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高校一年生(暗号・トリック中心)

タイムカプセル4

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「・―――・ ・―・―・ ・―――・ ・― ―― ・・― ―・―― ・・ ―・ -・・・ ・・ ―――― ・・―― ・・― ・・・」

順番通りに並べれば、裏には、こんな風な記号が書かれている。


 モールス信号。聞いた事はある。読めないけれど。


「せんせいようげたばこのうら。先生用下駄箱の裏だって」

赤野が読み解けば、木根刑事が走る。

「僕らも行くよ。叔父さん。まだ、暗号はあるはずだしね」

「まだあるのか……」

赤野に言われて、木根刑事は天を仰いだ。

「どうして、まだあると思うの?」

「だって、写真には女の子が四人写っていたんだよ? 暗号は、まだ二つ。後二つはあるんじゃないかな?たぶん、みんなで一つずつ暗号を作って隠したんだよ」

 なるほど。
 それはありうる。

「見つかったぞ!! やっぱりまた、暗号だ」

木根刑事が持ってきたのは、楽譜と、アルファベットが書かれたカード。

 木根刑事は、もはや自分で確認せずに、赤野に暗号を渡す。

「全く意味が分からん!! 早くしてくれ!!」

木根刑事が赤野を急かす。

「ちょっとは自分で考えてよ……て、すぐに分かるじゃないか。こんなの」

「え、なんだよ?」

「これはね、トゥーランドットというオペラの楽譜。誰も寝てはならぬという曲だよ。冷酷な姫君に一目ぼれした王子が、自分の名を当てさせるシーンで使われる曲だよ。」

赤野に言われてネットで調べてみる。

 検索にはすぐにひっかかる。
 トゥーランドットという美貌の姫が、私と結婚したくば、謎に答えよと言い、謎に答えられない男たちが次々と処刑されている中、主人公の王子が、姫に一目ぼれする。
 姫の謎に答えたのに、約束を守りたがらない姫に、今度は王子が姫に謎を出す。
「私の名を当てろ」と王子は姫に言う。姫は、王子の名が分かるまで、誰も寝てはならないと、御触れを出す。そのシーンで使われていた曲らしい。



「ということは、この答えは、王子の名前?」

「そう。CALAFだよ。二つ目のAには、Aの上に点´が付いているAを。」

赤野に言われるままに、俺達は、カードを並べる。

裏には、「いびあじゅいつあしついのせっいこいうぞいうのあなあかあ」なんて意味不明な文字列。

「周作、これ……」

なんとも悲しそうな木根刑事。

「トゥーランドット姫はね、彼の愛情に触れて、心動かされて、「彼の名は愛だ」と歌うんだ。だから、「あ」と「い」を消して読んでみてよ」

あっさり答える赤野。


「びじゅつしつのせっこうぞうのなか」

「美術室の石膏像の中」

俺達は、赤野に言われるままに、文字列を読む。

木根刑事は、慌てて走って行った。

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