24 / 40
祓う千景くんとチキンなわたし
3
しおりを挟む「さっきの言葉にムカついたから、お前の顔面で、ツメといでやるからな」
「ひぃっ!?」
ごめんなさい!と、ネコ千景くんに謝る。
だけど正直、助かったかも。
だってさっき、変な空気になったっていうか……。
――ありがと、小羽
――熱でもあんのか?
「~っ」
ネコ千景くんにバレないように、赤くなった顔に、手をパタパタさせ風を送る。
今日のわたし、なんか変だ!
すると、その時。
ワタワタ慌てるわたしとは反対に、ネコ千景くんが、のんびり呟いた。
「どうすっかなぁ。こんな姿じゃ、授業でられねぇし」
「あ、そっか!」
「まぁテキトーに時間つぶすか。
小羽は戻れよ。そろそろチャイム鳴るぞ」
「え……あ、うん」
確かに、ネコは教室に入れない。
かと言って、千景くんを置いて、一人で教室に戻るのも……。
う~ん、と悩んでいた、その時。
「そういえば」と、ネコ千景くん。
「今日はウルセー奴がいないな」
「“ウルセー奴”?」
「決まったんだろ――タヌキだよ」
タヌキ――そう言われて、やっと気づく。
そう言えば、キキがいない。
一緒に登校したのに、どこではぐれたんだろう?
まさか、迷子!?
「探しに行かなきゃ!」
「わざわざ妖怪を? やめとけやめとけ。
どうせ、その辺で遊んでるっての」
「でも……」
するとネコ千景くんが「お」、と。
何かに気づいたようで、わたしの後ろを指さしている。
「探す手間が、はぶけたぞ。後ろみてみ」
「後ろ?」
ネコ千景くんに言われて、後ろを向く。
すると――
「に、ニワトリ!?――に、食べられてるキキ!?」
なんと、ゾウほどある大きさのニワトリが、くちばしでキキをついばんでいた!
しかも迫力ある仁王立ちで、わたし達を見下ろしている!?
「き、キキー!?
ちょ、ちょっと! 千景くん! キキが食べられてるよ!!」
「不味そうなのに、よく食えるな」
「そーゆー問題じゃなくって!」
するとネコ千景くんは「仕方ねぇな」と、ため息をつく。
そして肉球のついた手で「滅」の構えをした。
「これが一石二鳥ってやつか。
妖怪を二体まとめて消せるなんてな」
すると食べられているキキが「小童! 覚えとけよ!」と怒鳴る。
良かった! キキ、まだ大丈夫そう!
「だけどニワトリを、すぐ”滅”ってわけには……」
「またソレかよ。めんどくせぇなぁ」
「だ、だって!」
もしかしたら、キキやカーくんみたいに、人間のせいで妖怪になったのかもしれない。
それなら、祓うんじゃなくて、話を聞いてあげたい。
それで、心が救われるなら――
だけど……
『コケー! コケ!!』
「話が出来そうにないなぁ……」
10
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
大嫌いなキミに愛をささやく日
またり鈴春
児童書・童話
私には大嫌いな人がいる。
その人から、まさか告白されるなんて…!
「大嫌い・来ないで・触らないで」
どんなにヒドイ事を言っても諦めない、それが私の大嫌いな人。そう思っていたのに…
気づけば私たちは互いを必要とし、支え合っていた。
そして、初めての恋もたくさんの愛も、全部ぜんぶ――キミが教えてくれたんだ。
\初めての恋とたくさんの愛を知るピュアラブ物語/
超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
またり鈴春
児童書・童話
好きな事を極めるナツ校、
ひたすら勉強するフユ校。
これら2校には共同寮が存在する。
そこで学校も学年も性格も、全てがバラバラなイケメン男子たちと同じ部屋で過ごすことになったひなる。とある目的を果たすため、同居スタート!なんだけど…ナイショの同居は想像以上にドキドキで、胸キュンいっぱいの極甘生活だった!
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
天空の魔女 リプルとペブル
やすいやくし
児童書・童話
天空の大陸に住むふたりの魔女が主人公の魔法冒険ファンタジー。
魔法が得意で好奇心おうせいだけど、とある秘密をかかえているリプルと、
基本ダメダメだけど、いざとなると、どたんばパワーをだすペブル。
平和だった魔女学園に闇の勢力が出没しはじめる。
王都からやってきたふたりの少年魔法士とともに、
王都をめざすことになったリプルとペブル。
きほんまったり&ときどきドキドキの魔女たちの冒険物語。
ふたりの魔女はこの大陸を救うことができるのか!?
表紙イラスト&さし絵も自分で描いています。
ミズルチと〈竜骨の化石〉
珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。
一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。
ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。
カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。
スペクターズ・ガーデンにようこそ
一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。
そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。
しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。
なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。
改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる