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一章

十三話 勇者

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私は、朝の日の光で目が覚めた。私は体を起こすと先にアズサが起きていた。

「おはよう」

「おはよう…遅いよ起きるの」

アズサに言われてしまい少し反省する。確かに時計を見るともう短針9のあたりを指していた。私は着替えながら言う。

「私、昨日の夜の記憶ないんだけど…タイテイまで行ったのは覚えてるんだけど…部屋に戻ってから何も覚えてないの?何があったかわかる?」

アズサに聞くと、アズサは少し首を傾げながら言った。

「別に…何もなかったよ…私も疲れて寝ちゃったし…あはは」

なんだか無理に笑っている気がしたが、アズサはいつもこんな感じだなと思って私はスルーする。私とアズサは一回に降りて玄関に向かう。

玄関に向かうと、いつも通りカウンターに少年が座っていた。

「おはよう」

「…!」

私が挨拶をしただけで、少年は肩がビクッと上がった。私は不思議に思い近づく。

「少年…どうしたんだ?」

私が首を傾げながら言う。すると、少年は私から視線を外して言う。

「べ…別になんでもありません…」

「本当に~?」

私は少年の視界に入るように体を動かす。少年は私を視界に入れたくないのかどんどん別の方向に向く。私は呆れて言う。

「本当なんだね」

そう言うと、少年は大きく何回も頷いた。
私は少し何か隠しているのか疑いながらも宿を出た。

宿を出て、私たちはとりあえず腹ごしらえに昨日行ったタイテイに行った。

「開いてなくね…?」

アズサが店前の紙を見て言う。私もその紙を見る。

「本店舗は、営業のみでございます。お昼時に来た方は申し訳ございませんが午後7時ごろに再びお越しくださいませ」

そんなことが書いてあり、私は少し残念がった。

「どうする…?ご飯」

アズサが私に聞いてくる。私は、地面を向いて考える。
今ご飯を食べなければ…お腹が空く…だけど他の店は高すぎる…

「いや…食べないで行こう」

「だけど…お腹空くよ?」

「しょうがない…他の店は高すぎるから…」

私がお金がない人みたいに見られたが…実際は現実である。
私たちは、お腹に手を当てながら歩く。

「やっぱり、高くても食べるべきだよ」

「そうかもね」

そんな他愛のない会話をしていると目的の場所についた。
それは…ギルドだ。

「お金…稼ぐぞー!」

「おぉー!」

私たちは気合を入れてギルドへ入った。
ギルドへ入ると他の街とは比べ物にならないほど大きい空間が広がっていた。私たちは、カウンターに向かって依頼を確認する。

「すみません、何か依頼はありますか?」

受付嬢に聞くと、机の下をガサガサと漁って三枚の紙が出てくる。私たちは三枚の紙をもらって近くにあるテーブルへと場所を変えた。

「どうする?今回の依頼どれも難しそうな依頼ばかりだけど…」

アズサが三枚の紙を見ながら言った。私は、アズサから紙をもらって見る。そして、一枚の紙を出す。

「この依頼とかどうかしら」

「この依頼…?」

アズサはそう言いながら紙を覗いた。アズサは見て少し引き気味で言う。

「ゴブリン討伐…?ゴブリンって知能が多少あってズル賢いモンスターでしょ?」

「そうね。私も実物は見たことないわ」

「私は見たことあるけど、気持ち悪いわよ」

私はそう言われて、少しやめようか考えたが…

「やるわよ」

そう言うと、アズサは驚いた顔をして言う。

「あなた正気?だってこゴブリンって四人での討伐推奨って書いてあるじゃない」

私は言われて、紙をよく見る。すると、確かに四人推奨と書いてあった。

「まぁ、二人でもいけるって」

「そ、そう?」

私は頷いた。アズサは少しテンションが下がり気味で言う。

「じゃ、受付嬢に渡してこよう…?」

私はカウンターに行き受付嬢に依頼を渡した。

「ゴブリン討伐ですね。このミッションは難易度が高いです。頑張って来てください」

笑顔で受付嬢見送られた。私たちは、ギルドを出ようとしたが…

「あ!久々じゃーん」

大声で聞こえる声。私は聞こえて来た声に聞き覚えがあった。私は振り返りたくなかったが振り返ると…

そこにはダイがいた。クソ勇者がそこに立っていた。
私はイラつきを表しながら言う。

「どちら様でしょうか?」

「あれ?忘れたのかな?昔パーティに入れてやったダイだけど?」

言い方がうざかった。こんなにも人間に対してイラつくのは初めてだ。裏にはアリスとジャックが立っていた。

「ちょっと覚えてないなぁ」

私がうざく言い返すとダイは近づいて来て言う。

「皆さーんここにいる少女は使えないクソな魔法使いでーす」

ダイが、嘘の情報をギルド中に流す。私は居ても立っても居られなくなり…

「おい!テメェいい加減にしろよ?」

私がダイの胸ぐらを掴んで言う。すると、ダイが半笑いで言う。

「お前が俺に勝てるわけないじゃん…」

そう言いながら、ダイはもう片方の手で私の頰叩いた。私は痛く思わず胸ぐらを離してしまう。ダイが迫って来て足を私の腹の前に置いて蹴ろうとするが…

「やめろ!」

大声で行ったのはアズサだった。アズサは、ダイの肩を思いっきり掴んで地面に叩きつけた。すると、裏で見ていたアリスが言う。

「ダイ…もう見っともないよ」

その声が聞こえたのか、立ち上がってギルドを出て行った。私は、アズサの手を借りながら立った。
周りでは、ひそひそ声が聞こえた。私とアズサは急いでギルドを出た。

「アズサ…耳…」

私が小声で言うと、アズサの被っていたフードが取れていた。アズサは急いで被り直して言う。

「私に居場所はないのかな」

「いやあるさ…私が行く場所はアズサの居場所になるよ」

アズサは笑顔をこぼした。私たちは、ゴブリンのいる場所へと歩き始めた。

いつか、あの勇者をボコボコにしてやるんだと心の中で決意したのだった。
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