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こたつと天板
コタツの逃走
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菜々子は突然ガタガタと窓の外へ飛び出していった動物達に驚いて飛び起きる。
いつのまにかスマホ片手に寝入ってしまっていた。
「な、何? なんで私の部屋にこんなに皆集まっているの??」
烏がいたことは覚えている。
それにアンジュと天板。
フェラーリの姿も見える。
「あれ? コタツちゃんは、流石にいないのかな?」
スマホを見れば、着信履歴がすごい。
メールには、「コタツが居ない!」という杉下君の言葉と「フェラーリもなの! どうしよう」という二階堂さんの言葉。
あー。これは、ひょっとして……大事になっている?
菜々子は、寝ぼけた頭で、外に飛び出していった動物達を探す。
「た、大変だ……。皆、迷子になっちゃうかも」
ようやく事態を理解し始めた菜々子は、杉下君と二階堂さんに連絡を入れた。「今、私の部屋の窓からフェラーリとアンジュと天板とあの烏が出て行ったの。ひょっとしたら、コタツもいたかもしれない」。
別荘地、外の灯りはほとんどない。
山の中腹にあり森が近くて小川がサラサラ流れているような場所。
テン、タヌキ、アナグマ、フクロウ、トビ、野ネズミ。近くに住んでいる動物は多い。
「烏って夜目も効くのね!」
暗闇を軽快に飛ぶクロウにアンジュが感心する。
「そんなこと言っている場合じゃねえだろうが! 早くしねぇとマジやべぇんだ!」
まずい。コタツを早く捕まえなければ、喰われてしまう。クロウは、空からコタツを探す。
「クロウ殿! コタツ殿の匂いは右手前方から!」
ヒクヒクと鼻を利かせてフェラーリがクロウに支持する。
月の光の中クロウが空から見渡せば、キジトラの子猫の姿がフェラーリの指示した方角に見える。
「いた! あいつ足速やいな」
下り坂を転がるように走るコタツ。
まずいな。そっちは、小川がある。誤って落ちてしまえば溺れてしまうかもしれない。
やばいな……。
焦るクロウの上を音もなくスゥッと何かの影が通り過ぎていく。
白い翼は、月影の中で柔らかく輝いている。
フクロウだ。
野ネズミなどを喰う肉食の鳥。その翼は音もなく速く飛ぶことに長けている。天性のハンター。
コタツをフクロウが狙っているんじゃ。
クロウの背筋が凍った。
「急がねば!!」
天板がクロウを追い越すフクロウに気づいて叫ぶ。
「フェラーリ! あれ!」
アンジュが気づいたのは、荷物を運ぶための台車。
アンジュの意図に気づいたフェラーリが、アンジュと天板を台車に乗せて、台車を後足で蹴りながらスピードとあげる。
「下り坂だから、走るよりも速くなるは……きゃあああ!」
夢中で後先考えずに脳筋フェラーリが漕いだ台車は、急な下り坂でさらに勢いを増して走る。
いつのまにかスマホ片手に寝入ってしまっていた。
「な、何? なんで私の部屋にこんなに皆集まっているの??」
烏がいたことは覚えている。
それにアンジュと天板。
フェラーリの姿も見える。
「あれ? コタツちゃんは、流石にいないのかな?」
スマホを見れば、着信履歴がすごい。
メールには、「コタツが居ない!」という杉下君の言葉と「フェラーリもなの! どうしよう」という二階堂さんの言葉。
あー。これは、ひょっとして……大事になっている?
菜々子は、寝ぼけた頭で、外に飛び出していった動物達を探す。
「た、大変だ……。皆、迷子になっちゃうかも」
ようやく事態を理解し始めた菜々子は、杉下君と二階堂さんに連絡を入れた。「今、私の部屋の窓からフェラーリとアンジュと天板とあの烏が出て行ったの。ひょっとしたら、コタツもいたかもしれない」。
別荘地、外の灯りはほとんどない。
山の中腹にあり森が近くて小川がサラサラ流れているような場所。
テン、タヌキ、アナグマ、フクロウ、トビ、野ネズミ。近くに住んでいる動物は多い。
「烏って夜目も効くのね!」
暗闇を軽快に飛ぶクロウにアンジュが感心する。
「そんなこと言っている場合じゃねえだろうが! 早くしねぇとマジやべぇんだ!」
まずい。コタツを早く捕まえなければ、喰われてしまう。クロウは、空からコタツを探す。
「クロウ殿! コタツ殿の匂いは右手前方から!」
ヒクヒクと鼻を利かせてフェラーリがクロウに支持する。
月の光の中クロウが空から見渡せば、キジトラの子猫の姿がフェラーリの指示した方角に見える。
「いた! あいつ足速やいな」
下り坂を転がるように走るコタツ。
まずいな。そっちは、小川がある。誤って落ちてしまえば溺れてしまうかもしれない。
やばいな……。
焦るクロウの上を音もなくスゥッと何かの影が通り過ぎていく。
白い翼は、月影の中で柔らかく輝いている。
フクロウだ。
野ネズミなどを喰う肉食の鳥。その翼は音もなく速く飛ぶことに長けている。天性のハンター。
コタツをフクロウが狙っているんじゃ。
クロウの背筋が凍った。
「急がねば!!」
天板がクロウを追い越すフクロウに気づいて叫ぶ。
「フェラーリ! あれ!」
アンジュが気づいたのは、荷物を運ぶための台車。
アンジュの意図に気づいたフェラーリが、アンジュと天板を台車に乗せて、台車を後足で蹴りながらスピードとあげる。
「下り坂だから、走るよりも速くなるは……きゃあああ!」
夢中で後先考えずに脳筋フェラーリが漕いだ台車は、急な下り坂でさらに勢いを増して走る。
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