18 / 40
*煌人*2
しおりを挟む
「あら、鳳条くん。どうしてここに?」
「あ、いえ。今まで三田一家と話をしていて」
そう言うと、先生は「そう」と頷いた。
そして「うーん」と言いながら、なにか悩みがあるように。深いため息をついた。
「何かあったんですか?」
「実は今朝”誰かに見られてる気がする”って、三田さんから相談があったのよ」
「はぁ?」
誰かに見られてるって……。
それストーカーじゃねぇか!!
「そ、それで犯人は、」
「検討もつかないわ。だから下校時の見回りを強化する事で、学校側は対応するんだけど……。さっきお父さんと先生が二人きりだったじゃない?ちょうどいいと思って、その話をしたら――
”大丈夫ですよ”って言うの」
「だ、大丈夫って……」
何が、どう、大丈夫なんだよ?
娘がストーカーに遭ってるんだぞ?
ってか凛も凛だよ!
なんでそんな大事な事を、俺に言わねーんだよ!
「お、俺が!」
「え?」
「俺が……何とかしてもいいですか?」
「でも、生徒を巻き込むわけには、」
「いえ!俺が何とかします……!」
ビシッと、迷いなく言い切る。
すると先生はヤレヤレという表情を浮かべ、俺を見て笑った。
そして「無理しないでよ?」と念を押す。
「鳳条くんにはいつもSPがついてるから、正直、学校が動くよりも確実よね」
「SPなんていませんけど?」
「たまに迎えに来てくれる男の方がいるじゃない!見る度に、先生ドッキドキでね!」
「(執事……。さすが天然女キラー……)」
頬を染める先生と、俺にプロレス技をかけたアイツ。
頭の中に浮かんだ雑念たちを、ため息一つで吹き飛ばす。
「はぁ。じゃあ、とりあえず。凛が登下校する時は、必ず隣にいるようにします」
「助かるわ」
「凛から新たな相談があったら、俺に教えてください」
そう言うと、先生は首をひねる。
「三田さんに直接聞けばいいじゃない」と。
「……」
「……」
ふ……。甘いな、先生。
「凛に”ストーカーから守ってやる”なんて言ったら……。俺に不信感を抱いた凜が、忍術とか使って、雲隠れしそうですからね」
それか、ストレートに「嫌。キモイ。ほっといて」だな。
だけど担任は別のところに食いついたのか「え!」と嬉しそうな顔をした。
「三田さんは忍術を使えるの!?」
「言葉のあやですってば」
「わ、分かってるわよ……」
少し残念そうなのは、気のせいという事にしよう。
しかもその後に、意味深な笑みを、俺に向けて来た。
「にしても――フフ。愛ねぇ」
「放っておいてください……」
「守ってあげてね、三田さんを。よろしくね」
「……任せてください」
凛には、指一本触れさせませんから――
そうして。
凛が、真さんを玄関まで送った後。
一人でそそくさと帰ろうとする凛の隣に、俺はしれっと並んだ。
「なんで煌人と一緒に帰らないといけないの?」
「こっちのセリフだっての。帰る方角が一緒って、ほんと嫌になるよな」
もちろん冗談で言った。
だけど凛は、グルンと向きを変えて学校に戻ろうとする。
「ちょ、おま!なんで引き返してんだよ!」
「そんなに煌人が嫌がるなら、時間差で帰ろうと思って」
「(それじゃ意味ねーんだっての!)」
いいから!――と、凛の手を掴む。
「ここで会ったのも……って言うだろ。つべこべ言わずに帰るぞ!」
「つべこべ言ってたのは煌人なのに……」
「それをつべこべって言うんだよ!」
ほら――と凛の向きをクルリと変えた、その時だった。
「!」
見知った影を、建物の影から見た。
「煌人?どうしたの?」
「いや、今……真さんいなかったか?」
「え、お父さん?」
凛はキョロキョロ見回すが、真さんの姿はない。
「いないよ?”仕事に行く”って言ってたし、いるはずないよ」
「そ、そうだよな……」
”いるはずない”、よな。
俺の気のせいだよな?
