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2章.断罪 ※

23.屋敷を目指して

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 あれからどれだけ経っただろうか。気が付くとそこは森の中だった。

「うっ……ここは……」

 ゆっくり起き上がり、辺りを見渡した。どうやらここは、屋敷から比較的近くに位置する森の中で間違いなさそうだ。

「そうだ、私は……ぐっ!」

 体を動かそうと力を入れると、傷だらけの全身に強い激痛が走った。特に痛む背中を見ると、そこには翼を根元から切断された大きな傷跡があった。満足に止血をされていないからか、そこは未だにたらたらと血を流している。
 他にも、レベリオや天使達に犯された陵辱の痕も身体のあちこちに残っている。

「ぐっ……くそっ……!」

 満足に動かせない身体に、アクロアは小さく悪態をついた。
 しかしここでじっとしている訳にもいかない。とりあえず森を抜けようとふらふらと立ち上がると慎重に歩き始めた。

「はぁ……はぁ……」

  今の自分の姿は、とても見られたものじゃい。
 万が一森に潜む生物達に見つかってしまえば、確実に襲われて命の補償はできないだろう。木陰に身を隠しながらゆっくりと足を進めた。


 しばらく歩いていると漸く視界が開けた。どうやら森を抜けたようだ。
 そこには多くの水を湛えた湖が広がり、岸辺にはモリオン達の待つ小さな屋敷がポツンと見えた。
 アクロアはひとまず湖の水際まで近づくと、身体についた陵辱の痕白濁液を洗い流した。血も一緒に洗い流したが、止血してある訳ではない。身体中の傷から再び流れ出てくるだろう。
 それでもなんとか流し終えたアクロアは、再び屋敷に向かって歩みを進める。

(後少し…後、少しなんだ……)

 アクロアは身体を半ば引き摺るように、屋敷へと急いだ。

 身体の痛みはもはや限界を超えていた。
 それから一時間経っただろうか。漸くアクロアは屋敷の門の前に辿り着いた。帰ってこられた安堵から、思わずため息を漏らしたその瞬間、身体から力が抜けてしまいふらりとその場に倒れ込んだ。

「はぁ……はぁ……やっと着いたぞ……モリオン……」

 アクロアは掠れた声で呟くと、身体を引きずりながら玄関へと向かう。扉をノックしようと手を伸ばすが、既に身体には力が入らず、僅かに腕をもたげることしか出来なかった。視界も徐々に暗くなっていく。

「モリ……オン、セ…ドニー…。お願……だか……ら……ここを……あけ……て……くれ……」

 アクロアはそこまで言うと、扉の前で気を失ってしまった。
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