天使の小夜曲〜黒水晶に恋をする〜

黒狐

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2章.断罪 ※

20.レベリオ

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 天使達が休むことなく攻撃を続ける中、レべリオは離れた場所からアクロアの様子を眺めていた。

 彼のことは知っている。
 直属の部下では無いが、度々任務が一緒になることがあった。
 同僚や下位の天使に尊大な態度をとりながらも仕事は常に完璧にこなし、自身の髪や翼、武器の手入れも欠かさない。  
 自他共に厳しい彼が、長い髪を靡かせ自信に満ち溢れた表情で悠々と歩く姿は、多くの天使達の尊敬の眼差しを集めていた。

 そんな彼が、他の天使長に交渉したとは言え、魔力を持たない、ゴミ当然と言ってもいい悪魔を拾い、地上の屋敷で共に暮らし始めた時には多くの天使達が動揺し、独断で地上に降りる者すら現れる騒ぎになった。

 アクロアを断罪の為に天界に転送してからも、罪を認めるどころかあの悪魔を庇うような言動を繰り返している。
 何故そこまで、彼が考え方を変えたのかはわからない。

 けれど6枚の翼を持つ美しい天使は、今や自分達の手中に落ちた。血に塗れボロボロになっていくアクロアの姿に、レベリオはえも言われない征服感に支配された。

「まだ終わらないぞ?」

 天使達は一度離れると、一斉に磔にされたアクロアに襲いかかった。

「ぐあ゙あ゙ッ!!」

 天使達はアクロアの顔面を蹴り上げると、さらに追撃を加えていく。

「かはっ……か、ふ……ぅっ……。」

 遂に限界を迎えたのか、アクロアは気を失ってしまった。ぐったりと頭を垂れ杭を打ち込まれた手の甲に体重がかかっても意識を失ったようだ。

「…気絶したか。」

 レべリオはそう呟くと、アクロアの元へ歩み寄る。

「本日の拷問はこれで終了だ。お前達はもう解散してくれ。俺はしばらくこいつと遊ぶ。」
「はっ!」

 レべリオの言葉を聞くと、天使達は敬礼し部屋を出て行った。
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