風が吹くなか、街と私の間には何もないこの状況に恐怖を感じていた。
そういえば、男子高校生のときに学校の屋上から飛び降りた時、学校は4階建てだったから、ちょうどこの半分ぐらいだったと思う。あの時は、死ぬことしか考えていなかったから怖くなかったけど、今は、再びあの痛みを感じるのかと思い、恐怖の中にいた。
いつのまにか、器用に私は、地面が見える方にひっくり返されていた。今見える家々からは暖かい光が窓からもれる。みんな、家族で幸せな時間を過ごしているのだと思う。
どうして、私だけ、いじめられて、彼との仲は引き裂かれ、そして、このような恐怖体験をしなければならないの。みんなは幸せに生きているのに。
前世での悪行とかが原因だというの。そんなもの私に関係ないし。芽衣のことだって、私も悪いところはあるけど、芽衣が悪いんじゃない。芽衣のせいで、婚約者と破談になってしまったのよ。あれだけ夢みた竜也との生活が・・・。
みんな不幸になって、死んでしまえばいいのよ。
そう思った時だった。鳥は足を開き、私は地面に向けて落ちていった。そんな長い時間じゃないと思うけど、落ちていく時間は永遠に感じた。
そして、私はアスファルトの道路に叩きつけられて骨は砕け、手足を動かそうと思っても少しも動かない。
そして体中に激痛が走っている。体中をハンマーで殴られたように痛い。もう、許して。
そう思った時、私は目が覚めた。目にはたくさんの涙をうかべて。そして、手足は動くけど体中に激痛がはしる。どこまで続くのかしら。
ところで、今から振り返ると、どうして男性だった私が女性となったんだろう。そして、いつの間にか、心も女性となり、男性をめぐって親友を殺してしまった。私は、どこに向かっているんだろう。
私が大学生になり、男性から女性に変わったすぐ後ぐらいに、家に帰るとお母さんが真っ暗な部屋で泣いていたの。
何かと聞いたら、お父さんが、電車の中で痴漢として逮捕され、それで会社をクビになったって。離婚するのは当然で、慰謝料もたくさんもらうけど、それ以上に恥ずかしくて生きていけないと泣いていた。
お母さんの実家は、お金持ちで、お父さんと離婚しても暮らしには困らなかった。大学もこれまでどおり通うことができた。
だけど、なぜか、私の大学の友人とか、その事件のことを知っていて、私を見るみんなの目は冷たかった。私には、嫌らしい遺伝子が入っているって。私には、関係ないのに。
そして、大学では、私ははぶられるようになり、飲み会とかにも呼ばれなくなった。そして、孤独になったし、引け目を感じて、いろいろなところで、暗い日々を送ることになったの。
その頃は、見えるものは全て灰色で、私から色が消えた。そして、みんなが私のことを、汚らわしいものでも見てるように思えて、いつも、陰に隠れて過ごすような生活をしていた。
大学の校庭を歩くと、サークルでテニスをしている人たちが、練習の合間に楽しそうに話している姿が見える。どうして、私は、この人たちのように過ごせないんだろう。
お父さんのことは私のせいじゃない。でも、みんな私が汚らわしいと見てくる。どうして、こんなに世の中は不公平なんだろう。
大学生なのに、サークル活動に参加せず、授業が終わるとすぐに家に閉じこもっていた。大学の最後の2年は、本当に辛かった。
でも、今の会社は、その事件について知らなかったのか、素直に入社できたことはラッキーだった。だから、お父さんの事件のことはすっかり忘れていたの。
でも、竜也のご両親は、この事件のことを、どうやってかは不明だけど見つけ出し、私のせいじゃないけど、息子を、このような事件を起こした家族の一員にはできないと言い出した。そして、竜也もごめんって言って、私を守ってくれなかった。
私は、この人とずっと一緒にいられると喜んでいたのに、一瞬にして崩れ去ったことに、目の前が真っ暗になったわ。
そして、家に帰ると、お母さんをたたき、お母さんのせいだと大声で責めたの。お母さんは、ごめんなさいといい、2人で泣き崩れた。
その後、竜也から、お詫びのメールが来て、ご両親にあの事件のことを伝えたのは、芽衣だったと聞いた。それを聞いた私は、復讐する気持ちに溢れて、自分を止められなかった。もともと、竜也を芽衣から奪ったのは私だったのに。
芽衣は、その頃、あのホストが自分を貶めたにもかかわらず、そのホストにはまり、財産を失い、借金までしていた。でも、なんとか20万円ぐらい借りて、私の過去を調べたらしい。恨みを晴らすって。
ひどい。幸せの絶頂だった私を崖から突き落とすなんて。私は、気づいたら、夜道を歩く芽衣を待ち伏せしていた。
「芽衣、ひどいじゃない。竜也と私との仲を壊すなんて。」
「そもそも、あなたが竜也を奪ったんでしょう。また、痴漢のことは、私が作りだしたものじゃなくて事実だし。それを知ってもらっただけで、私が悪いわけじゃないわよ。」
「そうだとしても、芽衣が言う必要はないのよ。」
私は、怒りを抑えられなくなって、芽衣を突き飛ばした。その時に、運悪く、トラックが走ってきて、芽衣は轢かれてしまった。私は、別に殺そうとして突き飛ばしたわけじゃない。
周りを見渡したけど、監視カメラとかがあるように見えなかったし、帽子もかぶっていたので、私と分からないと思い、その場から走って逃げたの。
翌朝、女性が事故で轢かれたというニュースがでていた。また、警察がきたけど、私は昔、親友だったけど、芽衣が部屋に入ってきて暴行されて以来、会っていないと答えておいたら、それ以降は警察も来なくなった。
ニュースとかで見ている限り、ホストにお金をむしり取られ、お金がなくなったら相手にされなくなり、また借金が膨らみすぎたことに悲観し、自殺したんじゃないかということで決着したように見えたわ。
私は、胸をなでおろした。怒りに任せて動いちゃったけど、今回は、なんとか問題にならずに終わらせることができた。しかも、私を恨んでた人を排除できたし。
でも、竜也が戻ることがないのは変わりがない。本当に、余計なことをして。だから、死んで当然なのよ。
私は、ベットで横たわりながら、そんなことを本心から思っている自分に、本当に人格が変わっちゃったと、ふと我に返り驚いていた。でも、もう私には、自分を止めることはできない。
いつの間にか寝ていたら、ふと、大きな鳥が羽ばたいて降りてくる気配を感じた。そして、目を開けると、天井がなくなっていて、星空が見える。私はどこにいるの?
いきなり、大きな鳥は私に向かって降りてきて、鋭い爪があるその足で私をつかみ、再び、空に向かって飛び始めた。
10階建てのマンションが真下にみえているから、地上30mぐらいの所にいるんだと思う。強風が吹くなか、街と私の間には何もないこの状況に恐怖を感じていた。
そういえば、男子高校生のときに学校の屋上から飛び降りた時、学校は4階建てだったから、ちょうどこの半分ぐらいだったと思う。あの時は、死ぬことしか考えていなかったから怖くなかったけど、今は、再びあの痛みを感じるのかと思い、恐怖の中にいた。
いつのまにか、器用に私は、地面が見える方にひっくり返されていた。今見える家々からは暖かい光が窓からもれる。みんな、家族で幸せな時間を過ごしているのだと思う。
どうして、私だけ、いじめられて、彼との仲は引き裂かれ、そして、このような恐怖体験をしなければならないの。みんなは幸せに生きているのに。
前世での悪行とかが原因だというの。そんなもの私に関係ないし。芽衣のことだって、私も悪いところはあるけど、芽衣が悪いんじゃない。芽衣のせいで、婚約者と破談になってしまったのよ。あれだけ夢みた竜也との生活が・・・。
みんな不幸になって、死んでしまえばいいのよ。
そう思った時だった。鳥は足を開き、私は地面に向けて落ちていった。そんな長い時間じゃないと思うけど、落ちていく時間は永遠に感じた。
そして、私はアスファルトの道路に叩きつけられて骨は砕け、手足を動かそうと思っても少しも動かない。
そして体中に激痛が走っている。体中をハンマーで殴られたように痛い。もう、許して。
そう思った時、私は目が覚めた。目にはたくさんの涙をうかべて。そして、手足は動くけど体中に激痛がはしる。どこまで続くのかしら。
ところで、今から振り返ると、どうして男性だった私が女性となったんだろう。そして、いつの間にか、心も女性となり、男性をめぐって親友を殺してしまった。私は、どこに向かっているんだろう。
1
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
バスト105cm巨乳チアガール”妙子” 地獄の学園生活
アダルト小説家 迎夕紀
青春
バスト105cmの美少女、妙子はチアリーディング部に所属する女の子。
彼女の通う聖マリエンヌ女学院では女の子達に売春を強要することで多額の利益を得ていた。
ダイエットのために部活でシゴかれ、いやらしい衣装を着てコンパニオンをさせられ、そしてボロボロの身体に鞭打って下半身接待もさせられる妙子の地獄の学園生活。
---
主人公の女の子
名前:妙子
職業:女子学生
身長:163cm
体重:56kg
パスト:105cm
ウェスト:60cm
ヒップ:95cm
---
----
*こちらは表現を抑えた少ない話数の一般公開版です。大幅に加筆し、より過激な表現を含む全編32話(プロローグ1話、本編31話)を読みたい方は以下のURLをご参照下さい。
https://note.com/adult_mukaiyuki/m/m05341b80803d
---
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる