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愛をささやく終
しおりを挟む「本当に……俺でいいの?」
「煌人がいいの」
「だから、それは反則だっての」
少し震える声で笑いながら。
煌人は、更にギュッと私を抱きしめた。
「凛、素直になっていい?」
「いいよ?」
「キスしたい」
「……っぷ」
言うと思った。
そう思って笑うと「えらく余裕じゃねーか」と。私の頭上に顎を置いた煌人が、グリグリと地味な攻撃をしてきた。
「いた、いたたっ」
「俺の愛を思い知れ」
「ふふ、なにそれ」
何を言ってんだか、と煌人に呆れる一方で。
私も……何言ってんだって思いながら。
こんなことを、煌人に提案した
「煌人、私も……甘えていい?」
「ん、いいよ」
「キスして。今すぐ」
「っ!」
ボッと、私よりも顔を赤くした煌人。
だけど、ちゃっかり人がいないのを確認しているんだから、笑っちゃう。
「やっぱウソとかなしな」
「ふふ、分かってるって」
そして一瞬だけ、静かになった私たち。
お互いの口を、お互いの口で塞いで。
そして暫くして、二人で笑い合った。
その後は――
「そう言えば、煌人のお母さんから家に招待されたよ」
「なんで!?」
「楽しみですって返事しといた」
「なんでだよ!?」
いつものように言い合う私たち。
少し変わったところと言えば、
お互いの手が隙間なく繋がっているところ。
それと……
「凛、こうなったら凜のお父さんも呼べ」
「なんで?」
「もういっそ婚約式にしちまおーぜ」
「……ふふ、いいね」
「はは、だろ!」
お互いが、素直になったところ。
少しだけ成長した私たちは、新たな一歩を踏み出した。
まだまだ右も左も分からない私たちだけど、
きっと二人でいれば何でも解決できるって、そう思える。
「煌人」
「ん?」
「好きだよ」
「っ、お前は……もう!」
「ふふ」
プライドを捨てて、
自分に素直になって、
たまに、甘えてみる。
そうしたら、きっと――
「俺も、凛の事が世界で一番大好き」
「……っ、もうおしまい」
「はい、照れた―。凛の負け」
「やだ、もう一回する!」
本音でぶつかれば、きっと、
かけがえのない大切なものに出会えるから。
今まで気づけなかった想いや愛を、
知ることが出来るから。
「ごめん凛……ちょっと休憩させて。心臓がドキドキ動きすぎてしんどい」
「……ぷっ」
「笑うなよ!」
「ごめんって。じゃあ、ちょっと休憩ね」
「そうしたら二回戦な!」
「はいはい」
だから、探しにいこうか。
大切なものを見つけに行こう。
そしてその先の幸せに向かって、
キミと一緒に、手を伸ばし続けるんだ。
「あ、そう言えば凛。
また、あの駅に行こうぜ」
「あの駅?」
「そう。凜のご両親のところ。彼氏ですって挨拶したいんだ。あ、今度は真さんも一緒に」
「ッ!」
「な?」
「うん、そうだね。
皆で一緒に、ねッ」
【⠀大嫌いなキミに愛をささやく日 】
< end >
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