13 / 29
ラブレター?
しおりを挟む
連くんからの手紙には、こう書いてあった。
『久しぶりだね、美亜。
今回はね、いいニュースをもってきたよ。
今月、スター国の建国記念日がある。
その日にパーティーを催す予定なんだ。
各国に出席してもらうけど、今回はハート国にも招待状を送る予定だよ。
敵国なのに招待?って不思議に思うよね。
これはね、俺がお父様(スター国の王様)に提案した事なんだ。
ハート国に、わが国のスゴさを見せつける良いチャンスですよって。スター国は力を持っているんだ、と牽制しませんか?――って。
そう言ったんだ。
すると、なんとね。
OKの返事が出た!
ハート国に招待状を送る――
つまり、ミアがスター国に来れるって事だよ。
俺たちは、また会えるんだ。
今から楽しみで仕方ないよ。
ただ……牽制なんて言葉を使ってごめんね。
そうでも言わないと、許しが出ないと思ったんだ。
近いうちに、招待状を送るね。
正式な書面だから、ネネやロロの経由じゃないよ。注意してね』
連くんからの手紙を読み終わって力が抜けた私は、その場に座り込んでしまった。
だって、だって!
「連くんと、また会えるの?
しかも、今度は堂々と!」
涙を流してお別れした、あの日から。
私は、ずっとずっと、こんな日を夢見ていた。
「ねぇロロぉ。
これって、夢じゃないよね?
ちゃんと現実だよね?」
「頬をつねってみれば、いいんじゃね?」
言われて、ギュムっと頬をつねる。
スッゴク痛い。
「良かったあ~、夢じゃなかったよ~!」
手紙を抱きしめて、ワンワン泣く私。
そんな私を、ロロはクッキーを食べながら笑って見た。
「レンが動いてくれたおかげだな。
良かったな、ミア」
「ロロ……、ありがとう。
でも、ロロとネネちゃんが手紙を運んでくれたおかげだよ。
本当に、ありがとう!」
「……ん。わかった、わかった」
ロロは呆れたように笑いながら、また、クッキーをパクリ。
「このパーティで友好関係が築ければ、今後の二国の関係はひっくり返るな。
腕の見せ所だぞ、ミア。
外交について、たくさん勉強しとけよ」
「そうだよね、うん!
私がんばるよ!」
ハート国とスター国が、どうしたら仲良く出来るのか――
その方法を、パーティの日までに考えないと!
あ、それに。
「パーティ当日は、どんな服を着て出席しようかなあ~!
これって、いわゆるデートってやつだよね!?」
「いや、王女としての仕事だろ」
「デートも仕事のうち!
ミア、がんばります!」
ビシッと敬礼した私を、今度こそロロはため息をついて見た。
手紙を持って帰るために、たくさん飛んで疲れたのか「少し寝る」と、ベッドに向かう。
「お手紙運んでくれてありがとう、ロロ。
たくさん休んでね」
すると、一度体を横にしたはずのロロが、またムクリと起きる。
あれ、どうしたのかな?
「俺が起きるまでに、返事、書いておけよ」
「え、でも手紙を持って行く曜日は決まって、」
「俺ひとりでスター国に手紙を持って行っても、文句は言われねーだろ。
レンも、ミアの返事を早く聞きたいだろうしな」
「ロロ……」
いつも、とっても優しいロロ。
ううん、優し過ぎるほどだ。
「私ね、自分がここまで頑張れるって、思ってなかった。
最初は、生きる気さえ起きなかったし」
「ミア?」
「ロロがいてくれたおかげで、私はいつも楽しくて幸せな毎日を送れてるよ! こんな私の傍にいてくれて、本当にありがとう!」
「! べ、別に!」
照れたのか、ロロは私から目を逸らして、再びベッドに横になる。
あ、耳が真っ赤。
ずっと一緒にいるから、例えロロが何も言わなくても、ロロが何を考えているか、分かるようになってきた。
ちょっとだけ、からかってみようかな?
「”俺もミアと一緒にいられて楽しいぜ”、って、いま思ってる?」
「は?」
「ついでに言うと――
”どうやったらネネと、もっと仲良くなれるんだ?”って思ってる?」
「はあ!?」
ロロは、再びベッドから起き上がる。
「そんな事、思ってねーよ!」と、耳だけじゃなく顔を真っ赤にさせながら。
「顔、真っ赤だよ?」
「う、うるせーよ!」
ははん、やっぱり。
この反応――
ロロは、ネネちゃんの事が好きなんだ!
ネネちゃんと一緒にいる時、ロロが喜んでいるように見えたのは、見間違いじゃなかったんだね。
「誰がネネの事なんか!」
「いいよ、ロロ。
ロロがネネちゃんの事をどう思っているか、手に取るように分かるからさ」
「何も思ってねーよ!」
珍しく慌てるロロを見て、ついからかっちゃう。
そんな、私とロロの楽しい時間。
だけど――
この先、私たちの運命は大きく変わる。
「え……?
出席って返事をした文が、スター国に届いてない!?」
それは、パーティを前日に控えた日。
連くんから貰った手紙により、ハート国から出欠の返事がない事を、私たちは知らされたのだった。
『久しぶりだね、美亜。
今回はね、いいニュースをもってきたよ。
今月、スター国の建国記念日がある。
その日にパーティーを催す予定なんだ。
各国に出席してもらうけど、今回はハート国にも招待状を送る予定だよ。
敵国なのに招待?って不思議に思うよね。
これはね、俺がお父様(スター国の王様)に提案した事なんだ。
ハート国に、わが国のスゴさを見せつける良いチャンスですよって。スター国は力を持っているんだ、と牽制しませんか?――って。
そう言ったんだ。
すると、なんとね。
OKの返事が出た!
ハート国に招待状を送る――
つまり、ミアがスター国に来れるって事だよ。
俺たちは、また会えるんだ。
今から楽しみで仕方ないよ。
ただ……牽制なんて言葉を使ってごめんね。
そうでも言わないと、許しが出ないと思ったんだ。
近いうちに、招待状を送るね。
正式な書面だから、ネネやロロの経由じゃないよ。注意してね』
連くんからの手紙を読み終わって力が抜けた私は、その場に座り込んでしまった。
だって、だって!
「連くんと、また会えるの?
しかも、今度は堂々と!」
涙を流してお別れした、あの日から。
私は、ずっとずっと、こんな日を夢見ていた。
「ねぇロロぉ。
これって、夢じゃないよね?
ちゃんと現実だよね?」
「頬をつねってみれば、いいんじゃね?」
言われて、ギュムっと頬をつねる。
スッゴク痛い。
「良かったあ~、夢じゃなかったよ~!」
手紙を抱きしめて、ワンワン泣く私。
そんな私を、ロロはクッキーを食べながら笑って見た。
「レンが動いてくれたおかげだな。
良かったな、ミア」
「ロロ……、ありがとう。
でも、ロロとネネちゃんが手紙を運んでくれたおかげだよ。
本当に、ありがとう!」
「……ん。わかった、わかった」
ロロは呆れたように笑いながら、また、クッキーをパクリ。
「このパーティで友好関係が築ければ、今後の二国の関係はひっくり返るな。
腕の見せ所だぞ、ミア。
外交について、たくさん勉強しとけよ」
「そうだよね、うん!
私がんばるよ!」
ハート国とスター国が、どうしたら仲良く出来るのか――
その方法を、パーティの日までに考えないと!
あ、それに。
「パーティ当日は、どんな服を着て出席しようかなあ~!
これって、いわゆるデートってやつだよね!?」
「いや、王女としての仕事だろ」
「デートも仕事のうち!
ミア、がんばります!」
ビシッと敬礼した私を、今度こそロロはため息をついて見た。
手紙を持って帰るために、たくさん飛んで疲れたのか「少し寝る」と、ベッドに向かう。
「お手紙運んでくれてありがとう、ロロ。
たくさん休んでね」
すると、一度体を横にしたはずのロロが、またムクリと起きる。
あれ、どうしたのかな?
「俺が起きるまでに、返事、書いておけよ」
「え、でも手紙を持って行く曜日は決まって、」
「俺ひとりでスター国に手紙を持って行っても、文句は言われねーだろ。
レンも、ミアの返事を早く聞きたいだろうしな」
「ロロ……」
いつも、とっても優しいロロ。
ううん、優し過ぎるほどだ。
「私ね、自分がここまで頑張れるって、思ってなかった。
最初は、生きる気さえ起きなかったし」
「ミア?」
「ロロがいてくれたおかげで、私はいつも楽しくて幸せな毎日を送れてるよ! こんな私の傍にいてくれて、本当にありがとう!」
「! べ、別に!」
照れたのか、ロロは私から目を逸らして、再びベッドに横になる。
あ、耳が真っ赤。
ずっと一緒にいるから、例えロロが何も言わなくても、ロロが何を考えているか、分かるようになってきた。
ちょっとだけ、からかってみようかな?
「”俺もミアと一緒にいられて楽しいぜ”、って、いま思ってる?」
「は?」
「ついでに言うと――
”どうやったらネネと、もっと仲良くなれるんだ?”って思ってる?」
「はあ!?」
ロロは、再びベッドから起き上がる。
「そんな事、思ってねーよ!」と、耳だけじゃなく顔を真っ赤にさせながら。
「顔、真っ赤だよ?」
「う、うるせーよ!」
ははん、やっぱり。
この反応――
ロロは、ネネちゃんの事が好きなんだ!
ネネちゃんと一緒にいる時、ロロが喜んでいるように見えたのは、見間違いじゃなかったんだね。
「誰がネネの事なんか!」
「いいよ、ロロ。
ロロがネネちゃんの事をどう思っているか、手に取るように分かるからさ」
「何も思ってねーよ!」
珍しく慌てるロロを見て、ついからかっちゃう。
そんな、私とロロの楽しい時間。
だけど――
この先、私たちの運命は大きく変わる。
「え……?
出席って返事をした文が、スター国に届いてない!?」
それは、パーティを前日に控えた日。
連くんから貰った手紙により、ハート国から出欠の返事がない事を、私たちは知らされたのだった。
10
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
超ポジティブ委員長の桂木くん
またり鈴春
児童書・童話
不登校の私の家に委員長がやって来た。
「この僕がいるのに、なぜ学校に来ないのですか?」
「……へ?」
初対面で、この発言。
実はこの人、超ポジティブ人間だった。
「同じクラスで僕と同じ空気を吸う、
それは高級エステに通ってると同じですよ」
自己肯定感の塊、それが委員長の桂木くん。最初は「変なヤツ」って思ってたけど…
バカな事を大まじめに言う桂木くんを、「学校で見てみたい」なんて…そんな事を思い始めた。
\委員長のお悩み相談室が開幕!/
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
化け猫ミッケと黒い天使
ひろみ透夏
児童書・童話
運命の人と出会える逢生橋――。
そんな言い伝えのある橋の上で、化け猫《ミッケ》が出会ったのは、幽霊やお化けが見える小学五年生の少女《黒崎美玲》。
彼女の家に居候したミッケは、やがて美玲の親友《七海萌》や、内気な級友《蜂谷優斗》、怪奇クラブ部長《綾小路薫》らに巻き込まれて、様々な怪奇現象を体験する。
次々と怪奇現象を解決する《美玲》。しかし《七海萌》の暴走により、取り返しのつかない深刻な事態に……。
そこに現れたのは、妖しい能力を持った青年《四聖進》。彼に出会った事で、物語は急展開していく。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
がらくた屋 ふしぎ堂のヒミツ
三柴 ヲト
児童書・童話
『がらくた屋ふしぎ堂』
――それは、ちょっと変わった不思議なお店。
おもちゃ、駄菓子、古本、文房具、骨董品……。子どもが気になるものはなんでもそろっていて、店主であるミチばあちゃんが不在の時は、太った変な招き猫〝にゃすけ〟が代わりに商品を案内してくれる。
ミチばあちゃんの孫である小学6年生の風間吏斗(かざまりと)は、わくわく探しのため毎日のように『ふしぎ堂』へ通う。
お店に並んだ商品の中には、普通のがらくたに混じって『神商品(アイテム)』と呼ばれるレアなお宝もたくさん隠されていて、悪戯好きのリトはクラスメイトの男友達・ルカを巻き込んで、神商品を使ってはおかしな事件を起こしたり、逆にみんなの困りごとを解決したり、毎日を刺激的に楽しく過ごす。
そんなある日のこと、リトとルカのクラスメイトであるお金持ちのお嬢様アンが行方不明になるという騒ぎが起こる。
彼女の足取りを追うリトは、やがてふしぎ堂の裏庭にある『蔵』に隠された〝ヒミツの扉〟に辿り着くのだが、扉の向こう側には『異世界』や過去未来の『時空を超えた世界』が広がっていて――⁉︎
いたずら好きのリト、心優しい少年ルカ、いじっぱりなお嬢様アンの三人組が織りなす、事件、ふしぎ、夢、冒険、恋、わくわく、どきどきが全部詰まった、少年少女向けの現代和風ファンタジー。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる