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高校三年生(今までの応用です。暗号・トリック・事件・サイコパス……)
猫は暗号を運ぶ2
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狭い交番の中、赤野に案内されて中に入れば、そこには、猫と、婦警の制服を着たお姉さんと、もう一人のお姉さん。そして、太めのブチ猫が一匹。私服のお姉さんの膝の上でくつろいでいる。
よほど人慣れしているのか、猫は、俺達が入ってきても、少しも動じない。
「可愛いね。僕が触っても怒らない?」
赤野が、すぐさま猫に寄っていく。
どうやら、赤野は猫好きなようだ。意外だ。動物なんて合理的でない物は苦手だと言うかと思った。
「猫……好きなの?」
今井が聞けば、
「うん。この、モフモフがいいよね。それに、自分の嫌いな人には、絶対に近寄らない、媚びない感じが、なんだか心地いいんだ」
と赤野が答える。
……それ、ちょっと赤野に似ているよね? 人とちょっと距離を置いて観察しているけれども、好きな人には、過剰なくらいに寄って行くところとか。
あれ? 今日は、木根刑事はいないのだろうか?
「元子、制服似合っている。警官らしくみえるよ」
猫を撫でながら赤野が、そう言えば、
「なまいき! なんで高校生ごときに判断されなきゃいけないのよ!」
と、婦警さんが言い返す。
赤野とはずいぶん親しそうだ。
「これが、木根刑事の娘で、僕の幼馴染の木根元子。僕らより二歳年上」
赤野が木根元子を紹介してくれる。
赤野は、そのまま、俺達を友達だと、順に二人に紹介する。
「周作に友達ね……それは、ずいぶん心の広い子達なのね」
「うるさいな。あまり嫌みばかり言うようだと、帰るよ。元子が呼び出したから、ここに来てあげたのに」
赤野が不貞腐れる。
赤野と元子さんの仲の良さそうな様子に、松尾はそわそわしている。気が気でないのだろう。幼馴染の男女、恋仲設定のアニメも小説も数多ある。
「そう、本題。この子は、私の高校の同級生で、名前は、寺井樹。この子の飼っている猫が逃げた時に、誰かが首輪を付け替えたみたいなのだけれども。その首輪に変な文字が書かれていて……」
そう言って、事件のあらましを説明した元子さんが見せてくれたのは、赤い首輪。そこに、確かに不思議な文字が書かれている。
『さ・や・・・・あ・・がた・・か・・・・あ・・な・・・・さか・・ら』
? 意味は分からない。
「また、モールス信号?」
俺が聞けば、
「違うと思うよ。長い棒が無いし、文字を棒に置き換えるとしても、点の数が、それらしくない。この文字列で、モールス信号を当てはめるのは、少し強引過ぎる」
と、赤野が即答する。
「ま、まずはこの文字列の法則性注目してみようよ」
赤野がにこやかに読み解いていく。
「まず、この文字。『さ』『や』『あ』『が』『た』『か』『あ』……」
「全部、あいうえおの一番上だ!」
今井が気づく。
「そう。全部の文字の母音が『あ』、そして、その次に、点が書かれている。もう分かるよね?」
「いや? 分からんが?」
松尾は首をかしげる。
「えっと、ひょっとして、使用する母音の位置? 例えば、最初の『さ・』は、『し』?」
寺井さんが、おずおずと提案する。
「その可能性が最も高いよね。僕もそう思う。だって、文字の後に書かれた点の数は、四つが最大。五つの母音を表しているようにしか思えない。だから……」
『さ・や・・・・あ・・がた・・か・・・・あ・・な・・・・さか・・ら』
『し よ う がつ こ う の さく ら』
『しようがつこうのさくら』
『小学校の桜』
赤野が、暗号の下にサラサラと解答を示す。
よほど人慣れしているのか、猫は、俺達が入ってきても、少しも動じない。
「可愛いね。僕が触っても怒らない?」
赤野が、すぐさま猫に寄っていく。
どうやら、赤野は猫好きなようだ。意外だ。動物なんて合理的でない物は苦手だと言うかと思った。
「猫……好きなの?」
今井が聞けば、
「うん。この、モフモフがいいよね。それに、自分の嫌いな人には、絶対に近寄らない、媚びない感じが、なんだか心地いいんだ」
と赤野が答える。
……それ、ちょっと赤野に似ているよね? 人とちょっと距離を置いて観察しているけれども、好きな人には、過剰なくらいに寄って行くところとか。
あれ? 今日は、木根刑事はいないのだろうか?
「元子、制服似合っている。警官らしくみえるよ」
猫を撫でながら赤野が、そう言えば、
「なまいき! なんで高校生ごときに判断されなきゃいけないのよ!」
と、婦警さんが言い返す。
赤野とはずいぶん親しそうだ。
「これが、木根刑事の娘で、僕の幼馴染の木根元子。僕らより二歳年上」
赤野が木根元子を紹介してくれる。
赤野は、そのまま、俺達を友達だと、順に二人に紹介する。
「周作に友達ね……それは、ずいぶん心の広い子達なのね」
「うるさいな。あまり嫌みばかり言うようだと、帰るよ。元子が呼び出したから、ここに来てあげたのに」
赤野が不貞腐れる。
赤野と元子さんの仲の良さそうな様子に、松尾はそわそわしている。気が気でないのだろう。幼馴染の男女、恋仲設定のアニメも小説も数多ある。
「そう、本題。この子は、私の高校の同級生で、名前は、寺井樹。この子の飼っている猫が逃げた時に、誰かが首輪を付け替えたみたいなのだけれども。その首輪に変な文字が書かれていて……」
そう言って、事件のあらましを説明した元子さんが見せてくれたのは、赤い首輪。そこに、確かに不思議な文字が書かれている。
『さ・や・・・・あ・・がた・・か・・・・あ・・な・・・・さか・・ら』
? 意味は分からない。
「また、モールス信号?」
俺が聞けば、
「違うと思うよ。長い棒が無いし、文字を棒に置き換えるとしても、点の数が、それらしくない。この文字列で、モールス信号を当てはめるのは、少し強引過ぎる」
と、赤野が即答する。
「ま、まずはこの文字列の法則性注目してみようよ」
赤野がにこやかに読み解いていく。
「まず、この文字。『さ』『や』『あ』『が』『た』『か』『あ』……」
「全部、あいうえおの一番上だ!」
今井が気づく。
「そう。全部の文字の母音が『あ』、そして、その次に、点が書かれている。もう分かるよね?」
「いや? 分からんが?」
松尾は首をかしげる。
「えっと、ひょっとして、使用する母音の位置? 例えば、最初の『さ・』は、『し』?」
寺井さんが、おずおずと提案する。
「その可能性が最も高いよね。僕もそう思う。だって、文字の後に書かれた点の数は、四つが最大。五つの母音を表しているようにしか思えない。だから……」
『さ・や・・・・あ・・がた・・か・・・・あ・・な・・・・さか・・ら』
『し よ う がつ こ う の さく ら』
『しようがつこうのさくら』
『小学校の桜』
赤野が、暗号の下にサラサラと解答を示す。
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