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8.どうしてよ! ローズside
しおりを挟むどうして……ありえない、あり得ない!!
こんな、こんな事があっていいはずがないわっ!! どうしてわたくしの思い通りにならないの!?わたくしは愛されている筈なのにっ!!
ローズは警備兵に連れられ、パーティー会場から退出した後もずっと心の中で叫び続けていた。
◆
第一王子であるネグロと婚約をし、ヴィオレットを追い出すところまでは順調だった。しかしそこから後の展開は予想だにしなかったことばかりだ。
普段公の場に姿を見せない第二王子…ビアンカがパーティー会場に現れたこと。追い出したヴィオレットがビアンカと婚約し、王家に名を連ねることが決まったこと。
──そして、自分達の婚約は少しばかりも望まれていなかったこと。
そっと隣を見ると、茫然とした表情で抵抗する事もなく警備兵に連れられるネグロが目に入った。普段の傲慢で自信に満ちた姿はすっかり鳴りを潜めている。
彼を慰めようにも、婚約が無効になってしまった為に身分の違いから話しかけることすら出来ない。
「貴女達の婚約は無効になった為、ひとまずローズ子爵令嬢はフォルシュット家に送ります。そこで今回の騒動についての事情説明をしてもらうことになりますので、それまで大人しくしているように。」
馬車で待機していた別の警備兵がそう告げるとローズとネグロを別々の馬車に乗せた。
ネグロはこの後、王族の所有する離れに使用人監視の元軟禁されることが決まり、俯いたままの彼はこちらに視線を向けることもなく質素な馬車に乗せられ、そのまま離れへと続く道を走り去っていった。
「あぁ…こんなことになるのなら、他人の婚約者を奪うんじゃなかったわ…!!」
遅すぎる後悔と、後に待ち受けるであろう両親の叱責を想像したローズは馬車の中で頭を抱えたまま、フォルシュット子爵家へと向かうのだった。
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