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アンジュ様の言う通り
アンジュ様のイタズラ
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「わぁ! 杉下君、猫好きなの? 私も猫大好き!」
二階堂さんが、猫と聞いて喜ぶ杉下君の文にすかさず返信を送ってくる。
二階堂さんは、仕事を選ばないことで有名なあのりんご数個分の体重の猫キャラ画像も送ってくる。
ああ、違う。違うのだよ、二階堂さん。
杉下君は、生の猫が好きなだけで、猫キャラなら何でも好きなわけではない。
そりゃ、嫌いではないだろうが、猫キャラを見て全部を喜ぶわけではないのだ。
「砂ネコ可愛いよね! 飼いたい!」
絶妙にズレた猫好きアピを二階堂さんが繰り広げる。ダメだよ、二階堂さん。
砂ネコパイセンは、野生の砂漠の天使。おおよそ一般の人間ごときが飼って良い存在ではない。
天使様は気高く懐くなんて期待出来ないし、飼いたいという欲望のために乱獲なんてもっての外の超越した存在。まさに人が気軽に触れてはいけない大天使、セラフィム様なのだ。
「そう? 可愛いけれど、飼うのは駄目でしょ」
杉下君から冷めた文が送られてくる。
どうなるのだろう。
固唾を飲んで見守っていると、さすがは陽キャで頭の良い二階堂さん。
「そうね。飼うのは諦めるわ」
二階堂さんが空気を読んだ返し。
さすがだ。
「とにかく、明日からも頑張って調べてみるね!」
怒涛の送受信は、そこでお開きとなった。
これは……思っていた状況とは違う?
てっきり、杉下君と二階堂さんは、すでに互いに好意を持っているのだと思っていたが、二階堂さんが一方的に杉下君に好意を持っている段階かもしれない。
なぁんだ。良かった!
推しの幸せを願う私としては、推しの恋路を邪魔できないが、この段階なら、まだ大丈夫。
そうは言っても、その完璧装備、いくら課金しましたか? と聞きたくなるくらいにハイスペ女子の二階堂さん。初期装備の無課金激弱の私ごときが勝てる相手ではないのだが。
「にゃあ」
机の上でアンジュが一声。
アンジュのお尻の下には、園芸係でもらった資料。
「ちょっと! アンジュ!」
資料を取り返そうと引っ張るが、ぽっちゃり女子のアンジュの下の資料はびくともしない。
ぐぬぬぬ!
ぬおおお!
大事な資料だ。取り戻さなきゃ!
必死になる私の姿が面白いのか、アンジュは資料の上でくつろぎ始める。
「アンジュ! お願い! 返して!」
革命どこいった。
私は、アンジュに頼み込む。
聡明なアンジュ王女は、下々の願いを聞き届けられて、ゆっくりと横に体をずらして下さる。
「や、やっと取り戻した……。もう! 資料ぐちゃぐちゃだわ!」
私は、資料を確認する。
しわくちゃの資料。よく見れば、アンジュの爪で穴まで開いている。
アンジュが穴を開けたのは、先生が撮影した荒らされた花壇の写真。
花が折れ、土が掘り返されている。
……何だろ? 小さな物が落ちている。
赤や白の花々のした。ほんの少しだけ見える物がある。
これだ。
私にもできること!
明日、早く起きて確認しに行こう!
二階堂さんが、猫と聞いて喜ぶ杉下君の文にすかさず返信を送ってくる。
二階堂さんは、仕事を選ばないことで有名なあのりんご数個分の体重の猫キャラ画像も送ってくる。
ああ、違う。違うのだよ、二階堂さん。
杉下君は、生の猫が好きなだけで、猫キャラなら何でも好きなわけではない。
そりゃ、嫌いではないだろうが、猫キャラを見て全部を喜ぶわけではないのだ。
「砂ネコ可愛いよね! 飼いたい!」
絶妙にズレた猫好きアピを二階堂さんが繰り広げる。ダメだよ、二階堂さん。
砂ネコパイセンは、野生の砂漠の天使。おおよそ一般の人間ごときが飼って良い存在ではない。
天使様は気高く懐くなんて期待出来ないし、飼いたいという欲望のために乱獲なんてもっての外の超越した存在。まさに人が気軽に触れてはいけない大天使、セラフィム様なのだ。
「そう? 可愛いけれど、飼うのは駄目でしょ」
杉下君から冷めた文が送られてくる。
どうなるのだろう。
固唾を飲んで見守っていると、さすがは陽キャで頭の良い二階堂さん。
「そうね。飼うのは諦めるわ」
二階堂さんが空気を読んだ返し。
さすがだ。
「とにかく、明日からも頑張って調べてみるね!」
怒涛の送受信は、そこでお開きとなった。
これは……思っていた状況とは違う?
てっきり、杉下君と二階堂さんは、すでに互いに好意を持っているのだと思っていたが、二階堂さんが一方的に杉下君に好意を持っている段階かもしれない。
なぁんだ。良かった!
推しの幸せを願う私としては、推しの恋路を邪魔できないが、この段階なら、まだ大丈夫。
そうは言っても、その完璧装備、いくら課金しましたか? と聞きたくなるくらいにハイスペ女子の二階堂さん。初期装備の無課金激弱の私ごときが勝てる相手ではないのだが。
「にゃあ」
机の上でアンジュが一声。
アンジュのお尻の下には、園芸係でもらった資料。
「ちょっと! アンジュ!」
資料を取り返そうと引っ張るが、ぽっちゃり女子のアンジュの下の資料はびくともしない。
ぐぬぬぬ!
ぬおおお!
大事な資料だ。取り戻さなきゃ!
必死になる私の姿が面白いのか、アンジュは資料の上でくつろぎ始める。
「アンジュ! お願い! 返して!」
革命どこいった。
私は、アンジュに頼み込む。
聡明なアンジュ王女は、下々の願いを聞き届けられて、ゆっくりと横に体をずらして下さる。
「や、やっと取り戻した……。もう! 資料ぐちゃぐちゃだわ!」
私は、資料を確認する。
しわくちゃの資料。よく見れば、アンジュの爪で穴まで開いている。
アンジュが穴を開けたのは、先生が撮影した荒らされた花壇の写真。
花が折れ、土が掘り返されている。
……何だろ? 小さな物が落ちている。
赤や白の花々のした。ほんの少しだけ見える物がある。
これだ。
私にもできること!
明日、早く起きて確認しに行こう!
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