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謎のイケメンとバナナ

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「と、とりあえず!
 猫又を、可愛いにゃんこに戻してあげればいいって事だよね?」
「そうです。主は、キキの事も、私の事も、“浄化”という方法で助けてくださった。
 それは主にしか出来ないことです」
「そ、そうかな……?」

 そう言われると、照れくさいやら何やら。
 千景くんには「甘い」と言われる“浄化”。
 それは、わたしの取り柄なのかな?
 わたしの長所って、言っていいのかな?

「主」

 わたしが黙っていると、カーくんがわたしの手にスリリと頭を寄せてくる。

「私は、あなたに仕える事が出来て嬉しいです。だから――
 その取り柄を、誇ってください」
「!」

 カーくんは、羽を広げる。
 直径一メートルくらいある、黒くてピカピカ光る、キレイな羽。
 その羽をバサリと羽ばたかせ、カーくんはひまわり花壇を抜けていった。

「主と猫又が話が出来るよう、猫又を落ち着かせます。
 その時がきたら、主は猫又の前に出てきてください」
「うん……。
 わたし、やってみる!!」

 千景くんとキキを見ると、巨大な猫又を相手に、苦戦している。
 ネコ千景くんは小さいから、すぐにでも踏み潰されそう!

「カーくんには、あぁ言われたけど……。
 待ってるだけって、落ち着かないなぁ!」

 キキは慣れない人間の体を、上手く動かして逃げている。
 カーくんも猫又の周りを飛んで、猫又の目をあざむいていた。
 だけど、ネコ千景くんは――

 バンッ

「うっ!!」

 猫又の操る長いしっぽに捕まり、地面に叩きつけられてしまった。
 ネコ千景くんは地面に横たわり、顔をゆがめる。

「千景くん!!」

 ――隠れてろよ

 そう言われた、だけど。
 このままじゃ、千景くんが危ない!

『これで、もう……逃げられない』
「!」

 猫又の声が、頭に響く。
 同時に、猫又は、鋭い牙を千景くんに向けた。

『お前は、わたしの――!』
「だ、」

 ダメー!!!!

 気がつくと、わたしは花壇から飛び出していた。
 そして、ネコ千景くんを狙う猫又の牙を前に、両手を広げる。

「千景くんは、渡さない!」
「な!?」

 わたしが出てきて、千景くんは当然だけど怒った。
 そして、同じく猫又も――

『どけ! そいつは、私のだ!』

 怒りに満ちた顔で、わたしに鋭い牙を向ける。
 そしてそのまま――
 ハイなスピードで、突進してくるのだった。
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