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ダンジョン攻略
作戦会議
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朝起きれば、リリーナさんもゲボルグさんも、すでに旅支度を済ませた後だった。
「ほらほら、顔洗って朝ご飯食べて下さい♪」
リリーナさんが、カバンの中から水差しと洗面器を出してくれる。
魔法の水差しは、枯れることなく水が出てくる、旅人の必須アイテムらしい。
なるほど。ファンタジー世界の勇者たちが、どんな場所に行っても生きていけるのは、こういった類の魔法のアイテムをそれぞれ持っているからだろう。
待て。
朝ご飯?
昨日の夕ご飯の悪夢がよみがえる。
また、リリーナさんの超絶料理が朝食に出たならば、俺たちは朝からかなりのHPを削られる。
自分のとんでも料理でMPを回復したリリーナさんだけが元気な状況になってしまう。
「残念ながら、朝起きたら、ゲボルグが既に用意してくれていたので、私が腕を振るえませんでしたが……」
はぁ……。と、ため息をつくリリーナさん。
ナイスだ! ゲボルグさん!!
昨日の夕食で分かっている。ゲボルグさんは、料理上手だ。
ハーブを利かせたドラゴンの肉の燻製は、中がローズ色の絶妙な火加減で、岩塩の塩味が肉のうまみを引き立ててくれる絶品だった。
「今朝は、ゲボルグの作ったスープと、街で買ったパンだけで我慢してくれますか?」
「もちろんよ! 気にしないで、リリーナさん!」
嬉しそうな悠里。昨日の料理があまりにもショックだったのだろう。
俺たちは、ゲボルグさんが、昨日の燻製肉の残りと街で仕入れた野菜で作ってくれたスープを飲みながら今日の行動について話し合う。
「今日は、どこまでいけるかな? リリーナ」
「隆さん。この城は、かつて魔王を倒した勇者が攻略して、マップが出来ています。その後、この城の守護者である四天王は封印されたままでしたから、あまり当時と変わらない状態のはずです。マップもギルドでちゃんともらってきました」
そう言って、リリーナさんが、地図を広げる。
城の内部の様子に赤い線が引かれているのは、勇者が通ったルートということだろう。
いよいよ冒険らしくなってきた。
「ただですね。勇者が見つけなかったトラップというものは、やはりあるでしょうから、余計な物には触れないであるく方が良いでしょう。何か思わぬ仕掛けがあります」
まあ、そうだろうな。
勇者は、この城の研究が目的ではなかったはずだ。赤い線のルートを通って、ボスにたどり着くまでが仕事。そりゃ、この赤い線を通らなければ、どんな仕掛けがあるかは分からないだろう。
ダンジョンには、トラップがつきものだ。
「ほらほら、顔洗って朝ご飯食べて下さい♪」
リリーナさんが、カバンの中から水差しと洗面器を出してくれる。
魔法の水差しは、枯れることなく水が出てくる、旅人の必須アイテムらしい。
なるほど。ファンタジー世界の勇者たちが、どんな場所に行っても生きていけるのは、こういった類の魔法のアイテムをそれぞれ持っているからだろう。
待て。
朝ご飯?
昨日の夕ご飯の悪夢がよみがえる。
また、リリーナさんの超絶料理が朝食に出たならば、俺たちは朝からかなりのHPを削られる。
自分のとんでも料理でMPを回復したリリーナさんだけが元気な状況になってしまう。
「残念ながら、朝起きたら、ゲボルグが既に用意してくれていたので、私が腕を振るえませんでしたが……」
はぁ……。と、ため息をつくリリーナさん。
ナイスだ! ゲボルグさん!!
昨日の夕食で分かっている。ゲボルグさんは、料理上手だ。
ハーブを利かせたドラゴンの肉の燻製は、中がローズ色の絶妙な火加減で、岩塩の塩味が肉のうまみを引き立ててくれる絶品だった。
「今朝は、ゲボルグの作ったスープと、街で買ったパンだけで我慢してくれますか?」
「もちろんよ! 気にしないで、リリーナさん!」
嬉しそうな悠里。昨日の料理があまりにもショックだったのだろう。
俺たちは、ゲボルグさんが、昨日の燻製肉の残りと街で仕入れた野菜で作ってくれたスープを飲みながら今日の行動について話し合う。
「今日は、どこまでいけるかな? リリーナ」
「隆さん。この城は、かつて魔王を倒した勇者が攻略して、マップが出来ています。その後、この城の守護者である四天王は封印されたままでしたから、あまり当時と変わらない状態のはずです。マップもギルドでちゃんともらってきました」
そう言って、リリーナさんが、地図を広げる。
城の内部の様子に赤い線が引かれているのは、勇者が通ったルートということだろう。
いよいよ冒険らしくなってきた。
「ただですね。勇者が見つけなかったトラップというものは、やはりあるでしょうから、余計な物には触れないであるく方が良いでしょう。何か思わぬ仕掛けがあります」
まあ、そうだろうな。
勇者は、この城の研究が目的ではなかったはずだ。赤い線のルートを通って、ボスにたどり着くまでが仕事。そりゃ、この赤い線を通らなければ、どんな仕掛けがあるかは分からないだろう。
ダンジョンには、トラップがつきものだ。
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