私の少ない命あなたなら幸せにしてくれる

mikadozero

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第一章 幼馴染

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「あれ?」

そんな、素っ頓狂すっとんきょうな声から始まる俺の朝。
素っ頓狂な声を出した主は、俺の隣に座っている朝日玲奈あさひれいなが出した声であった。俺は、玲奈のほうを見るとそこにはバックを漁っている玲奈の姿があった。

「おい、何やってんだ?」

今問いかけたのが…そう俺様…坂本明人さかもとあきとである。俺と玲奈は高校一年生時代からの仲の良い友達だ。

「ないんだよ…」

「何が?」

俺は、再び質問をしてしまう。玲奈はあきらめたのか椅子にゆっくりと座り込んで言う。

「筆箱…」

「はぁ?」

俺は、思わず出てしまった。心の中の本音が。学校に何しに来てんだと思いながら玲奈を見ていると玲奈はこちらにスッと顔を向けた。俺は同タイミングで顔を窓のほうに向けた。

窓の反射で見える玲奈の顔。玲奈は頬膨らませてまるでフグのように膨れながらこちらを見ていた。俺は思わず笑ってしまう。

「ぷぷぷ…」

「おい!お前が窓の反射で見ていることはわかっている!直ちに私にシャーペンと消しゴムを貸しなさい!」

玲奈は手を差し出していた。俺は、これが人にものを態度かと思いながら机に肘を置きながら玲奈のほうを見た。

「人にものを借りるときは…”お願いします”だろ!」

俺が、少し強めに行ったら玲奈は素直に言ってくれると思ったが…

「う…うっ…」

玲奈は泣き出した。いつもお得意のウソ泣きであった。その鳴き声を聞いてきたほかの女子が集まってくる。

「どうしたの?」

一人の女子が玲奈に対して聞く。玲奈はウソ泣きをしながら言った。

「明人君に…セクハラされた…」

「はぁ!?」

俺は、思わず叫んでしまった。それを聞いた女子たちから批判が飛んでくる。

「明人君それはないよ…」

「明人君ってそう言う趣味あったんだね…」

「死ねばいいのに」

最後に聞こえた声は普通に悪口じゃねと思ってしまった。すると、一人の女子が騒ぎ出す。

「みんな…葵様がきたわよ!!」

それを聞いた女子たちは、さっきまで玲奈のことを慰めていたのに嵐のように去っていった。

「お前…かわいそうだなぁ…ぷぷぷ…」

「笑うなぁ!!」

そう言いながら、玲奈は俺の腕をたたいてきた。玲奈のパンチは弱い。なぜなら俺との身長差がありすぎるからである。玲奈は身長150に対して俺は175ある。体格も大きさも違うから玲奈のパンチなど痛くもなかった。

そして、俺は玲奈に渋々シャーペンと消しゴムを貸した。貸した時の彼女は嬉しそうだった。目がキラキラしていた。そんなに、貸されてうれしいものかぁと思ってしまった。

そして、時間は少し経ちさっきの女子たちが教室に入ってくる。
葵様を囲んで。

このクラスの高嶺の花の鈴木葵。俺の幼馴染であり最近は全く話していない。
俺は葵を見ていると、横で見ていた玲奈が俺の耳元で言った。

「もしかして…葵様好きなの?」

「ひぁ!」

俺は思わず変な声が出てしまった。しかも高い声で。クラスの半数がこちらに注目してくる。俺はその視線に耐えながら玲奈に言った。

「いや…好きじゃないていうかお前!俺の耳元でささやくの禁止って前言ったよなぁ!」

俺がキレながら言うと玲奈はあははと笑い言った。

「いや…毎回アキ君の反応が面白くて…あはは」

心の中でくそぉと思いながら怒りを鎮める。時間は過ぎていきホームルームの時間となった。

ガラガラとドアを引く音が聞こえた。その音とともにみんな席に着く。うちの先生は言っちゃまずいが…とてもやさしい。この学校で一番優しいとうわさがあるくらいだ。

先生は、いつも通り優しい声で出欠と取った。

「朝倉」

「はい」

この感じがうちのクラスって感じがした。出欠が終わりみんなどこに行くのかと思ったが言った場所は葵の席だった。
葵の席はいつも誰かに囲まれていた。
一時間目の準備をしているとどこからか視線を感じる。俺は辺りを見渡したが誰も見ていない。
だが…

囲まれている葵の席から視線を感じた。俺はどうしてだろうと考えていると玲奈が俺の肩をたたいてきた。考えるのをやめて玲奈のほうを見る。

玲奈は、頭の裏を触りながら言った。

「教科書忘れちゃった…授業中見して?」

俺は思わず声が出た。

「お前は何をしに来たんだぁ!!」と…
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