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ダンジョン攻略
ラスボス部屋
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俺が目にした光景は、信じられないものだった。
妹の悠里が、リリーナさんが言っていた槍をラスボスから引き抜こうと四苦八苦している姿。
ラスボスらしき魔物は、槍が動けば痛みがはしるのか、悠里が槍を引っ張るたびに、苦悩の表情を浮かべている。
「我慢しなさい! ボスなんでしょう?? ピーピー泣くな!」
「し、しかし! これは対魔の聖なる槍! それが動けば、並の魔物では消失するところだぞ! もっと、ほら、優し~く、そ~っと、痛くない抜き方はないのか??」
「頑張れ! 悠里殿! そうだ、いっそ渾身の力で、いっきに抜くのは?」
あれは、中ボスか?
山羊ツノのマッチョイケメンが、悠里を応援している。
「お、愚か者!! そんなことをすれば、消失する!」
ムダ毛に貼ったガムテープをはがすようなノリで言い争う悠里達。
ジワジワと剥がすのも、一気に剥がすのも、痛いがどっちがマシだろう……。
て、いやいや、そうじゃない。ここは、異世界のダンジョンだ。
心から叫ぼう!
「なんだこれー!!!」
お約束過ぎるトラップに引っかかって、敵に攫われた悠里。リリーナさんの無敵魔法『(=^ェ^=)』←こんなの。によって、悠里はなんとか無事そうだけど、この光景、ツッコミどころしかない。
てっきり、檻っぽいところにでも閉じ込められて泣いていると思っていたのに、なんだこれ?
悠里がダンジョンのラスボスに刺さった槍を抜こうとしている。
……ラスボス……だよな?
赤い炎のような髪。
中ボスっぽい山羊ツノ男より、ひと回りもふた回りも大きなゴッツイ体躯。
赤い瞳に黒いマント。
うん。絵に描いたようなラスボスだ。
マジで、なんだこれ???
「あ、お兄ちゃん! 手伝ってよ!」
のん気な悠里。
「わぁ! 悠里さん! すごいですね! よく槍を見つけましたね!」
さらにのん気なリリーナさん。
え、今って、攫われた仲間救出のために、ダンジョン最奥でラスボスと中ボスの双方と同時に対決中の緊迫場面ではないの?
どうして、こう……RPG感というか、緊迫感というか、そういう物に欠けてしまうのか。
「悠里! ダメだぞ! 仕事という物は、まずプランを立てて取り掛からないと。やみくもに取り掛かっても、効率的に対処できんぞ!」
親父は、ちょっと黙ってろ。
現代ビジネスマンの仕事心得は、要らんのだ。
こうなったら、頼みはパーティ唯一の無口マジメキャラのゲボルグさん。
彼なら、このカオスな状況を打開して、まともなダンジョン攻略ストーリーに戻してくれるはずだ。
ゲボルグさんの方に俺は視線を向けて驚く。
ゲボルグさん??
「ようやく……ようやく会えた」
ゲボルグさんが、泣いている。
えっと、ゲボルグさんの会いたかったのって誰???
筋肉山羊男? 貼り付け昆虫標本状態のラスボス?
妹の悠里が、リリーナさんが言っていた槍をラスボスから引き抜こうと四苦八苦している姿。
ラスボスらしき魔物は、槍が動けば痛みがはしるのか、悠里が槍を引っ張るたびに、苦悩の表情を浮かべている。
「我慢しなさい! ボスなんでしょう?? ピーピー泣くな!」
「し、しかし! これは対魔の聖なる槍! それが動けば、並の魔物では消失するところだぞ! もっと、ほら、優し~く、そ~っと、痛くない抜き方はないのか??」
「頑張れ! 悠里殿! そうだ、いっそ渾身の力で、いっきに抜くのは?」
あれは、中ボスか?
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「お、愚か者!! そんなことをすれば、消失する!」
ムダ毛に貼ったガムテープをはがすようなノリで言い争う悠里達。
ジワジワと剥がすのも、一気に剥がすのも、痛いがどっちがマシだろう……。
て、いやいや、そうじゃない。ここは、異世界のダンジョンだ。
心から叫ぼう!
「なんだこれー!!!」
お約束過ぎるトラップに引っかかって、敵に攫われた悠里。リリーナさんの無敵魔法『(=^ェ^=)』←こんなの。によって、悠里はなんとか無事そうだけど、この光景、ツッコミどころしかない。
てっきり、檻っぽいところにでも閉じ込められて泣いていると思っていたのに、なんだこれ?
悠里がダンジョンのラスボスに刺さった槍を抜こうとしている。
……ラスボス……だよな?
赤い炎のような髪。
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赤い瞳に黒いマント。
うん。絵に描いたようなラスボスだ。
マジで、なんだこれ???
「あ、お兄ちゃん! 手伝ってよ!」
のん気な悠里。
「わぁ! 悠里さん! すごいですね! よく槍を見つけましたね!」
さらにのん気なリリーナさん。
え、今って、攫われた仲間救出のために、ダンジョン最奥でラスボスと中ボスの双方と同時に対決中の緊迫場面ではないの?
どうして、こう……RPG感というか、緊迫感というか、そういう物に欠けてしまうのか。
「悠里! ダメだぞ! 仕事という物は、まずプランを立てて取り掛からないと。やみくもに取り掛かっても、効率的に対処できんぞ!」
親父は、ちょっと黙ってろ。
現代ビジネスマンの仕事心得は、要らんのだ。
こうなったら、頼みはパーティ唯一の無口マジメキャラのゲボルグさん。
彼なら、このカオスな状況を打開して、まともなダンジョン攻略ストーリーに戻してくれるはずだ。
ゲボルグさんの方に俺は視線を向けて驚く。
ゲボルグさん??
「ようやく……ようやく会えた」
ゲボルグさんが、泣いている。
えっと、ゲボルグさんの会いたかったのって誰???
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