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2章.断罪 ※

19.最悪の目覚め

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 翌朝、アクロアは身体に走る傷の痛みで目を覚ました。

「……ッ」

 アクロアが目覚める前から断罪部屋にいたレベリオは、彼の傷だらけの身体を見て満足げに笑っていた。

「おはよう、アクロア。よく眠れたか?」
「……最悪だ。貴様らのせいで身体中が痛くてしょうがない。」

 アクロアが吐き捨てるとレベリオは再び笑う。

「それは良かった。では早速今日の拷問を始めるとしようか。」
「わざわざ、言われなくとも分かっている。」
「ふん、威勢の良いことだ……まぁせいぜい頑張るんだな。」

 レベリオが合図を送ると、昨日と同じように武器を持った天使達が現れ、アクロアの身体を次々に痛めつけていく。

「ぐっ……!」

 昨日の傷が治りきらないうちに執拗に痛めつけられ、全身が再び鮮血に染まっていく。
 天使達はそんなアクロアの様子を嘲笑いながらも攻撃の手を止めなかった。

「ぎっ……!いィ゙ッ!!ぐ、ぅ……!」

 絶え間ない激痛が全身を襲うが、アクロアは決して悲鳴を上げようとしなかった。歯を食い縛り天使達を睨みつけながら、ただひたすら痛みに耐えていた。

「ふむ……中々強情だな。だがいつまで続くかな?」

 レベリオが天使達に目配せをすると彼らはアクロアの背後に回り込み、身体を押さえ込む。

「な、何をするつもりだ……!?」

 突然の行動により不安気な表情を見せるアクロアに対し、レべリオは満面の笑みを向けた。

「すぐにわかるさ……」

 すると天使達はアクロアの枷がついた両腕を掴み、持ち上げる。

「くっ……離せ!」

 抵抗するアクロアだったが、魔力を封じられているこの場所では、腕に力を入れることすらも出来ない。

「やれ」

レベリオの命令を聞いた天使達が、突如高く持ち上げたアクロアの身体を床に叩きつけたのだ。

「ゔ、ア゙ぁぁあ゙あっ!?」

 身体や翼が凄まじい衝撃と苦痛に襲われたアクロアは、思わず絶叫を上げる。

「ほぉ、これは中々効いているようだな。」

 レベリオはそう言うと、再び同じように指示を出す。天使達はアクロアに休む暇も与えず、何度もアクロアを床に叩きつけた。

「あ゙ァ ァあ あッ!!」

 身体を襲う強い衝撃に、アクロアは目を大きく見開き、悲鳴を上げた。

「さぁ、まだまだこれからだぞ?」

 レべリオはそう言うと、天使達に目配せをする。再びアクロアの身体を空中に浮き上がらせると、レベリオ自身が立ち上がった。
 彼の手には長い槍が握られている。

「これで腹部を貫かれたら流石に痛いだろうな……楽しませてくれよ?」

 レべリオはそう言い放つと、宙に浮かべられたアクロアの腹部に強烈な一撃を叩き込んだ。

「がはッ……!!あ"あァアアッ!!!」

 腹を思い切り貫かれ、鋭い痛みが走った。恐る恐る腹部を見ると、真っ赤に染まった槍が貫通し飛び出していた。

「がはァッ……!ぐっ……ごほっ……」

 アクロアが大量の吐血をする中、レベリオは特に気にする様子はない。そのまま槍をグリグリと捩じ込んでいる。

「レ、レベリオ様……流石にやり過ぎじゃないですか……?」

 あまりの様子に見かねたのか、一部の天使が心配そうに問いかけてくる。

「安心しろ、この部屋なら決して死にはしない。まぁ、死にたくなるくらい痛いだろうがな。」

 レベリオはそう言うと、アクロアに突き刺さしたままの槍を乱暴に引抜いた。

「ぐあ"あ"っ……!」

 激しい痛みに襲われると同時に、アクロアの身体から大量に血が流れていく。

「どうだ?痛いか、苦しいか?」

 レベリオはそう問いかけるが、アクロアは大量の血を失ったことから声を出すことすら出来ず、苦しげに息をしているだけだった。

「……返事が無いのは面白くないな。」

 レベリオは不満そうな顔で呟くと、アクロアの足を掴み逆さまに吊るし上げた。

「がッ……!」

 身体が上下逆さまになったことで、腹部から滴り落ちた血が顔を伝って落ちていく。

「このままだと反応が楽しめないな……少し回復してやるとするか。」

 レベリオは、アクロアの身体を地面に降ろすと、彼の足元に魔法陣を組み上げた。そこから溢れ出した光がアクロアの身体を包みこむと、傷が僅かに癒えたのだ。

「はぁ……は、何の…つもりだ。」

 アクロアが不審気に尋ねると、レべリオは不敵な笑みを浮かべる。

「言ったはずだ、1ヶ月間拷問を続けると……その間反応のない人形を弄るのか嫌なだけだよ。」
「ふん、鬼畜天使め。」

 アクロアが挑発するように呟くと、レベリオは呆れたように溜息をつく。

「なんとでも言えばいい。回復すれば何度も何度も、アクロアを傷つけ、新鮮な反応を楽しむことができるだろ?」
「貴様と、いう奴は……」

 アクロアは怒りに満ちた目つきで睨み付ける。

「まぁいい。とにかく続けるぞ。次は……そうだな、翼がいい。」

 レベリオが指示を出すと、天使達は鎖で縛られたアクロアの美しい6枚の翼を踏みつける。その瞬間、バキィッ! と音を立てながら翼が折れ、アクロアは苦悶の声を上げた。

「あ"ああっ!!」

 そんな彼に追い打ちをかけようと、天使達が群がっていく。

「やめろッ!!」

 アクロアは叫ぶが、天使達は攻撃をやめなかった。見る見る間に翼はボロボロになり、羽が抜け落ちる。

「あ"あぁあッ!!」

 アクロアは髪を振り乱しながら絶叫し、必死に悶えるが、腕も脚も枷で拘束されているため抵抗することさえ出来なかった。

「さて、次はこいつだな……」

 レべリオはアクロアの身体を浮かせると翼に巻き付けていた鎖を解く。ボキボキに折られ羽の抜けた無残な姿のそれを、天使達は強い力で掴み上げた。

「や、やめろ……!」

 これから何をされるのか察したアクロアは、恐怖に顔を歪める。

「やれ」

 レベリオがそう言うと、6人の天使が力を込めて彼の翼を引きちぎった。
 ブチッ!メキメキッ!! 翼と骨の砕ける音と共に、大量の血飛沫が辺りに飛び散った。

「ぐ…あ゙ああァッ!!ぎ、ぃ、ァァぁああ゙ッ!!」

 アクロアは悲鳴を上げながら、血塗れになった不恰好な翼を引きずって逃げようとする。しかし、すぐに別の天使に捕まり、引き戻されてしまう。

「あ"あッ……!がはっ!」

 そして再び身体を持ち上げられてしまう。
 レべリオはニヤリと笑うと、アクロアの身体を断罪部屋の壁に叩きつける。

「ぐ、ああ゙っ……!」

 壁に打ち付けられた衝撃と、背中に走る激痛にアクロアは悶絶する。

「まだまだいくぞ?」

 レべリオはそう言うと、アクロアの身体を魔術で十字に固定すると、大きく長い杭を4本取り出した。

「何を、する気だ……!」

 その光景を見たアクロアの顔から血の気が引く。

「アクロア、お前の身体を磔にしてやろう。」

 レべリオはそう呟くと、アクロア右手の甲にくいを突き刺した。

「ぎゃあ゙あ゙あッ!!!」

 途端に鋭い痛みが走り、アクロアは絶叫しながら髪を振り乱した。
 レベリオは構わず次の杭を手に取ると、今度は左手の甲に突き立てる。

「がああぁぁあ゙っ!!!」

 レべリオはさらに3、4本目の杭を取り出すと、両足の太腿に容赦なく突き立てた。

「う"…あ"あ"ッ……!」
「いい声だな。」

 レべリオはそう言うと、苦悶に歪むアクロアの顔を掴むとじっくりと眺めた。

「流石に、この拷問は効くようだな……。」

 彼は満足げに呟くと、血の滴るアクロアの腹を思い切りけり上げた。

「かはっ……」

 蹴られた衝撃でアクロアの口から血が吐き出され、美しい顔は苦痛に歪んだ。

 今日の懲罰も、まだ終わらない。
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