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祓う千景くんとチキンなわたし

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 キキやカーくんと違って、サイズが大きい。
 それなのに暴れるから、少し近寄っただけでも危ない。
 う~ん、どうしようか……。
 すると、わたしの前に、ネコ千景くんがスッと立った。

「タヌキやカラスの時みたいに浄化しようと思ってんなら、やめとけ」
「え……?」

 わたしのしてることって「浄化」だったんだ――
 そう思いながら、「どうして?」と聞き返す。

「お前も勘づいてるだろ。
 近寄れば、こっちがやられる。話なんて、できっこねぇよ」
「そうかもしれないけど……」

 千景くんに言い返そうとした、その時だった。

『コケー!!』

 ニワトリが、わたしを目掛けて全力ダッシュして来た。
 え、全力ダッシュ?
 しかも、狙いはわたし!?

「ににに、逃げるよ、千景くん!」
「ぬわ!?」

 ネコ千景くんを抱きしめ、急いで走る。
 キキを見ると、尚もニワトリにくわえられていた。
 走ってる揺れで、いつ飲み込まれてもおかしくないよ!
 早く助けないと!

「えっと、えっと~!
 カーくん! キキを助けてあげて!」

 すると、わたしの目の前に、カラスのカーくんが現れる。

「カーくん!」
「主――おまかせを」

 キキと同様、わたしを「主」と呼んだカーくんは、すごいスピードでニワトリからキキを救出した。
 よかった~、これで一安心!

「カーくん、ありがとう!」
「主のためなら、いつ何時でも」

 わたしの元へ、キキを届けてくれたカーくん。
 フッと優しい目をした後、消えていった。

「アイツ、すぐ消えんだな。
 むしろ――」

「何でコイツは消えねーんだ?」と、ニワトリのヨダレがつくキキを見る千景くん。
 キキ本人に聞こえるから!
 悪口はダメ、絶対!

「主! アイツを倒す許可をください! 」
「おー、やってみろよ。タヌキ」

「お前こそ、今はネコだろうが!」
「うっせーよ! 元は人間だ!」

 わたしの腕の中で、二人はギャイギャイとケンカを始めた。

「ケンカするくらい元気なら、自分で走ってよ! 二人ともー!」

 キキとネコ千景くんを、抱っこして走るわたし。
 言っておくけど、体力は全くない。その証拠に、もう息がきれてきた。
 でも二人にケガをさせられないから、走るのは止められない。
 だけど……
 わたしの息の根が、先に止まっちゃうよ!?

「うわ~! 助けてー!」

 泣きながら、助けを求めるわたし。
 すると――

「はぁ、仕方ねぇな」

 ネコ千景くんが、わたしの腕の中から飛び出した。
 次に、肉球モニモニの手で、再び「滅」の構えをする。
 そして――

「滅!!」

 滅の手を、ニワトリに向かって、ザンッと振り降ろす。
 するとニワトリは「コケェ」と言いながら、ピカピカ光り、消えていった。
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