天使の顔して悪魔は嗤う

ねこ沢ふたよ

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高校一年生(暗号・トリック中心)

クリスマスの暗号1

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 赤野と二人っきりでクリスマスを過ごしたい。

 そういう願望はあっても、とてもそれを叶えることは出来そうにない。
 だから、いっそ皆で楽しもうと思ったんだ。

 今井、夏目、それに俺と赤野、そして赤野の弟の優作も。

「じゃあ、プレゼント交換に、赤野の作った暗号を使うのはどう?」
と、俺は提案した。

 一人千円の括りで買うと決めたプレゼント。
 それをゲームで交換すれば、五歳も年下の優作が不利になるし、それぞれ得意と不得意がある。ただくじ引きすれば、一瞬で終わってしまう。
だから、赤野に四つの暗号を作ってもらって、その暗号の答えの場所にたどり着いたら、プレゼントがもらえる。そういうことにしようと提案したんだ。

「わ、楽しそう」

 にこやかな赤野。
 やばい、本気出そうとしていないか? これ。
 ラテン語だの、なんとか関数だのを暗号の元にされれば、俺達は解けないぞ?優作だって解けないはずだ。……たぶん。

「大丈夫、ちゃんと手加減するし、状況をみてヒントも出すから」

本当だろうか? 一抹の不安を覚えつつ、クリスマスパーティの日を迎えた。

 場所は、赤野の家。
 イサクは海外の職場に戻っているし、母親は仕事中。
 ケーキやお菓子、ジュースは、皆でお金を出し合って、机に並べてある。だけれども、気になるのは、赤野が作った暗号。

「まずは、暗号気になるよな?」
という俺の言葉に、皆首を縦に振って賛同してくれる。

「僕も兄ちゃんの暗号解きたい」

溺愛する優作にそう言われれば、赤野も否定するわけがない。

「えっとねぇ。さすがに両親の寝室に隠すのは、叱られるから。隠し場所は、居間・奥の和室・台所・ダイニング・風呂場・洗面室・押し入れ・廊下の掃除用具入れ・玄関」

 つまり、一階のどこかということか。それだけ限定されれば、見つかりそうだ。
 赤野に事前のプレゼントは渡して、隠してもらっている。

 赤野は、暗号の書かれたカードを五枚出す。

「あれ? 五枚?」

「だって、四枚にしたら、僕は、自分でプレゼントを決められてしまうだろう? 五枚作って、誰も解けなかった物を僕がもらうよ」

なるほど、確かにそうだ。

一枚目のカード。

表には、サンタクロースの絵。赤鼻のトナカイを撫でている。

裏には、

「雪花畳ねこ絵裏奥台風呂なみ星瓶もの所洗玄面関に上中にの花付き靴長足傘春流山犬奥北だひ棚フしな車足と二ス箱蓮のし新いたれ末ね置下」

と書かれている。

なんだこれ??

「ルドルフだ」

優作が、考え込む。

ルドルフ。この赤鼻のトナカイって、そんな名前だっけ?
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