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一章 二節 前世のお話

九話 お兄ちゃんが死んだ

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私は学校からウキウキで帰っていた。
自分は部活などには所属しておらず、すぐに帰宅できる帰宅部に所属していた。

なぜなら……

大好きなお兄ちゃんが家で待っているからだ。
スキップしながら歩いていると、夕日が眩しかった。わたしは夕日に手を被せて少し日差しを軽減させた。


そして、歩き……歩き……わたしはついに家に着いた。

「ただいまーー!!」

大きな声で家中に響き渡る。だが、誰も声を返してくれない。いつもならお母さんとかいる気がするのに……と思いながらも私はリビングに向かった。


すると、受話器を持って電話をしているお母さんがいた。
だが、お母さんのいつもの電話の声のトーンではなかった。なんだか、重苦しい雰囲気で話が進んでいるみたいだ。


私は手を洗い冷蔵庫にあったアイスを口に咥えながらソファに座った。
私は携帯を片手に持って友達とのメールを確認していた。


どうやら、友達からメールが来ているみたいであり、私はそのメールを確認する。


『ヤッホー みーちゃん元気にしてた?こんな時間にメールごめんね~まだ学校だよね?電源切ってるよね?だけど、これは伝えたいんだ。今私の目の前で事故が起きた。』

私はすぐに返信を書いた。


『マジで?それやばくない?被害者って誰かわかる?男?女?』

そう送り私は携帯を閉じた。私はアイスを食べ終えアイスの棒を捨てようとゴミ箱に向かっていると……

ーバタッー

私の後ろで大きな物音が聞こえた。びっくりして反射的にその方向を向く。すると、膝から崩れ落ちているお母さんの姿がそこにはあった。


アイスの棒を投げ捨てお母さんによりそう。背中をさすりながら私は聞いた。

「お母さんどうしたの?浮気?それとも詐欺に引っかかった?」

私が聞くとお母さんは泣き出した。私はどうしていいかわからず、背中を摩って黙っていると顔を隠しながらお母さんは言った。

「……驚かないでね?いい?」

私は何がきてもいいように満面の笑みでお母さんに対して頷いた。

「四郎が交通事故にあったわ」


その言葉を聞いて私はさっき友達メールで見た気がした。だが、まだお兄ちゃんとは確認ができていない。

私は中腰で、お母さんを慰めていたが私も膝から崩れ落ちて落ちそうになった。
やがて、感情を無にして携帯を見た。すると、携帯には返信の通知があり私は開いた。


『確認したけど……言いにくいけど……あなたのお兄さん……梓四郎だったわ』


その文章を読んでわたしは携帯を落とした。
読み終えた瞬間体全身の力がスッと抜けた感覚に陥った。そして、わたしの心の中は情緒不安定になっていた。


「お兄ちゃんは生きてる……だけど……交通事故……だけど」


小さく独り言を話しながら私はお母さんに近寄り言った。

「お兄ちゃん生きてるかな」

「……そんなこと言わないで……あの子は強い子よ……生きてるわよ」

「だよね」

そう言い、私は2階に上がり自分の部屋に篭った。



何時間経ったがわからなかったが、部屋をノックする音が聞こえた。

美優みゆいくわよ」

お母さんの声が聞こえ私はドアを開ける。だが、私の顔を見てお母さんは言った。

「そんな泣き顔……お兄ちゃんに見せられないわよ」

そう言いお母さんは涙を拭ってくれた。


ーわたしも死のうかなー


ーお兄ちゃんが死んじゃうー


ー生きてる意味とはー


ーお兄ちゃんは私だけの男ー


車の中でわたしは今後について考えているのだった。
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