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わたしの友達・わたしの仲間
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九尾と猫又の前に行く。
どちらも、とんでもない大きさ……。
でも、負けない!
わたしには、守りたい人や妖怪がいる。
だから、もう――こわがらない!
「あのさ猫又……聞いてもいいかな?
どうして千景くんを狙うの?
どうして千景くんに呪いをかけたの?」
『……』
猫又は、初めはだんまりだった。
だけど、もうネコ化していない千景くんを見て……。
どこか諦めたように、ため息をつく。
『俺は昔から、人に見えない存在だ。
それを寂しく思った事はなかった。
でも久しぶりに……そこの人間と、目が合った』
そこの人間――と言った時、猫又は千景くんを見た。
もちろん千景くんは、猫又を睨み返す。
だけど――
『目が合ったとたんに嫌な顔をし、視線を逸らされた。
その時……どうしようもなく寂しくて、つらかった』
「え……」
『俺は、ずっと一人だった。
だから一人きりには慣れてる……はずだったのに。
その人間に会った日から、どうしようもなく、仲間が欲しいと思ってしまった』
「猫又……」
という事は、千景くんをネコ化した理由って――
『小僧、ネコにしてすまなかった。
俺はどうしても、お前と仲間になりたかったんだ。
それだけのために、小僧に呪いをかけてしまった』
「な!?」
衝撃的な理由に、千景くんは怒りを押さえきれないみたいだった。
でも……ムリないか。
だって、まさに昨日。
ネコになったまま、人間に戻れなかったわけだし。
千景くんが呪いを憎むのも、当たり前だよ。
「ねぇ、猫又。
千景くんがネコ化する呪いは、どうやったら解けるの?」
『……解く必要があるか?』
「あるだろ!!」
千景くんの素早いツッコミに、わたしは思わず苦笑い。
「猫又、千景くんは呪いに困ってるの。
昨日もネコから戻れなかったし……」
『それは、俺が近くにいたから、呪いの法則が乱れたんだろうな……ふむ。
だが残念ながら、呪いを解く方法は、俺も知らないんだ』
「え……」
「はあ!?」
ししし、知らない!?
じゃあ千景くんは、一生、ネコと人間を代わる代わる演じるハメに!?
……無理だよ!
すでに王子様と魔王様を演じ分けてるのに、プラスして、ネコの役まで……!
「ふっざけんなよ、猫又!
俺の人生を、どうしてくれんだ!」
千景くんは猫又のヒゲをつかんで、ガシガシ揺らした。
近くにいた九尾は空気を読んだのか、猫又からソッと離れる。
大妖怪からも気を使われる千景くん、やっぱ最恐なのでは?――とわたしが恐れたのは、言うまでもない。
「千景くん! 猫又が目を回してるよ!?」
「それで呪いが解けるなら、俺は手をとめねぇぞ!」
「気持ちは分かるけど、やり方がらんぼうだよ!」
すると上空からカーくんが戻り、「主」と、わたしの肩にふわりと乗った。
猫又により遠くに飛ばされていた人間キキも、自力で戻って来る。
そして「主~」と泣きながら、わたしを抱きしめた。
ギュッ
「主! おケガはないですか!?」
「うん、大丈夫だよ! キキも無事だったんだね、良かった!」
「うぅ~、お傍を離れてすみませんでした!」
キキは人間の姿のまま、わたしにギュッと抱きつく。
すると、「おい」の声。
現在、怒りが頂点に達している千景くんが、わたしに抱きつくキキの腕を、すばやくひねりあげていた。
「いてて!」
「今すぐに花りんのそばを離れた方がいいんじゃねーか?」
「は? 何を言うか! 僕は主をお守りするために、」
「ほ~。自分の命が惜しくないんだな」
「へ!?」
「とりあえず、こっち来いよ、化けタヌキ。
俺は今、虫の居所が悪いんだ……!」
「主~お助けをー!」と断末魔を残して、キキは千景くんに連れて行かれる。
……大丈夫かな?
心配だけど、わたしはわたしでやる事があるから……ごめんね、キキ!
わたしはカーくんを肩に乗せ、猫又の目と鼻の先まで近づいた。
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