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こわがり花りんと魔王サマ
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しおりを挟む「え、えへへ~。なんだろう? ありすぎて分からないや」
だけど、わたしはヘイワ主義しゃだから!
クラスに波風たてないように、笑ってごまかした。
「アハハ! やっぱこわがりちゃんだな!」
「ふふ、そんなに怖いものがあったら大変だね。こわがりちゃん」
「ね、ねぇ~。本当だよ~」
言い返したい、ものすごく……。
だけど、出来ない。
なぜなら――
ここでハンコ―すると、自分がいじめられるんじゃないかって。
そんな不安があるから、何も言い返せない。
何でも怖がりな小羽花りんは、いじめだって怖いのだ。
「じゃ、じゃあ野良千景くん。そういうことで……」
イイ感じに、この場から逃げれるかも!というタイミングを見計らって、わたしは後ずさりをする。
だけど――
ガシッ
「ん?」
見ると、野良千景くんが、わたしの腕をガッシリと握っていた。
しかも、そのままズルズル引っ張て、二人して教室の外に出てしまう。
え!? どゆこと!?
「の、野良千景くん! もう授業が始まっちゃうよ……!?」
「わぁ、ホントーだ。ドウシヨウ」
めっちゃ棒読み!
わけがわからなくて、野良千景くんを見る。
すると、野良千景くんは少しだけコッチを振り返って――
「顔が赤いのが気になるから、やっぱり保健室に行こう」
「!」
そんな優しいことを、言ってくれるのでした。
「野良千景くん……」
「あ、俺のことは千景って呼んで」
「千景、くん……?」
「そうそう」
後ろ頭しか見えないけど、声だけで、千景くんが笑っているのが分かる。
千景くんから出るオーラは、とても優しかった。
ありがとう、千景くん――
なんて。
そう思っていたのが、三分前。
だけど、これは一体。
どういう事なんでしょう――?
「聞いてんのか?
人に二回もぶつかっておいて謝らねぇなんて。
一体、どういう神経の図太さだよ」
「……だ、誰?」
わたしの前には、千景くん。
それは確かに合っているんだけど……なぜか千景くんは「王子様」ではなくなっていた。
じゃあ、何かというと……
「お前、さっきも俺にぶつかって謝りもせずに逃げたよな?
そんで、今度は頭突き。
しかも謝るどころか、スルーしやがって。
ココ見ろよ、赤くなってんだろーが」
「王子様じゃなくて、魔王様……?」
みなさん、おどろかずに聞いてください。
王子の着ぐるみを脱いだ千景くんは、超コワい魔王様なのでした。
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