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告白の返事

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そのまま楽先輩に手を引っ張られた後、すぐに離される。かと思えば、ポンと背中を押されて……私は前のめりになってしまい、つま先だけで数歩ケンケンしてしまった。


「わ、おっとっ、」


天秤みたいに不安定に揺れる私。そんな私の体を、ガシッと力強く抱き留めてくれた人は、楽先輩ではなくて――


「おせぇ」

「り、凌久くん……?」


不機嫌な顔をした凌久くん。そんな私たちを見て「先に戻ってるね」と姿を消した楽先輩。つまり――今、この場所に二人きり。

好きな人と二人きり、というシチュエーションに、胸が高鳴る私。そんな私を、凌久くんはいつもの鋭い目つきで見た。


「楽……先輩と、一緒だったのかよ」

「そ、そうだよ。凌久くんは、どうして、ここに……?」


そう言うと、凌久くんは首の後ろに片手を置いて、何やらモゴモゴ呟いている。聞き取れなくて「なに?」と聞き返すと、凌久くんは私を抱きしめている手に、少しだけ力を加えた。

ぎゅっ


「お前が、あんまり遅いから……心配したんだっての」

「え……そう、なんだ。あ、ありがとう」

「ん……」

「……っ」


どうしよう、心配してらえたんだ。ちょっと、いや、かなり嬉しいかも……っ!

ふと、凌久くんの薬指に目をやると、私と繋がっている赤い糸がふよふよ漂っている。そんな糸を見て、つい顔がにやけてしまった。


「良かった。ほどけてない」

「あ?なんか言ったか?」

「ううん。何でもない!」


「そーかよ」と凌久くんが私の体を離したと同時に、今度は、私が凌久くんの手を握る。そして、たまには強引に――私が凌久くんを、強く引っ張ってみた。


「皆の所へ戻ろう、凌久くん!」

「なんか、元気すぎね?」

「へへ、そう?」

「さっきまでしょぼくれてたってのになぁ~」

「い、言わないでよ……っ」


こういう意地悪なところも、全部ひっくるめて私は凌久くんが好き。

ねぇ凌久くん。私はね、

あなたと赤い糸が繋がっていて嬉しいって、本当にそう思うんだよ――


――その後。


再び全員集合したラウンジにて、会議は進む。楽先輩は、最初は否定的な事を言っていたものの、どうやら参加してくれるようだった。そして驚く事に、あの不動先輩も「参加する」と手を上げてくれた。


「俺の周りで、なんだか面白い事になってるようだし、一番近くで楽しませてもらうね~。皆がんばってね、青春と恋♡」

不動先輩以外の全員「……」

「え、なに?まさかの、もう修羅場?」

「な、ナニノハナシ、デスカ?」

「ウソつくの下手だね、芽衣ちゃん♡」

「(私のバカっ)」


ニヤニヤする不動先輩から皆が視線を外したところで、さっそく動画づくりが始まった。


「ねぇ歌沢くん、新曲ってどんな曲~?」
「元気が出る曲です!」

「……歌ってる本人が元気ないのに?」
「ひ、ひどいですッ!」


「ふふッ」


一致団結してワイワイしている光景に、思わず笑みが零れる。エレベーターの中で出会った時は、こんな光景を見られるなんて一ミリも思わなかったから、なんだか嬉しいな。

だけど――浮かれた私は、気づいてなかった。


「……」


腕を組んで私を見ていた人物が一人いたなんて。

全く、気付く事ができなかったの――
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