上 下
15 / 45
一章

十五話 試練の内容

しおりを挟む
私たちは、王都へ戻りギルドに入った。私たちはギルドの受付嬢の報告をした。

「すみません。誰かいますか?」

「いますよー。どのような件でしょうか?」

私たちが依頼を受けた時と違う人が出てきた。私たちは、ゴブリンの討伐の証を見せるために机にドンと置いた。すると、受付嬢はこの世の終わりみたいな顔をして言う。

「あなたたち二人で討伐したのですか?」

「そうだよ。何か問題でも?」

受付嬢は、顔の表情を一切変えずに言う。

「問題はありません。この量を二人で討伐となるとかなりの腕がないと…」

「そうなんだ。私たちはまだ冒険者始めて半年は経ってないかな」

受付嬢はもっと深刻そうな顔をした。私は、そんなにやばいことを犯してしまったのかと思った。私は言う。

「あの…報酬とかは…?」

私が遠慮そうに受付嬢に言うと受付嬢は慌ただしい様子だった。これは当分帰れないなと思った。
受付嬢は他の受付嬢を連れて来て言う。

「この量を二人ですってやばくない?」

すると、もう一人の受付嬢は小さく頷いた。受付嬢はこちらに待たせていることを知ったのかこちらを向いて言う。

「報酬の件ですが…少々お待ちください。裏で数えて来ますので…」

そう言い、受付嬢たちは裏方に行ってしまった。

「なんだか、緩い職場だね」

アズサが急に言うので私は頷いた。

「そうだね。こんな職場いいよね…」

私は、俯きながら言った。
受付嬢たちが帰って来たのは十分後だった。私たちはテーブルに移動して待っていた。受付嬢が帰ってくると共に私たちはカウンターに向かった。

「今回の報酬は…一体につき10ゴールドですので…今回は70体倒したと言うことで…700ゴールドです」

そう言いながら受付嬢はカルトンを出してきた。
カルトンの上には、大量のゴールドが乗っていた。私がゴールドに触れようとしたら…

「イタ!」

突然、アズサがが私の手の甲を叩いてきた。私は思わず起こりそうになったが…

「ダメです。あなたがお金を持ったらすぐに使いますので、私が管理します」

そう言いながらお金の袋を取り出して…ジャラジャラとお金の音が私の耳で受け止める。袋に吸い込まれていくお金は悲しい姿であった。

私は、俯きながらアズサとギルドを出ようとした時…

「姉さん」

野太い声が奥の方から聞こえた。私かもと思い振り返るとそこには身長の高い白髪のじいさんがいた。しかもガタイがよく少し怖い。私ではないなと思いギルドを再び出ようとすると…

「そこのお前止まれ」

ギルドの中の冒険者が私に注目した。私は、少し恥ずかった。私は自分を指で指しながら…

「私ですか」と声をこぼすのだった。




場所は変わり、ギルドの裏側にある。ギルドの本部に呼ばれてしまった。私は、何か悪いことでもしたのかと思った。強面の白髪じいさんと対面で座った。なんだか緊張してしまう。じいさんは笑顔を見せて言う。

「ゴブリンの件は…どうもありがとうございました!」

突然頭を下げて感謝をしてきた。私はどうすればいいのかわからず動かなかった。

「え…?」

困惑するアズサの声が隣から聞こえた。私のアズサと同じ気持ちであった。

「いやーゴブリン…本当に困ってたんだよね~。誰が言ってもみんな死ぬからさ…」

じいさんは談笑していた。私たちは、相槌を打つしかなかった。私たちが喋れたのはじいさんがお茶を啜る時くらいしかなかった。

「おじいさん…名前はなんと言うんでしょうか?」

そう聞くと、じいさんは勢いよく茶飲みを置いて言う。

「わしの名前か…わしの名前は…ギルドの総支配者においてギルド本部部長のギルマスじゃ」

なんだか、肩書きが多かった気がするが…ギルマスなことはわかった。ギルマスは続けて言う。

「わしは…ダガフじゃ」

「ダガフさん…私たちを呼んだ理由はゴブリンの件ですか?」

私は気になっていた部分をストレートで聞いた。すると、ダガフは笑顔いっぱいから真剣な顔つきで言う。

「それもそうなんじゃが…本命は試練に受けてもらいたくてな…」

「試練…?」

私は思わず声が出てしまった。試練というシステムがギルドにあったのか不確かであった。

「試練とはなんですか?」

そう聞くと、タガフ立って歩き回りながら言う。

「試練とは…簡単に言えば冒険者の評価じゃな」

「評価?」

「そう評価…最近導入されたんだがな評価というのはAからFまであり始めたばかりはFで固定なんじゃが…上級者になってくるとAやBは当たり前になってくる。最近はC辺りが多いかのぉ」

タガフは長い髭を触りながら言った。

「じゃぁ…なんで私たちを呼んだですか?」

またしても同じ質問をする。すると、タガフは椅子に座って言う。

「お主らには…二人目のAになってもらいたんじゃ」

「二人目のA?」

「前者がいたんですか?」

アズサが食い気味で言う。すると、タガフは静かに頷いた。

「その前者というのは…」

「勇者ダイだ」

その名前を聞いて吐き気がした。私は、その吐き気を抑えながら言った。

「二人目の…Aになります!」

「ちょ…大丈夫なの?」

アズサは私の肩を抑えながら言った。私は言う。

「大丈夫よ…ここ最近は評価主義になりつつあるんでしょ?」

そうタガフに聞くと頷いた。私は立って言う。

「ならなるしかないっしょ!」

そう言うと、タガフに座るように促された。

「じゃぁ…Aになる方法を教えるぞ…」

タガフは一息置いて言った。

「まずテンバラの花を一つ、次にザクロの爪を一つ、最後に鷹の爪を一つ」

私は聞いて簡単かもと思ったがアズサが小声で言う。

「どれも…難易度が難しすぎる…」

私たちは、タガフに一礼をしてギルド本部を去った。そして、宿に戻り…

「明日から…頑張るぞ!」

「おぉ~」

私たちは気合を入れ直したのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH
ファンタジー
 家柄こそ全て! 名家生まれの主人公は、絶望しながら死んだ。 そんな彼が生まれ変わったのがとある成り上がりラノベ小説の世界。しかも悪役貴族。 名家生まれの彼の心を占めていたのは『家柄こそ全て!』という考え。 新しい人生では絶望せず、ついでにウザい成り上がり共(元々身分が低い奴)を蹴落とそうと決心する。 別作品の執筆の箸休めに書いた作品ですので一話一話の文章量は少ないです。 軽い感じで呼んでください! ※不快な表現が多いです。 なろうとカクヨムに先行投稿しています。

通称偽聖女は便利屋を始めました ~ただし国家存亡の危機は謹んでお断りします~

フルーツパフェ
ファンタジー
 エレスト神聖国の聖女、ミカディラが没した。  前聖女の転生者としてセシル=エレスティーノがその任を引き継ぐも、政治家達の陰謀により、偽聖女の濡れ衣を着せられて生前でありながら聖女の座を剥奪されてしまう。  死罪を免れたセシルは辺境の村で便利屋を開業することに。  先代より受け継がれた魔力と叡智を使って、治療から未来予知、技術指導まで何でこなす第二の人生が始まった。  弱い立場の人々を救いながらも、彼女は言う。 ――基本は何でもしますが、国家存亡の危機だけはお断りします。それは後任(本物の聖女)に任せますから

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

神殿から追放された聖女 原因を作った奴には痛い目を見てもらいます!

秋鷺 照
ファンタジー
いわれのない罪で神殿を追われた聖女フェノリアが、復讐して返り咲く話。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

成り上がり覚醒者は断れない〜魔王から得た力で自分を虐げてきた人類を救っていく〜

酒井 曳野
ファンタジー
 ここはモンスターが湧き出る『ダンジョン』という試練、それらを攻略する『覚醒者』という武器、モンスターとダンジョンから採取できる『魔法石』による恩恵で成り立つ世界。  主人公レイン・エタニアは覚醒者でありながらランクが最も低いFランクの中でも最底辺だった。家族を守る為に活動したが、周りから見向きもされず虐げられ苦しい毎日を過ごした挙句に騙され死の淵を彷徨う事となる。  しかし死の先で出会ったかつての大戦で生き残った魔王に才能を認められ徹底的に鍛えられた。  人類には到達不可能な領域に達したレインはこれまで虐げてきた者たちに復讐をーーとはならず慕う者には慈悲を、敵には容赦しない元来の性格(無自覚)が影響して助けを求める声に手を差し伸べる。  それはやがて世界を巻き込む大いなる災いの最前線へと向かっていく。  これは魔王に認められ力を得た覚醒者が人類を助ける救世主となる物語。  

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...