11 / 14
一章 二節 前世のお話
九.五話 私も……
しおりを挟む
病院に着くと、病室のベットで寝ているお兄ちゃんがいた。
すぐそばに医師がおり、医師は重い顔をしながら話していた。
「えぇ、あなた息子さんはとても危険な状態の陥っております。なので、私たちが全力を尽くしますのでどうかご安心を」
バインダーを持って話していた医師が病室から出ると、病室は沈黙に包まれた。
なぜか、お兄ちゃんの寝ているところはVIPなどが使う病室であった。
そして、ベット一つに対して部屋が広すぎる……うちの財政でこんなところに止められたのがびっくりしている。
部屋の端にあった、椅子に腰をかけながらお母さんは言った。
「さっきの説明聞いた?」
お母さんが頭を抱えながら言うのでお母さん表情を見ようと一瞬顔を上げてから言った。
「……聞いたよ……起きる確率は低いんでしょ?」
お母さんは数秒間黙った後言った。
「そうよ。起きる確率はもう無いに等しい。だけど、わたしは起きると思って……生かしておくつもり……」
「そんなこと言わないで!!」
わたしは大声で言った。お母さんは驚いたのか顔を上げて私の方を見て言った。
「ごめんなさい……あなたにとっては大切な兄よね……ごめんなさい」
「……わたしも少し頭を冷やしたほうがいいのかな」
わたしは、お兄ちゃんの手を握っていたが優しく手をベットに置いてわたしは病室を出ようとした。
病室を出ようとスライドするドアに手をかけようとすると……
「大丈夫なのか!?」
大声で入ってきたのはお父さん。
わたしの記憶が正しければお父さんは北海道に出張していたはず……ここは東京。
北海道からは一日ではつかないはず……
「お父さん!?」
わたしは目の前に突然お父さんが現れて驚いて尻餅をついてしまう。
わたしはお父さんを見上げながら言った。
「お父さん……なんでここに……」
「そりゃ当たり前だろ!!息子が事故にあったと聞いたら飛んで帰ってくるわい」
そう言いながら、わたしの横を通りお兄ちゃんのそばに行った。
お父さんは必死に起きるはずがないお兄ちゃんに対して大声で話しかけていた。
わたしはその光景を見て、馬鹿馬鹿しく見えた。
わたしは病室を出て病院の屋上に足を運んだ。
屋上の手すりに手を置きながら綺麗な夕焼けを見ていた。
すると、後ろの方からドアが開く音がした。私は思わず振り返ってしまった。そこにいたのは知らない女の人。私は誰だと思いながら見ていると……
「あなた……もしかして梓四郎の妹?」
「そうですけど……」
私は戸惑いながらも、相槌を打ってしまった。
その女は少しづつ近づいてきてから言った。
「もう四郎君はいないの?」
「いえ、一応生きてはおります」
「そう……」
どこか悲しそうな表情を浮かべながら、その女は去って行ったのだった。
ー3年後ー
お兄ちゃんが植物状態になり早三年。
私は中学三年生だったが、今ではお兄ちゃんが事故にあった時と同じ年齢になってしまった。
「お兄ちゃん……」
私はお兄ちゃんの顔を優しく触りながら呟いた。
だが……お兄ちゃんの生命状態ももう限界であったのだった。
ピーピーピー
病室に響き渡る心電図の音。
そして、心臓の動きが止まったことを示す音が病室に響き渡る。
わたしは、お兄ちゃんの手を握り……
「よく頑張ったねお兄ちゃん」
笑顔で話しかけた。
まだ、お兄ちゃんの手は温かく人間らしさが残っていた。
私は、病室を出て屋上へと向かった。
そして、手すりを乗り越えて……
「お兄ちゃん……今向かうからね」
そう言い手を横に広げて、私は屋上から飛び降りた。
これが、誰かの為になるならと思いながらも私は飛び降りた。
親がなんと言おうと私は死ぬと決めていた。
これで……お兄ちゃんのそばに行ける。
私はそう思い、目を閉じた。
そして、次に目を開けたときには、お兄ちゃんが視界の中にあったのだった。
すぐそばに医師がおり、医師は重い顔をしながら話していた。
「えぇ、あなた息子さんはとても危険な状態の陥っております。なので、私たちが全力を尽くしますのでどうかご安心を」
バインダーを持って話していた医師が病室から出ると、病室は沈黙に包まれた。
なぜか、お兄ちゃんの寝ているところはVIPなどが使う病室であった。
そして、ベット一つに対して部屋が広すぎる……うちの財政でこんなところに止められたのがびっくりしている。
部屋の端にあった、椅子に腰をかけながらお母さんは言った。
「さっきの説明聞いた?」
お母さんが頭を抱えながら言うのでお母さん表情を見ようと一瞬顔を上げてから言った。
「……聞いたよ……起きる確率は低いんでしょ?」
お母さんは数秒間黙った後言った。
「そうよ。起きる確率はもう無いに等しい。だけど、わたしは起きると思って……生かしておくつもり……」
「そんなこと言わないで!!」
わたしは大声で言った。お母さんは驚いたのか顔を上げて私の方を見て言った。
「ごめんなさい……あなたにとっては大切な兄よね……ごめんなさい」
「……わたしも少し頭を冷やしたほうがいいのかな」
わたしは、お兄ちゃんの手を握っていたが優しく手をベットに置いてわたしは病室を出ようとした。
病室を出ようとスライドするドアに手をかけようとすると……
「大丈夫なのか!?」
大声で入ってきたのはお父さん。
わたしの記憶が正しければお父さんは北海道に出張していたはず……ここは東京。
北海道からは一日ではつかないはず……
「お父さん!?」
わたしは目の前に突然お父さんが現れて驚いて尻餅をついてしまう。
わたしはお父さんを見上げながら言った。
「お父さん……なんでここに……」
「そりゃ当たり前だろ!!息子が事故にあったと聞いたら飛んで帰ってくるわい」
そう言いながら、わたしの横を通りお兄ちゃんのそばに行った。
お父さんは必死に起きるはずがないお兄ちゃんに対して大声で話しかけていた。
わたしはその光景を見て、馬鹿馬鹿しく見えた。
わたしは病室を出て病院の屋上に足を運んだ。
屋上の手すりに手を置きながら綺麗な夕焼けを見ていた。
すると、後ろの方からドアが開く音がした。私は思わず振り返ってしまった。そこにいたのは知らない女の人。私は誰だと思いながら見ていると……
「あなた……もしかして梓四郎の妹?」
「そうですけど……」
私は戸惑いながらも、相槌を打ってしまった。
その女は少しづつ近づいてきてから言った。
「もう四郎君はいないの?」
「いえ、一応生きてはおります」
「そう……」
どこか悲しそうな表情を浮かべながら、その女は去って行ったのだった。
ー3年後ー
お兄ちゃんが植物状態になり早三年。
私は中学三年生だったが、今ではお兄ちゃんが事故にあった時と同じ年齢になってしまった。
「お兄ちゃん……」
私はお兄ちゃんの顔を優しく触りながら呟いた。
だが……お兄ちゃんの生命状態ももう限界であったのだった。
ピーピーピー
病室に響き渡る心電図の音。
そして、心臓の動きが止まったことを示す音が病室に響き渡る。
わたしは、お兄ちゃんの手を握り……
「よく頑張ったねお兄ちゃん」
笑顔で話しかけた。
まだ、お兄ちゃんの手は温かく人間らしさが残っていた。
私は、病室を出て屋上へと向かった。
そして、手すりを乗り越えて……
「お兄ちゃん……今向かうからね」
そう言い手を横に広げて、私は屋上から飛び降りた。
これが、誰かの為になるならと思いながらも私は飛び降りた。
親がなんと言おうと私は死ぬと決めていた。
これで……お兄ちゃんのそばに行ける。
私はそう思い、目を閉じた。
そして、次に目を開けたときには、お兄ちゃんが視界の中にあったのだった。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
最古のスキル使い―500年後の世界に降り立った元勇者―
瀬口恭介
ファンタジー
魔王を倒すも石にされてしまった勇者キール。スキルが衰退し、魔法が発達した500年後の世界に復活したキールは、今まで出来ることのなかった『仲間』という存在を知る。
一見平和に思えた500年後の世界だったが、裏では『魔王候補』という魔族たちが人間界を我がものにしようと企んでいた。
それを知ったキールたちは魔族を倒すため動き始める。強くなり、己を知るために。
こうして、長いようで短い戦いが始まる。
これは、一度勇者としての役目を終えたキールとその仲間たちが自らの心象を探し求める物語。
※この作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
※元勇者のスキル無双からタイトル変更しました。
※24日に最終話更新予定です。
とある辺境伯家の長男 ~剣と魔法の異世界に転生した努力したことがない男の奮闘記 「ちょっ、うちの家族が優秀すぎるんだが」~
海堂金太郎
ファンタジー
現代社会日本にとある男がいた。
その男は優秀ではあったものの向上心がなく、刺激を求めていた。
そんな時、人生最初にして最大の刺激が訪れる。
居眠り暴走トラックという名の刺激が……。
意識を取り戻した男は自分がとある辺境伯の長男アルテュールとして生を受けていることに気が付く。
俗に言う異世界転生である。
何不自由ない生活の中、アルテュールは思った。
「あれ?俺の家族優秀すぎじゃね……?」と……。
―――地球とは異なる世界の超大陸テラに存在する国の一つ、アルトアイゼン王国。
その最前線、ヴァンティエール辺境伯家に生まれたアルテュールは前世にしなかった努力をして異世界を逞しく生きてゆく――
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜
海月 結城
ファンタジー
ストーカーが幼馴染みをナイフで殺そうとした所を庇って死んだ俺は、気が付くと異世界に転生していた。だが、目の前に見えるのは生い茂った木々、そして、赤ん坊の鳴き声が3つ。
そんな俺たちが捨てられていたのが孤児院だった。子供は俺たち3人だけ。そんな俺たちが5歳になった時、2人の片目の中に変な紋章が浮かび上がった。1人は悪の化身魔王。もう1人はそれを打ち倒す勇者だった。だけど、2人はそんなことに興味ない。
しかし、世界は2人のことを放って置かない。勇者と魔王が復活した。まだ生まれたばかりと言う事でそれぞれの組織の思惑で2人を手駒にしようと2人に襲いかかる。
けれども俺は知っている。2人の力は強力だ。一度2人が喧嘩した事があったのだが、約半径3kmのクレーターが幾つも出来た事を。俺は、2人が戦わない様に2人を守護するのだ。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる