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ダンジョン攻略
エルフあるある
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ちょいちょい親父の発言に、現実世界に引き戻されながらも、俺たちはダンジョンを進む。
ここは、武蔵小杉ではない。異世界のダンジョン!! ダンジョンなんだ!!
俺は、自分に言い聞かせるようにぶつくさと唱えながら歩く。
「こんな本格的なダンジョン、本当に久しぶりなのでワクワクします」
リリーナさんは、始終楽しそうだ。
外回りの営業マンのような親父。あまり事態を理解していなさそうな悠里。そして、鼻歌まじりのリリーナさん。四天王の一人のダンジョンを攻略中の一行とは、とても思えない。
あ、いやいや。
獣人ゲボルクさんは、真面目そうだ。
一人で周囲を警戒し、皆の安全を考えて行動している。
一番弱そうな悠里の隣に立って、それとなく援護してくれているのは有難い。
おそらく、このパーティの一番の常識人は、ゲボルクさんだろう。
「リリーナさんは、何歳くらいなの?」
「私ですか~。 数えたこともないです~」
おお! 悠里、それは気になっていたところだ。通常、ファンタジー世界では、エルフとは長生きと決まっている。このマッサンランドという、一歩間違えれば健康ランドと名前が被りそうな名前の異世界でも、その辺はきちんと、ファンタジーのお約束を踏襲しているはずだ。
だが、残念ながらリリーナさんは、自分の年齢は数えもしていないようだ。長い長い年月を生きるエルフなら当然なのか?
「何かヒント……誰か向こうの世界の有名人と組んでたらかとかは?」
「有名人? 誰が向こうの世界で有名人なのかが分かりませんね」
「そうねぇ。異様に強かったりとか、そういう人がいれば、有名人かも……」
悠里の言葉にリリーナさんは考え込む。
誰がいたか思い出しているのだろう。
「えっとぁ、ずいぶん前に『ヨシちゃん』という方が来て、パーティを組みました。部下の『ベンさん』が物凄く大切にしていました。お兄ちゃんと喧嘩して逃げている内に異世界に迷いこんだみたいですが……強かったですよ。あとは、『のぶちゃん』も強かったです。短気でちょっと乱暴なところがありましたね! ああ~そうですね……『せいちゃん』も向こうの世界の人なのに、魔法が使えて! ビックリしました!」
リリーナさんはフルネームでは覚えていないらしい。悠里は、それじゃあ誰のことか分からないと残念がっている。
待て、兄と喧嘩して、腹心の部下が『ベン』のつく『ヨシちゃん』。まさかの『源義経』?
じゃあ、短気で乱暴者の「のぶちゃん』は、織田信長??
ということは、向こうの世界の人間なのに魔法が使える『せいちゃん』は、安倍晴明???
いや、まさかね。
しかし、エルフって数百年とか数千年とか生きるんだろう?? ひょっとしたから、寿命という概念すらないかも。病気や事故、怪我をしなければ、『死』という物は無いのかも。
あり得る。いたなぁ、向こうの世界にもそういう生き物。ハダカデバネズミとか?
エルフをハダカデバネズミと一緒にするのは、ファンタジー倫理的に問題アリかもしれないが。
ここは、武蔵小杉ではない。異世界のダンジョン!! ダンジョンなんだ!!
俺は、自分に言い聞かせるようにぶつくさと唱えながら歩く。
「こんな本格的なダンジョン、本当に久しぶりなのでワクワクします」
リリーナさんは、始終楽しそうだ。
外回りの営業マンのような親父。あまり事態を理解していなさそうな悠里。そして、鼻歌まじりのリリーナさん。四天王の一人のダンジョンを攻略中の一行とは、とても思えない。
あ、いやいや。
獣人ゲボルクさんは、真面目そうだ。
一人で周囲を警戒し、皆の安全を考えて行動している。
一番弱そうな悠里の隣に立って、それとなく援護してくれているのは有難い。
おそらく、このパーティの一番の常識人は、ゲボルクさんだろう。
「リリーナさんは、何歳くらいなの?」
「私ですか~。 数えたこともないです~」
おお! 悠里、それは気になっていたところだ。通常、ファンタジー世界では、エルフとは長生きと決まっている。このマッサンランドという、一歩間違えれば健康ランドと名前が被りそうな名前の異世界でも、その辺はきちんと、ファンタジーのお約束を踏襲しているはずだ。
だが、残念ながらリリーナさんは、自分の年齢は数えもしていないようだ。長い長い年月を生きるエルフなら当然なのか?
「何かヒント……誰か向こうの世界の有名人と組んでたらかとかは?」
「有名人? 誰が向こうの世界で有名人なのかが分かりませんね」
「そうねぇ。異様に強かったりとか、そういう人がいれば、有名人かも……」
悠里の言葉にリリーナさんは考え込む。
誰がいたか思い出しているのだろう。
「えっとぁ、ずいぶん前に『ヨシちゃん』という方が来て、パーティを組みました。部下の『ベンさん』が物凄く大切にしていました。お兄ちゃんと喧嘩して逃げている内に異世界に迷いこんだみたいですが……強かったですよ。あとは、『のぶちゃん』も強かったです。短気でちょっと乱暴なところがありましたね! ああ~そうですね……『せいちゃん』も向こうの世界の人なのに、魔法が使えて! ビックリしました!」
リリーナさんはフルネームでは覚えていないらしい。悠里は、それじゃあ誰のことか分からないと残念がっている。
待て、兄と喧嘩して、腹心の部下が『ベン』のつく『ヨシちゃん』。まさかの『源義経』?
じゃあ、短気で乱暴者の「のぶちゃん』は、織田信長??
ということは、向こうの世界の人間なのに魔法が使える『せいちゃん』は、安倍晴明???
いや、まさかね。
しかし、エルフって数百年とか数千年とか生きるんだろう?? ひょっとしたから、寿命という概念すらないかも。病気や事故、怪我をしなければ、『死』という物は無いのかも。
あり得る。いたなぁ、向こうの世界にもそういう生き物。ハダカデバネズミとか?
エルフをハダカデバネズミと一緒にするのは、ファンタジー倫理的に問題アリかもしれないが。
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