（完結）不思議な図書館へようこそ。〜少女ととある本のお話〜

青年side

プロローグ

───自らの意思を、心を手に入れたのはいつだっただろうか。


　俺はどこにでもある、ありふれた１冊１つの物語世界の登場人物主人公だった。

　1人で旅立ち、仲間を集め、弱きものに手を差し伸べる。
　授かった強い魔法は大事なものを守る為の武器として、友と共に世界を駆ける。
　そして最後は、物語の最大の敵を倒して大団円を迎える。
　多くの人が親しみ、何度も読まれた繰り返された世界の結末終わり。


　───それはどこまでも輝かしく、俺にとってはどうしようもなく普遍的な物語だった。

　だからこそ、何度も繰り返された世界の中で蓄積された己の意思を使い、今度は自らの運命を…まだ見たことの無い結末を見ようと、そう決めたのだ。