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5人の末路(ざまぁ展開あり)
第8話 始まり:トア
しおりを挟む一番最初のターゲットはトアに決めた。
常識を弁えた両親と小学生の妹がいる、ごく一般的な家庭で育った高校生。
そんな家族のもとで育ったにも関わらず、彼女は他人を傷付けることに対して何の疑問も感じていない人間になってしまったようだ。
直接本人に報復をしたとしても、自らの行いを反省するどころか、逆ギレをして他人へ害意を向ける可能性が極めて高いだろう。
それならば、あえて本人を狙わなくてもいいのかもしれない。
そう、例えば……
彼女が大事にしている妹が他でもないい、自分のせいで酷い目にあっていたとしたら?
それはさぞかし辛い事だろう……。きっと彼女の心に、一生消えないトラウマとして残るだろうな。
◆
トアside
「お姉ちゃん!それじゃあ友達と遊びに行ってくるね!!」
4月に6年生になった妹…莉亜が、ウキウキとした様子で家を飛び出して行った。それを玄関で見送った私は、2階の自室に向かった。
天真爛漫で周りの子に対して思いやりの心を持っている彼女は、私にとって自慢の妹だ。
両親は共働きで、夜の7時頃まで家に帰って来ない。それでも私達姉妹のことを大切にしてくれて、とても感謝している。
自室に入りベッドに転がった私は、今日学校であった事を振り返った。
「まさか平良樹さんが学校をお休みするなんてね。」
今朝のホームルームで、担任の教師は平良樹さんが家の都合で1か月ほど学校をお休みすると言ったのだ。
彼女はクラスの中でも大人しく内向的で、いつも藤見賀さんと一緒にいた。そんな藤見賀さんは彼女の不在をとても残念がっていた。
私もある意味では、残念に思ってしまった。
(平良樹さんがいないとなると、学校での楽しみが減ってしまうわね。あぁ…つまんない)
マキネ達と共に彼女を陰から揶揄って、その反応を楽しんでいただけに今回の長期休暇は本当に残念だった。
一瞬、私達の悪口が周りにバレて、こっそり密告されたのか?とも思ったけれど、クラスメイト達の不思議そうな表情をみるに、そうではなさそうだ。
「まあいっか。どうせクラスの皆にはバレてないんだし、平良樹さんも1か月すれば戻ってくるでしょう。それまで我慢ね!」
私は自分に言い聞かせるように呟いて、今日の課題に取り掛かった。
それから2時間程経った頃。陽は随分と沈んで辺りは薄暗くなっている。
そんな時、仕事から帰って来たお母さんの声が聞こえてきた。
「トア、トアー!!ちょっと降りてきてくれる?」
少し慌てたような声音に違和感を感じながらリビングに行くと、そこには眉根を不安気に寄せるお母さんと渋い表情のお父さんの姿もあった。
そして私の姿を見るや否や驚きの言葉を口にした。
「トア…!!莉亜の姿を見かけないの!トアは何か知ってる…!?」
「えっ…莉亜が?莉亜は小学校から帰って来た後、友達と遊びに行くって言ってたけど……まさか…!」
「あぁ、トアが今考えた事で間違いない。莉亜は…家にいない。まだ帰って来ていないんだ。」
———そんな、まさか…!妹が消えてしまうなんて!
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