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加護
壮羽の帰還
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「本当に、あなたは、ほんの少し傍を離れただけで、どうしてそんな面倒ごとを引き寄せるのでしょう? 少しは、私が帰ってくるまで返事を待つとか、そういう配慮はなさらなかったんですか?」
予想通り壮羽が西寧を叱る。
烏天狗の里から帰ってきて壮羽が西寧に早々に聞かされたのは、九尾の妖狐を側室に迎え入れたという話。しかも相手は、怒りで人間を喰った経歴があるという。
「いや、だって、福寿を犠牲にするわけにはいかないだろう?」
「まあ、お気持ちは分かりますが……」
しかし、稲荷神の加護を得られたのは、上々。
壮羽の兄、悠羽は、朱雀への口添えを約束してくれたが、まだ朱雀の後ろ盾を得られたわけではない。だから、その話を辞退して、どこの加護も得られないよりも、少しでも権威のある者の加護を受けておきたい。
いつ何を明院が仕掛けてくるのか分からない今、稲荷神の加護を受けられるのは有り難い。
「で? 九尾狐の常盤様とは、どのような方なのです?」
「うん。とても強い!」
西寧がにこやかに答える。
強い……?
「妖魔軍の進軍があってな。それに出陣したいと申すので、出陣させてみた。そうしたら、とんでもなく高い妖力で、あっという間に妖魔を喰いまくっていた」
側室という話では無かったしたか? えっと新しい傭兵の聞き間違いか?
「今度、妖力の使い方を教えてくれることになっているんだ」
満面の笑みの西寧。
とにかく仲良くはやっているようで良かった。
側室というよりは、仲の良い友人が増えたというところか……。
「福寿も一緒に、妖力の勉強をすることになっている」
「え、福寿様もですか?」
それは、虎精の王女として大丈夫なのだろうか? 玉蓮を見ていれば、虎精の女性は、妖力に力を入れて学ぶ者は少ないように思えるのだが。
家に入って守るを善しとする妖と思っていたのだが、どうやら西寧はそういうことは気にしない質のようだった。
「福寿が習いたいと言うから、玉蓮も誘ってみたのだが」
「それは、駄目ではないでしょうか?」
正妃としてのプライドもある。側室に教えを乞う。しかも、自分の興味ない妖力の使い方について。それを玉蓮が認める訳がない。
「やはりそう思うか? とんでもなく叱られた」
と、西寧は頭を掻いた。
「しかし、やはり烏天狗の連中は、とんでもなく優秀だな。力上が舌を巻いていたぞ?」
壮羽の連れ帰った烏天狗は二人。兄の悠羽が選んだ精鋭達。武芸だけではなく軍師としてもすぐれた者達。狙い通り、マンネリ化していた青虎軍に一石を投じて良き影響を与えられているようだった。
「良かったです。これで、朱雀様の後ろ盾がもらえれば、青龍様、玄武様への足掛かりも出来るのですが……」
兄は尽力してくれるだろうが、四神獣はどの方も癖が強いと聞く。
「それは、まあ、時間のかかる話だ。こちらとして、最大限の努力をして、それで気に入って貰えなければ、それはそれで新たな策を講じるまでだ」
西寧は、そう言ってのけた。
予想通り壮羽が西寧を叱る。
烏天狗の里から帰ってきて壮羽が西寧に早々に聞かされたのは、九尾の妖狐を側室に迎え入れたという話。しかも相手は、怒りで人間を喰った経歴があるという。
「いや、だって、福寿を犠牲にするわけにはいかないだろう?」
「まあ、お気持ちは分かりますが……」
しかし、稲荷神の加護を得られたのは、上々。
壮羽の兄、悠羽は、朱雀への口添えを約束してくれたが、まだ朱雀の後ろ盾を得られたわけではない。だから、その話を辞退して、どこの加護も得られないよりも、少しでも権威のある者の加護を受けておきたい。
いつ何を明院が仕掛けてくるのか分からない今、稲荷神の加護を受けられるのは有り難い。
「で? 九尾狐の常盤様とは、どのような方なのです?」
「うん。とても強い!」
西寧がにこやかに答える。
強い……?
「妖魔軍の進軍があってな。それに出陣したいと申すので、出陣させてみた。そうしたら、とんでもなく高い妖力で、あっという間に妖魔を喰いまくっていた」
側室という話では無かったしたか? えっと新しい傭兵の聞き間違いか?
「今度、妖力の使い方を教えてくれることになっているんだ」
満面の笑みの西寧。
とにかく仲良くはやっているようで良かった。
側室というよりは、仲の良い友人が増えたというところか……。
「福寿も一緒に、妖力の勉強をすることになっている」
「え、福寿様もですか?」
それは、虎精の王女として大丈夫なのだろうか? 玉蓮を見ていれば、虎精の女性は、妖力に力を入れて学ぶ者は少ないように思えるのだが。
家に入って守るを善しとする妖と思っていたのだが、どうやら西寧はそういうことは気にしない質のようだった。
「福寿が習いたいと言うから、玉蓮も誘ってみたのだが」
「それは、駄目ではないでしょうか?」
正妃としてのプライドもある。側室に教えを乞う。しかも、自分の興味ない妖力の使い方について。それを玉蓮が認める訳がない。
「やはりそう思うか? とんでもなく叱られた」
と、西寧は頭を掻いた。
「しかし、やはり烏天狗の連中は、とんでもなく優秀だな。力上が舌を巻いていたぞ?」
壮羽の連れ帰った烏天狗は二人。兄の悠羽が選んだ精鋭達。武芸だけではなく軍師としてもすぐれた者達。狙い通り、マンネリ化していた青虎軍に一石を投じて良き影響を与えられているようだった。
「良かったです。これで、朱雀様の後ろ盾がもらえれば、青龍様、玄武様への足掛かりも出来るのですが……」
兄は尽力してくれるだろうが、四神獣はどの方も癖が強いと聞く。
「それは、まあ、時間のかかる話だ。こちらとして、最大限の努力をして、それで気に入って貰えなければ、それはそれで新たな策を講じるまでだ」
西寧は、そう言ってのけた。
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