「(しかし……)」
何だろう。
なんなんだ。
この言いようのない焦りは。
「(もしかして凛を見てた、とか?いや、そんなわけないか。やっぱり見間違いだよな。そうに決まってる)」
「煌人?」
「何でもない。行こう」
「?」
結局――
その日は、無事に凛を家に送り届けた。
帰り際に「いつも朝は何時に家を出るんだよ?」とさりげなく聞いた俺。
だけど凜に、「またストーカーされるから教えない」と言われた。
あ?なんだよ、それ。
「だって煌人は、この前……私とナル先輩が一緒に帰った時、ずっと私たちの跡をつけてたんでしょ?」
「……は?」
「ストーカーされるのは嫌。だから私の情報は、煌人に教えない」
「……」
いや、ちょっと待て。
もしかしてストーカーって……俺のこと!?
「凛、聞くけど……。最近困ったことないか?」
「煌人にストーカーされる事」
「常習犯じゃねーよ!」
ナル先輩がちょっと怪しい雰囲気だったから凛が心配で見守ってたんだよ!――とは、言えなかった俺。
「常習犯じゃない」=時々はストーカーしてる。
という間違った認識を、凜にインプットさせてしまったらしい。
言わずもがな。
過去にないドン引きした目で、凛は俺を見ていた。
「というわけだから煌人。もう私に関わらないでね」
「まさかの友好関係断絶!?」
バタン!と、玄関のドアが閉められた。
行き場のない俺は、なすすべもなく。
凛の家の前で、少しの間立ち尽くす。
すると、控えめに玄関のドアが開き、
「でも、お父さんの料理を褒めてくれてありがとう」
凜が照れた声で、そんな事を言った。
「お、おう……?」
「じ、じゃあね」
バタン
「凛ってさ……」
いやに「お父さん」を連発するな。
そんなに真さんが好きなのか?
その時、さっき自分で思った事を思い出す。
――真さんが若いせいなのか……凛が隣に立つと、歳の差カップルみたいに見えて、気に食わない
「(まさか……!)」
あまり年の離れていない父親を、凜は好きになってしまって、
そして、自分を好きな凛を、真さんも好きだとか?
だから凜の近くにいる俺の事が気に食わなくて、さっき俺たちを見てたとか?
「な、なわけねーか」
ないな。
さすがに、ないだろ。
そう思って、回れ右をする。
俺も自分の家に帰らなくっちゃな。
だけど、その時――
「!!」
見知った後ろ姿に、俺の心臓がドクンと跳ねた。
「(あの後ろ姿……)」
間違いない、真さんだ!
あのオシャレなスーツ姿で、すぐに真さんだと分かった。
だけど、なんでだよ?
会社に戻ったんじゃねーのかよ!?
「(もしかして、俺の予想通りなのか……?)」
真さんは、凜の事を好きすぎるあまり、凛を監視している――?
「(ゴクッ……)」
俺の背中に、無意識のうちに冷や汗が流れた。
――もしかしてストーカーって……俺のことなの!?
確かに、さっきはそう思ったけど……。
でも、俺が凛をストーキング(言い方)したのは、少し前だ。だけど先生は「”今朝”相談があった」と言った。という事は、凛はやっぱり誰かにつけられてるに違いない。
「(それに……真さんが、先生に言った発言も気になる)」
――お父さんに(ストーカーの)話をしたら”大丈夫ですよ”って言うの
「娘がストーカーの被害に遭ってんのに、大丈夫だなんて言う父親いねぇだろ!」
「大丈夫」と言ったのは……自分が「ストーカーをしている張本人」だからじゃないのか?だから凛の事を助けるでもなく「大丈夫」の一言で終わらせた。
「クソ、全て辻褄が合うじゃねぇか……!」
驚きの予想が、現実味を帯びていると分かり、
俺はしばらくの間、動くことが出来なかった。
「あ、いえ。今まで三田一家と話をしていて」
そう言うと、先生は「そう」と頷いた。
そして「うーん」と言いながら、なにか悩みがあるように。深いため息をついた。
「何かあったんですか?」
「実は今朝”誰かに見られてる気がする”って、三田さんから相談があったのよ」
「はぁ?」
誰かに見られてるって……。
それストーカーじゃねぇか!!
「そ、それで犯人は、」
「検討もつかないわ。だから下校時の見回りを強化する事で、学校側は対応するんだけど……。さっきお父さんと先生が二人きりだったじゃない?ちょうどいいと思って、その話をしたら――
”大丈夫ですよ”って言うの」
「だ、大丈夫って……」
何が、どう、大丈夫なんだよ?
娘がストーカーに遭ってるんだぞ?
ってか凛も凛だよ!
なんでそんな大事な事を、俺に言わねーんだよ!
「お、俺が!」
「え?」
「俺が……何とかしてもいいですか?」
「でも、生徒を巻き込むわけには、」
「いえ!俺が何とかします……!」
ビシッと、迷いなく言い切る。
すると先生はヤレヤレという表情を浮かべ、俺を見て笑った。
そして「無理しないでよ?」と念を押す。
「鳳条くんにはいつもSPがついてるから、正直、学校が動くよりも確実よね」
「SPなんていませんけど?」
「たまに迎えに来てくれる男の方がいるじゃない!見る度に、先生ドッキドキでね!」
「(執事……。さすが天然女キラー……)」
頬を染める先生と、俺にプロレス技をかけたアイツ。
頭の中に浮かんだ雑念たちを、ため息一つで吹き飛ばす。
「はぁ。じゃあ、とりあえず。凛が登下校する時は、必ず隣にいるようにします」
「助かるわ」
「凛から新たな相談があったら、俺に教えてください」
そう言うと、先生は首をひねる。
「三田さんに直接聞けばいいじゃない」と。
「……」
「……」
ふ……。甘いな、先生。
「凛に”ストーカーから守ってやる”なんて言ったら……。俺に不信感を抱いた凜が、忍術とか使って、雲隠れしそうですからね」
それか、ストレートに「嫌。キモイ。ほっといて」だな。
だけど担任は別のところに食いついたのか「え!」と嬉しそうな顔をした。
「三田さんは忍術を使えるの!?」
「言葉のあやですってば」
「わ、分かってるわよ……」
少し残念そうなのは、気のせいという事にしよう。
しかもその後に、意味深な笑みを、俺に向けて来た。
「にしても――フフ。愛ねぇ」
「放っておいてください……」
「守ってあげてね、三田さんを。よろしくね」
「……任せてください」
凛には、指一本触れさせませんから――
そうして。
凛が、真さんを玄関まで送った後。
一人でそそくさと帰ろうとする凛の隣に、俺はしれっと並んだ。
「なんで煌人と一緒に帰らないといけないの?」
「こっちのセリフだっての。帰る方角が一緒って、ほんと嫌になるよな」
もちろん冗談で言った。
だけど凛は、グルンと向きを変えて学校に戻ろうとする。
「ちょ、おま!なんで引き返してんだよ!」
「そんなに煌人が嫌がるなら、時間差で帰ろうと思って」
「(それじゃ意味ねーんだっての!)」
いいから!――と、凛の手を掴む。
「ここで会ったのも……って言うだろ。つべこべ言わずに帰るぞ!」
「つべこべ言ってたのは煌人なのに……」
「それをつべこべって言うんだよ!」
ほら――と凛の向きをクルリと変えた、その時だった。
「!」
見知った影を、建物の影から見た。
「煌人?どうしたの?」
「いや、今……真さんいなかったか?」
「え、お父さん?」
凛はキョロキョロ見回すが、真さんの姿はない。
「いないよ?”仕事に行く”って言ってたし、いるはずないよ」
「そ、そうだよな……」
”いるはずない”、よな。
俺の気のせいだよな?
「(しかし……)」
何だろう。
なんなんだ。
この言いようのない焦りは。
「(もしかして凛を見てた、とか?いや、そんなわけないか。やっぱり見間違いだよな。そうに決まってる)」
「煌人?」
「何でもない。行こう」
「?」
結局――
その日は、無事に凛を家に送り届けた。
帰り際に「いつも朝は何時に家を出るんだよ?」とさりげなく聞いた俺。
だけど凜に、「またストーカーされるから教えない」と言われた。
あ?なんだよ、それ。
「だって煌人は、この前……私とナル先輩が一緒に帰った時、ずっと私たちの跡をつけてたんでしょ?」
「……は?」
「ストーカーされるのは嫌。だから私の情報は、煌人に教えない」
「……」
いや、ちょっと待て。
もしかしてストーカーって……俺のこと!?
「凛、聞くけど……。最近困ったことないか?」
「煌人にストーカーされる事」
「常習犯じゃねーよ!」
ナル先輩がちょっと怪しい雰囲気だったから凛が心配で見守ってたんだよ!――とは、言えなかった俺。
「常習犯じゃない」=時々はストーカーしてる。
という間違った認識を、凜にインプットさせてしまったらしい。
言わずもがな。
過去にないドン引きした目で、凛は俺を見ていた。
「というわけだから煌人。もう私に関わらないでね」
「まさかの友好関係断絶!?」
バタン!と、玄関のドアが閉められた。
行き場のない俺は、なすすべもなく。
凛の家の前で、少しの間立ち尽くす。
すると、控えめに玄関のドアが開き、
「でも、お父さんの料理を褒めてくれてありがとう」
凜が照れた声で、そんな事を言った。
「お、おう……?」
「じ、じゃあね」
バタン
「凛ってさ……」
いやに「お父さん」を連発するな。
そんなに真さんが好きなのか?
その時、さっき自分で思った事を思い出す。
――真さんが若いせいなのか……凛が隣に立つと、歳の差カップルみたいに見えて、気に食わない
「(まさか……!)」
あまり年の離れていない父親を、凜は好きになってしまって、
そして、自分を好きな凛を、真さんも好きだとか?
だから凜の近くにいる俺の事が気に食わなくて、さっき俺たちを見てたとか?
「な、なわけねーか」
ないな。
さすがに、ないだろ。
そう思って、回れ右をする。
俺も自分の家に帰らなくっちゃな。
だけど、その時――
「!!」
見知った後ろ姿に、俺の心臓がドクンと跳ねた。
「(あの後ろ姿……)」
間違いない、真さんだ!
あのオシャレなスーツ姿で、すぐに真さんだと分かった。
だけど、なんでだよ?
会社に戻ったんじゃねーのかよ!?
「(もしかして、俺の予想通りなのか……?)」
真さんは、凜の事を好きすぎるあまり、凛を監視している――?
「(ゴクッ……)」
俺の背中に、無意識のうちに冷や汗が流れた。
――もしかしてストーカーって……俺のことなの!?
確かに、さっきはそう思ったけど……。
でも、俺が凛をストーキング(言い方)したのは、少し前だ。だけど先生は「”今朝”相談があった」と言った。という事は、凛はやっぱり誰かにつけられてるに違いない。
「(それに……真さんが、先生に言った発言も気になる)」
――お父さんに(ストーカーの)話をしたら”大丈夫ですよ”って言うの
「娘がストーカーの被害に遭ってんのに、大丈夫だなんて言う父親いねぇだろ!」
「大丈夫」と言ったのは……自分が「ストーカーをしている張本人」だからじゃないのか?だから凛の事を助けるでもなく「大丈夫」の一言で終わらせた。
「クソ、全て辻褄が合うじゃねぇか……!」
驚きの予想が、現実味を帯びていると分かり、
俺はしばらくの間、動くことが出来なかった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
【完結】月夜のお茶会
佐倉穂波
児童書・童話
数年に一度開催される「太陽と月の式典」。太陽の国のお姫様ルルは、招待状をもらい月の国で開かれる式典に赴きました。
第2回きずな児童書大賞にエントリーしました。宜しくお願いします。
氷鬼司のあやかし退治
桜桃-サクランボ-
児童書・童話
日々、あやかしに追いかけられてしまう女子中学生、神崎詩織(かんざきしおり)。
氷鬼家の跡取りであり、天才と周りが認めているほどの実力がある男子中学生の氷鬼司(ひょうきつかさ)は、まだ、詩織が小さかった頃、あやかしに追いかけられていた時、顔に狐の面をつけ助けた。
これからは僕が君を守るよと、その時に約束する。
二人は一年くらいで別れることになってしまったが、二人が中学生になり再開。だが、詩織は自身を助けてくれた男の子が司とは知らない。
それでも、司はあやかしに追いかけられ続けている詩織を守る。
そんな時、カラス天狗が現れ、二人は命の危険にさらされてしまった。
狐面を付けた司を見た詩織は、過去の男の子の面影と重なる。
過去の約束は、二人をつなぎ止める素敵な約束。この約束が果たされた時、二人の想いはきっとつながる。
一人ぼっちだった詩織と、他人に興味なく冷たいと言われている司が繰り広げる、和風現代ファンタジーここに開幕!!
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる