上 下
21 / 45
一章

二十一話 貿易の町

しおりを挟む
私たちは、貿易の町ガフユを目指して宿を出るのだった。

「ありがとうございました」

私はそう言い宿を出た。宿を出ると太陽の日差しが強かった。
私は、手で隠しながら太陽を見た。それを見ていたアズサが言う。

「どうしたんですか…太陽なんか見ちゃって」

私は、アズサの方を見て言う。

「いや…なんだか太陽が人一倍今日は強いと思ったからかな」

そう言うと、アズサはクスッと笑って言う。

「なんだかおかしいの」

そう言いアズサは歩き出した。私はアズサの後を追って行った。


私たちは、野原を歩いていた。すると、突然アズサが言う。

「いやー私たちこんなに歩いてるのにまだつかないんだね」

「そうね~」

私はため息をつきながらも言った。そんなに会話は続かなかった。
私たちは、5キロほど歩いて足の疲労が溜まりに溜まってもう歩けなくなってきた。私は言う。

「ねぇ…アズサ…もう休まない?」

そう言うと、アズサは歩くのをやめて言う。

「休みましょうか…」

アズサの声にはどこか疲れが見えた。私たちは木の幹に行き木陰で休んだ。
すると、アズサがカバンから何かを出していた。

「何を出すの?」

「小鍋でも…」

アズサは言い焚き火の薪を集め始めた。
私も焚き火の薪を集めようとしたが…

「エマは座ってていいよ」

そう言われてが私はもう一度立って集めようとするが…

「いいよエマは…」

なんだかイラついているみたいだったので私は静かに座った。

ー数分後ー

私は待っているといつのまにか焚き火ができていた。

「じゃぁ鍋作るよ」

アズサは着々と食材を切っていく。私も何か手伝おうか…と立ち上がり食材を持つと…

「エマ…やらなくていいから」

なんだか私が無能みたいになっている。私は黙って鍋ができるのを待っていると…

「できたよ~」

アズサの合図で私は鍋の方を見た。すると、鍋はぐつぐつと煮立っており美味しそうであった。
私は手を合わせて言う。

「いただきまーす」

私は元気よく言った。鍋は抜群に美味しかった。とろける…食材が美味しさを増す。

「うまい!」

そう言うと、アズサは笑顔で言う。

「どうよ?私の腕前は」

「最高っすね」

そう言うと、アズサはドヤ顔で何かを言っていたが…私には聞こえなかった。
私が食べ終わると、アズサが言う。

「おかわりいるかい?」

そう聞かれて私は言う。

「いやいいや…もうお腹いっぱい」

私がお腹いっぱいとお腹をさすりながら言うと…

「えぇ~あとは私が食べていいんですか?」

「うん」

私は相槌を打ちながら言った。
すると、森の方からガサガサと音がする。私は警戒をした。アズサは自分の料理を堪能していた。私は、食べているアズサに言う。

「アズサ…何かくるよ!」

そう言うと、アズサは食べるのをやめて言う。

「り…了解」

まだ、口に入っている状態で行ったので汚いと思った。やがて、そのガサガサ音は私たちの前で止まった。

私たちは、一歩下がって攻撃体制を取る。

次の瞬間…出てきたのはアガルベアーの群れだった。私は少し辛いなと思った。

「アズサ…やるよ!」

私のこの掛け声と共のアズサと私は攻撃を始めた。

「雷属性魔法中級雷神雷雷サンダーボルト

私は、アガルベアー2体に対してサンダーボルトを打った。すると、2体はひるみやがて倒れた。
だが、残り10体ほどいる。私は次のアガルベアーに視線を移した。

アズサはどんな感じかと思いアズサの方を見ると…アズサは押されていた。

「アズサ!」

私が彼女の名前を呼ぶと彼女はこちらに首を向けて言う。

「大丈夫よ…あなたはあなたのアガルベアーの相手をして!」

私はそう言われて、次のアガルベアーへと標的を移した。

私が標的としているアガルベアーは多少の知識があった。
私が魔法を撃つと…

「避けるのか…」

私はポツリと言った。私は避けられるならと思い…

「土属性魔法上位土壁ウォール

そう言い私は、アガルベアーを囲った。アガルベアーは中で暴れていたが…私の土壁ウォールは中々壊れない。

私は下の方に小さく穴を開けてそこに魔法を打ち込む。

「火属性魔法…火炎放射」

そう言い土壁の中を火地獄にした。アガルベアーは苦しみの声が聞こえたが…やがて声は聞こえなくなった。

私はまぁまぁ数のアガルベアーを倒して…残りはアズサが悪戦苦闘している二体のみになった。

「アズサ手伝うよ~」

そう言いながら一体のアガルベアーの注意を引いた。
私は初めてやる魔法をやる。

「身体強化!」

そう言い、私はアガルベアーに殴りに行った。すると、アガルベアーはものすごい勢いで木まで飛んで行った。木に当たった衝撃はものすごいものだった。

私は、死んでいるかと思い殴ったアガルベアーを見にいくと…

「死んでるな」

私は確認した。そして、アズサの方を見ると…

「光属性魔法…光線ビーム

それは、アガルベアーの心臓を貫き通した。アガルベアーは静かに倒れた。
アズサは仰向けになりながら言う。

「あなた…ちょっと強過ぎじゃない?」

「そうかな?」

「普通だったら男の人が二人がかがりで倒すやつなんだから…私一人で倒したのすごいと思わない?」

「すごいねー」

「感情がこもってないね」

私は言われてしまった。私は、アズサに手を貸して立ち上がらせる。

「疲れたな」

アズサが立ちながら言った。私は静かに頷いた。

「じゃぁ、先を急ごうか」

そう言い、アズサは鍋セットをしまい私たちは、ガフユに向かった。
ガフユについた頃はもう夕日になっていた。

「ついたー」

私は背伸びをしながら言った。すると、アズサが言う。

「つきましたね…宿探しますか…」

「そうね」

私たちは、ガフユへと足を運んだ。そこは…貿易の街と言われる理由がわかった気がする。
なぜなら…大きい建物がいっぱいあった。他の街とは異様な雰囲気を放っていた。

私たちが宿を探していると、一人の青年に出会う。

「どうかされましたか?」

青年はボロボロの服でなんだか細い。私は言う。

「宿を探してて…」

そう言うと、青年は近づいて言う。

「うちの宿に来ませんか?」

私たちは見つめあった考えて言う。

「行こうかしら」

私たちは、少年に連れられて宿へとついたのだった。宿の外見はものすごく綺麗だった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

無欲のクリスと不思議な貯金箱

小日向ななつ
ファンタジー
感情表現が薄い少女、クリスが通う魔術学園で大きな事件が起きた。 それは友達が先生の出来心で行った儀式によって貯金箱に変えられてしまったという事件だ。 しかも先生は自分をフッた元彼に復讐しようと禁術に手をつけていた。 とんでもないことが目の前で起き、クリスは困惑する。 だが、禁書に呪いを解く方法が書かれていた。それはどこかに飛び去っていったルミナスコインを集めれば、友達は元に戻れるということだ。 こうなったら旅に出るしかない。 ルミナスコインを求め、クリスは友達の姿を戻す旅に出る。 様々な出会いと別れを得て成長する少女達をご覧あれ! この作品は重複投稿しています

超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。

烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。 その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。 「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。 あなたの思うように過ごしていいのよ」 真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。 その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。

異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH
ファンタジー
 家柄こそ全て! 名家生まれの主人公は、絶望しながら死んだ。 そんな彼が生まれ変わったのがとある成り上がりラノベ小説の世界。しかも悪役貴族。 名家生まれの彼の心を占めていたのは『家柄こそ全て!』という考え。 新しい人生では絶望せず、ついでにウザい成り上がり共(元々身分が低い奴)を蹴落とそうと決心する。 別作品の執筆の箸休めに書いた作品ですので一話一話の文章量は少ないです。 軽い感じで呼んでください! ※不快な表現が多いです。 なろうとカクヨムに先行投稿しています。

通称偽聖女は便利屋を始めました ~ただし国家存亡の危機は謹んでお断りします~

フルーツパフェ
ファンタジー
 エレスト神聖国の聖女、ミカディラが没した。  前聖女の転生者としてセシル=エレスティーノがその任を引き継ぐも、政治家達の陰謀により、偽聖女の濡れ衣を着せられて生前でありながら聖女の座を剥奪されてしまう。  死罪を免れたセシルは辺境の村で便利屋を開業することに。  先代より受け継がれた魔力と叡智を使って、治療から未来予知、技術指導まで何でこなす第二の人生が始まった。  弱い立場の人々を救いながらも、彼女は言う。 ――基本は何でもしますが、国家存亡の危機だけはお断りします。それは後任(本物の聖女)に任せますから

神殿から追放された聖女 原因を作った奴には痛い目を見てもらいます!

秋鷺 照
ファンタジー
いわれのない罪で神殿を追われた聖女フェノリアが、復讐して返り咲く話。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

処理中です...