社畜だった私は異世界転生をする 〜第一王女なんて聞いてません〜

異世界転生

1、2

「うっ……ここはどこだろう」頭を打った感覚が凛を襲う。凛はゆっくりと体を起こして辺りを見渡す。凛は見たこともない景色に困惑しながらも立ち上がる。

凛が寝ていた場所は天国でもなく、地獄でもない。ただの平原であった。そして、凛の立っていた場所は、どうやら道路の真ん中で全く人通りのない道路でもあった。

凛(元社畜)の異世界生活が今始まる。



2

私は目の前に困惑していると一台の馬車がこちらに近づいてくるのがわかった。私はとりあえず、一安心をした。これで誰もいなくて私一人だと……心細い。

この景色はどこかで見たことがあった。

私は思い出そうと頭の裏を掻いていると……さっきの馬車が近づいてきたので私は馬車の方を見ながら待った。

馬車を操っていたおじさんは私のことを不思議なやつみたいな顔をしながら止まった。そして、おじさんは言った。

「嬢ちゃん……どうしたんだい？こんな道端で」

私は一応言語が伝わるんだ！と感動しながらも答える。

「……私…親に捨てられてしまい……起きたらこんな道端にいたんです……」

うるうるした目で訴えるとおじさんは少し珍しそうな顔をしながら言った。

「そうか……まぁとりあえず乗ってけ、この馬車は一度王都に向かってから家に戻る……王都で家を見つけられるといいな」

「はい」

そう言い、おじさんの誘導で私は荷台の藁がひかれたふさふさの地面の座って外の景色を楽しむのだった。

周りの景色は、私の知っている日本とは違う。明らかに。日本のどこの土地でもこんなに草原な場所はない。ほとんど開発・住居になっていてあっても田んぼだ。

私は寝転がり天井を見ながらポツリと呟く。

「……どうしよう……私」

不安しかなかったのであった私は。
そして……思い出せない。この既視感のある景色に……

馬車に揺られて、何時間経ったかわからないとき。突然馬車が止まった。
私は荷台の窓から顔を出した。すると、そこにはクマというか……違うと言うか……クマらしき動物が顔を出していた。

おじさんは恐怖心かから動けずにいた。私も怖いと思ったが……体が先に動いていた。
そして、おじさんの前の立ちクマに対して言った。

「この馬車はやらせないわよ！」

私が言うとおじさんの声が裏から聞こえた。

「嬢ちゃん！危ねぇ！下がれ！」

そんな声を耳にも入れず、私はクマに突撃した。無計画に攻撃する手段などないはずなのに……
クマらしき動物の大きな爪が私の頭まで迫ったきていた。

私の足は遅い。だからこの攻撃は当たる。そして当たったら即死。誰もがわかることであった。
私は死んだと思いながら次の人生にかけようと目を瞑ると……

なかなか痛みがこない……

なぜ？

その答えは目を開ければわかった。

私は水色のバリアで守られており、そのバリアからは棘が出現して熊の心臓を貫いていた。
それを見たおじさんは驚愕する。

「嬢ちゃん……」

私はおじさんの方を振り向きながら言った。

「……てへっ！」

ベロを出しながら言うとおじさんは私の前に来たかと思えば……おじさんは片膝をつけて俯いていた。

「……無礼なことをおっしゃりまして本当に申し訳ございませんでした。アリフィア・ロステルト第一王女」

私は聞いた瞬間。

『はぁ！？？』

と、呆れた声しか出なかった。私はおじさんに対して言った。

「何を言ってるんですか？おじさんは」

すると、おじさんは震えた声で言った。

「命だけは……命だけは……」

私はおじさんの背中を摩りながら言った。

「おじさん……そんなことはしません。あなたがいなければ私は死んでいましたから」

そう言うと、おじさんは少し元気を取り戻しながら言った。

「ありがたきお言葉」

「さぁ、いきましょう」

そう言うと、おじさんは早足で座り私に言った。

「アリフィア様、さぁ隣を」

私は顔をしかめた。流石に、おじさんの隣は……と顔に表しているとおじさんは少ししょんぼりした顔で言った。

「荷台にどうぞ」

私は無言で荷台に乗った。
そして、何より厄介だと思ったのが、私が第一王女と言うこと。今でも信じられないが……ただ顔が似ていると言う筋もある。私は自分で考えた筋の方を信じて王都に向かった。

王都に入ると、私の姿を見て皆片膝をつけてくる。なんだか申し訳ない気持ちになりながらも無言で辺りを見渡す。さすが王都というほどであり、とっても大きな街であった。

馬車が止まり、おじさんは言った。

「さぁ……王都でございます。あなたがいると皆片膝をつけなければいけないので颯爽に城へ」

「城っていっても……どこにあるの？」

私の質問は辺りをざわつかせた。おじさんは丁寧に指をさして言った。

「あそこでございます」

そう言い指差す方向を見ると、大きなお城が立っていた。そして、そこまでの距離がとてもあるなと思った。私はおじさんにお礼をして歩き始めると……

「アリフィア……」

目の前にドレスを着た綺麗な女の人が……私は困惑しながらも黙って立ち止まっていると……

その綺麗な人は私の方に近づいて来てやがて……優しく抱きしめた。
そして、涙を流しながら言った。

「……アリフィア……あなたが夜逃げした時はびっくりしたけど……帰って来てくれて私は嬉しいわ」

私は涙を流していると女の人に言った。

「誰ですかあなたは」

そう言うと、綺麗な女の人は涙を止めて私の顔を見て言った。

「お母様です！」

私はクエスチョンマークを頭に浮かべながら顔を見ていると周りがざわつき始めた。
そして、お母様？に対して言った。

「私は……アリフィアであってるんですか？」

「えぇ……あってるわ。それはでうしたの？」

「自分……記憶ないです」

その言葉に辺りとお母様らしき人は声を出してびっくりしていた。
私の方が状況読み込めないわ！と思いながら私はお母様に背中を見せるのだった。