大嫌いなキミに愛をささやく日

またり鈴春

文字の大きさ
上 下
16 / 40

守護神の悩み2

しおりを挟む


結局――


その時に抱いた疑問は、しばらく経ってもそのままで。

いいな、も。
嫉妬、も。

私の中で「?」のまま。
疑問は全く、解けないまま。


そして数日後。
学校は、三者面談の行事に入っていった――





ガラッ


「あれ、煌人?」
「おー凛」


親と担任の先生と私のメンツで、三者面談が終わった今。

教室から出ると、廊下を歩いていた煌人とちょうど鉢合わせた。


「今、終わったのか?」
「うん。特に何も言われなかったよ」
「うそつけ。何も言われねーわけないだろ」
「むっ。どういう事?」


またイチャモンつけられるのかな?と思っていると、


「凛があれだけ勉強頑張ってんのに、褒められないわけないって、そう言ってんの」
「!」


そう来るとは思わなくて……少しだけ、ドキッとした。

煌人に褒められる事なんて無かったから、余計に。


「(この前から私、何だかおかしい。煌人を見ると胸がザワザワするというか……)」


ふくれっ面をしていると、膨れた頬を、煌人に指で押される。


「ぷっ、タコみてぇ」
「さ、触らないでっ」
「お前、直球すぎねぇ……?」


そう言って明らかに沈む煌人。

だけど、三者面談だというのに、私の親の姿がないことに気づいたらしい。

「ご両親は?」と、周りをキョロキョロ見渡した。


「今、中で先生と話してる」
「凜に聞かれたくない話か?」
「うーん、単純に気になるんじゃない?学校での私が。もっと話してって感じで、先生にせがんでたもん」
「……ふぅん」


すると煌人が「大事にされてんだな」と私の頭を撫でた。

眉を下げて笑う顔に、少しだけ違和感を覚える。


「あの、煌人……?」


何かあった?
今、何を考えてる?

聞こうかどうしようかと迷ってる内に、煌人は「そうだ」と手を叩く。


「この前、給食じゃなくて弁当だったろ。凜の弁当に入ってた唐揚げ!すげー美味かった」
「え……ほ、本当!?」
「ほんとほんと。まさかあの唐揚げって、凜の手作r、」
「そう言ってくれると嬉しい!作ってくれた人が今から来るから、ぜひ直接言ってあげて!」
「……え?」


私が「お願いね!」と言って煌人の手を握る。

煌人は「お、おう」と返事をするものの、納得いかない表情を浮かべた。


「唐揚げ、凜が作ったんじゃねーの?」
「お父さんだよ?」
「(お父さんかよ!!)」


ガクッと落ち込む煌人。
だけど、私は嬉しかった。


「煌人、ありがとう。お父さんの手料理を褒めてくれて」
「凛!お前が俺に礼を言うなんて、」
「うん、ありがとう!」
「……~っ!」
(超レアな光景に、言葉にならない)


真っ赤になった顔を隠すように、手で顔を覆った煌人。

「そ、そう言えば!」と、腕を組みながら不自然に窓の外を見た。


「お前の家は、お父さんが料理するんだな」
「え、と……」
「ん?」
「……」


何気なしに言った煌人。

そんな煌人に、私は何か言葉を返すんじゃなくて……


ニコリ、と。

ただ笑って、それを返事とした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

【完結】月夜のお茶会

佐倉穂波
児童書・童話
 数年に一度開催される「太陽と月の式典」。太陽の国のお姫様ルルは、招待状をもらい月の国で開かれる式典に赴きました。 第2回きずな児童書大賞にエントリーしました。宜しくお願いします。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

推しにおされて、すすむ恋

またり鈴春
児童書・童話
有名な動画配信グループ ≪Neo‐Flash≫ そのメンバーの一人が、私の姉 なんだけど… 「少しの間、私と入れ替わって!」 急きょ、姉の代わりを務めることに!? ≪Neo‐Flash≫メンバー ┈┈┈┈┈┈✦ ①ノア(綾瀬 玲) 「君、ステラじゃないよね?」 ②ヤタカ(森 武流) 「お泊り合宿の動画を撮るぞー」 ③リムチー(乙瀬 莉斗) 「楽しみだね、ステラ!」 ④ステラ(表&姉➤小鈴つむぎ、裏&妹➤ゆの) 「(ひぇええ……!)」 ✦┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ でも姉の代わりを頑張ろうとした矢先 なぜかノアにバレちゃった…! 「俺以外の奴らに、その顔は禁止」 「ゆのを知るのは、俺だけってことで」 密かに推していたノアの 裏の顔や私生活が見られるだけじゃなく お泊まりなんて… もう、キャパオーバーですっ!

守護霊のお仕事なんて出来ません!

柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。 死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。 そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。 助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。 ・守護霊代行の仕事を手伝うか。 ・死亡手続きを進められるか。 究極の選択を迫られた未蘭。 守護霊代行の仕事を引き受けることに。 人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。 「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」 話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎ ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。

氷鬼司のあやかし退治

桜桃-サクランボ-
児童書・童話
 日々、あやかしに追いかけられてしまう女子中学生、神崎詩織(かんざきしおり)。  氷鬼家の跡取りであり、天才と周りが認めているほどの実力がある男子中学生の氷鬼司(ひょうきつかさ)は、まだ、詩織が小さかった頃、あやかしに追いかけられていた時、顔に狐の面をつけ助けた。  これからは僕が君を守るよと、その時に約束する。  二人は一年くらいで別れることになってしまったが、二人が中学生になり再開。だが、詩織は自身を助けてくれた男の子が司とは知らない。  それでも、司はあやかしに追いかけられ続けている詩織を守る。  そんな時、カラス天狗が現れ、二人は命の危険にさらされてしまった。  狐面を付けた司を見た詩織は、過去の男の子の面影と重なる。  過去の約束は、二人をつなぎ止める素敵な約束。この約束が果たされた時、二人の想いはきっとつながる。  一人ぼっちだった詩織と、他人に興味なく冷たいと言われている司が繰り広げる、和風現代ファンタジーここに開幕!!

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

処理中です...