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2 若草狐
幻術
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黄は、なんと声をかけて良いのか悩む。
もう何年も前のこととはいえ、佐次は、親父を兄が殺した場面を見てしまったのだから、そうとう心に傷を負ったのではないだろうか。
「佐次さん、あの……お父様の亡くなられたこと……」
黄が言いよどむ。
佐次は、優しく黄の頭を撫でてくれる。
「こうやって黄様と一緒に居れば、若草を思い出します。若草には、後悔ばかりが残ります。あの時もそうでした」
佐次は、苦悶の表情を浮かべて物語った。
ある朝、妖の気配に佐次が目を覚ませば、隣に若草がいた。若草は、佐次の布団の横にコロンと寝転がり、佐次の顔を見ている。
「おはよう、佐次」
ニコリと若草が笑う。金の髪は、朝日を浴びてキラキラと輝く。
「若草、お前……。勝手に人の寝顔見るな」
佐次は、ムッとして若草に背中を向けてしまう。
最悪の目覚め。
社に張った結界を通り抜けるような妖が、自分の寝首を掻きに来たのかと思った。
肝は冷えたし、まだ心臓がバクバクと跳ねている。
「そんな風に言わなくてもいいだろう?」
若草が布団に潜り込んで背中にくっついてくる。
「馬鹿。若草。お前、そんな風に人の布団に潜り込むなんて、何を考えているんだ」
グイッと押されて、若草は、布団の外に転がり出てしまう。
「佐次……。冷たい」
佐次に叱られて、若草はシュンとする。
懐いている。妖狐だから、犬みたいな感覚なのだろうか?
とにかく、この人面瘡が体に憑りついた状態で、若草になるべく触れたくない。
昨日の夜も、騒ぎ出した人面瘡は、最悪だった。
「佐次、女を抱け。女だ。お前が抱いてくれねば、味わえん」
そんな下品極まりないことを言って、人面瘡は笑った。
佐次が女に触れれば、それは、人面瘡とも共有することになるらしい。
そのことは、若草にも言っている。なのに、どうしてこうくっついてくるのか。
「人面瘡が、取れる方法が早く見つかれば良いのに」
若草が、佐次の寝床の周りに散らばった書物を片付けながら、そう言う。
探し出して、もう百年近く。まだ、見つからない。人間の寿命はとうに超えているというのに、人面瘡に憑かれた時のままの姿の佐次。
「全くだ。早く見つけて、妖ももう見ないですむ、ただの人間に戻りたい」
ぼやく佐次の言葉に、若草の肩が震える。
「佐次は、妖が嫌いだものな。そうだな、人間に戻ったら、人間の嫁をもらえ」
少し寂し気な笑顔の若草の意味が、佐次にはこの時、分からなかった。
「ああ。とびきり綺麗な嫁でも探そう」
若草を失った今なら、なんと不躾な言葉を返したのだろうと分かる言葉を、佐次はこの時に返した。
若草は、この時以降。佐次の元に帰らなくなった。
佐次の元に次に訪れたのは、稲荷神に頼まれたのだという、若草とは別の金の妖狐。
八尾のその妖狐は、黄金と名乗った。手には赤子を抱いていた。
黄金は、陰気そうな男を連れていた。男は、自分は河童なのだと語った。
「若草は?」
佐次は、若草の身を案じてそう聞いた。
怪我や病で苦しんでいるのかと思った。
「若草は、子を産んだ」
黄金は淡々とそういった。
心を拳でぶん殴られたような、重い衝撃が佐次に走る。
「若草が? こ、恋人でもいたのか? 妖なのに」
「そんなことを言ってやるな。佐次」
黄金が、ムッとする。
「妖だって恋はする。だが、若草の子は、恋人の子ではない。襲われた」
「誰に……」
心がざわめく。
蜘蛛女の時のことが、佐次の頭をよぎる。
まさか……。
「子の親は、串本佐門という人間だ。人面瘡を持ち、半ば妖のような奴だ」
黄金の言葉は、佐次を奈落に突き落とした。
黄金の横の河童が泣く泣く語るのは、幻術で騙された若草の事だった。
若草が来る前に佐門に騙された河童は、若草が沼に来た時に、佐門の元に若草を導いてしまった。
「どうして、そんな……。」
若草は、どうしてそんなに簡単に佐門にだまされていたのか。
「佐門は、あなた、佐次様に幻術で化けていました」
河童は泣く。
「若草は、その時のことを、俺に話してくれた」
黄金が、若草に起こったことを語った。
佐次の薬を得るために、若草狐は道なき道を走って河童の住む沼へ走る。
もう何度この道を行ったか分からないが、道は幻術で毎回変わる。妖狐といえども、さほど妖力の高くない若草にとっては辛く難儀な道。
三日ほどかかって沼に着けば、若草は疲れて沼のふちに腰を下ろす。
「さて、これから泳いで河童を探さなければ。」
深く広い沼を若草は見つめる。
どうしても佐次が気になって手助けをしているが、妖狐仲間からは、一人の人間に肩入れしすぎるのは危険だと警告されている。
妖と人間。
しっかりとした境界を引いて棲み分けるべきであり、妖の存在は、人間には忘れられるくらいの方は、世の理は上手くいく。
そのために、妖狐は、他の妖を取り締まり、警戒する。なのに妖狐がそれでは、示しがつかないと、叱られてしまった。
でも、佐次に会いたいし、佐次と一緒にいたい。
自分でも、どうしようもなく佐次の行く末が気になる。だから、河童の薬を届けるのを理由にして、佐次に会いに行っている。
「さて、いつまでもここでこうしていても仕方ない。河童を探さねば」
若草は重い腰をあげて、沼に向かう。
「若草」
呼ばれて振り向けば、佐次の姿。佐次の横には、河童が立っている。
「佐次? どうしてここに?」
河童を探しに沼に入る手間は無くなったのは嬉しいが、佐次がここへ来る訳が分からない。
「いいんだ。若草。もう薬はいらない」
佐次が笑う。
「どうして?」
駆けよれば、佐次が若草の頬に触れてくる。
「佐次?」
そんな風に触れたことなんて、今までなかったのに。
「若草。ほら」
佐次が笑う。笑って見せた腕には、人面瘡がない。
「人面瘡を消せたの?」
今までその方法が分からなくて苦しんでいたのに。
若草は、嬉しさで涙がこぼれてくる。
「良かった。これで人間に戻れるんだ。もう、大嫌いな妖と向き合わなくてもいいんだよ」
ハラハラと泣き笑う若草に佐次がキスをする。
「佐次?」
佐次に抱きしめられた若草は、とまどう。
佐次は、人間の嫁を探すと言っていた。
「若草。好きだ」
佐次にそう言われて、若草がそれを嬉しく思わない訳がなかった。
若草は、そのまま佐門に連れ去られてしまった。
「連れ去られた直後の詳しい話は聞いてくれるな。佐門の妖魔の国の家から、命からがら逃げてきた若草は、妖狐の里で胎の子を育てた。しかし、な。命からがら逃げて来た身だ。若草の身は出産に耐えられなかった」
だから、だから佐次の所には、来なかったのか……。
佐次の心に、最後に見た若草の笑顔が浮かぶ。どうして、もっと優しい言葉をかけてやらなかったのか。どうしては、虚しく後悔ばかりを振り積もらせる。
「では、その連れている子は……」
「ああ、若草の子だ」
これが、佐門と若草の子……。静かに眠る子は、確かに若草に似ている。
「若草の、願いだったから。子どもをお前に見せて、自分の最期を伝えるようにと。言葉も預かっている。『ごめん、佐次』だそうだ」
黄金は、
「用件はそれだけだ。子は、妖狐が育てる」
そう言って、河童と子どもを連れて足早に去ってしまった。
若草を失って、佐次の心に浮かんだのは、佐門への怒り。
佐門への復讐だけだった。
もう何年も前のこととはいえ、佐次は、親父を兄が殺した場面を見てしまったのだから、そうとう心に傷を負ったのではないだろうか。
「佐次さん、あの……お父様の亡くなられたこと……」
黄が言いよどむ。
佐次は、優しく黄の頭を撫でてくれる。
「こうやって黄様と一緒に居れば、若草を思い出します。若草には、後悔ばかりが残ります。あの時もそうでした」
佐次は、苦悶の表情を浮かべて物語った。
ある朝、妖の気配に佐次が目を覚ませば、隣に若草がいた。若草は、佐次の布団の横にコロンと寝転がり、佐次の顔を見ている。
「おはよう、佐次」
ニコリと若草が笑う。金の髪は、朝日を浴びてキラキラと輝く。
「若草、お前……。勝手に人の寝顔見るな」
佐次は、ムッとして若草に背中を向けてしまう。
最悪の目覚め。
社に張った結界を通り抜けるような妖が、自分の寝首を掻きに来たのかと思った。
肝は冷えたし、まだ心臓がバクバクと跳ねている。
「そんな風に言わなくてもいいだろう?」
若草が布団に潜り込んで背中にくっついてくる。
「馬鹿。若草。お前、そんな風に人の布団に潜り込むなんて、何を考えているんだ」
グイッと押されて、若草は、布団の外に転がり出てしまう。
「佐次……。冷たい」
佐次に叱られて、若草はシュンとする。
懐いている。妖狐だから、犬みたいな感覚なのだろうか?
とにかく、この人面瘡が体に憑りついた状態で、若草になるべく触れたくない。
昨日の夜も、騒ぎ出した人面瘡は、最悪だった。
「佐次、女を抱け。女だ。お前が抱いてくれねば、味わえん」
そんな下品極まりないことを言って、人面瘡は笑った。
佐次が女に触れれば、それは、人面瘡とも共有することになるらしい。
そのことは、若草にも言っている。なのに、どうしてこうくっついてくるのか。
「人面瘡が、取れる方法が早く見つかれば良いのに」
若草が、佐次の寝床の周りに散らばった書物を片付けながら、そう言う。
探し出して、もう百年近く。まだ、見つからない。人間の寿命はとうに超えているというのに、人面瘡に憑かれた時のままの姿の佐次。
「全くだ。早く見つけて、妖ももう見ないですむ、ただの人間に戻りたい」
ぼやく佐次の言葉に、若草の肩が震える。
「佐次は、妖が嫌いだものな。そうだな、人間に戻ったら、人間の嫁をもらえ」
少し寂し気な笑顔の若草の意味が、佐次にはこの時、分からなかった。
「ああ。とびきり綺麗な嫁でも探そう」
若草を失った今なら、なんと不躾な言葉を返したのだろうと分かる言葉を、佐次はこの時に返した。
若草は、この時以降。佐次の元に帰らなくなった。
佐次の元に次に訪れたのは、稲荷神に頼まれたのだという、若草とは別の金の妖狐。
八尾のその妖狐は、黄金と名乗った。手には赤子を抱いていた。
黄金は、陰気そうな男を連れていた。男は、自分は河童なのだと語った。
「若草は?」
佐次は、若草の身を案じてそう聞いた。
怪我や病で苦しんでいるのかと思った。
「若草は、子を産んだ」
黄金は淡々とそういった。
心を拳でぶん殴られたような、重い衝撃が佐次に走る。
「若草が? こ、恋人でもいたのか? 妖なのに」
「そんなことを言ってやるな。佐次」
黄金が、ムッとする。
「妖だって恋はする。だが、若草の子は、恋人の子ではない。襲われた」
「誰に……」
心がざわめく。
蜘蛛女の時のことが、佐次の頭をよぎる。
まさか……。
「子の親は、串本佐門という人間だ。人面瘡を持ち、半ば妖のような奴だ」
黄金の言葉は、佐次を奈落に突き落とした。
黄金の横の河童が泣く泣く語るのは、幻術で騙された若草の事だった。
若草が来る前に佐門に騙された河童は、若草が沼に来た時に、佐門の元に若草を導いてしまった。
「どうして、そんな……。」
若草は、どうしてそんなに簡単に佐門にだまされていたのか。
「佐門は、あなた、佐次様に幻術で化けていました」
河童は泣く。
「若草は、その時のことを、俺に話してくれた」
黄金が、若草に起こったことを語った。
佐次の薬を得るために、若草狐は道なき道を走って河童の住む沼へ走る。
もう何度この道を行ったか分からないが、道は幻術で毎回変わる。妖狐といえども、さほど妖力の高くない若草にとっては辛く難儀な道。
三日ほどかかって沼に着けば、若草は疲れて沼のふちに腰を下ろす。
「さて、これから泳いで河童を探さなければ。」
深く広い沼を若草は見つめる。
どうしても佐次が気になって手助けをしているが、妖狐仲間からは、一人の人間に肩入れしすぎるのは危険だと警告されている。
妖と人間。
しっかりとした境界を引いて棲み分けるべきであり、妖の存在は、人間には忘れられるくらいの方は、世の理は上手くいく。
そのために、妖狐は、他の妖を取り締まり、警戒する。なのに妖狐がそれでは、示しがつかないと、叱られてしまった。
でも、佐次に会いたいし、佐次と一緒にいたい。
自分でも、どうしようもなく佐次の行く末が気になる。だから、河童の薬を届けるのを理由にして、佐次に会いに行っている。
「さて、いつまでもここでこうしていても仕方ない。河童を探さねば」
若草は重い腰をあげて、沼に向かう。
「若草」
呼ばれて振り向けば、佐次の姿。佐次の横には、河童が立っている。
「佐次? どうしてここに?」
河童を探しに沼に入る手間は無くなったのは嬉しいが、佐次がここへ来る訳が分からない。
「いいんだ。若草。もう薬はいらない」
佐次が笑う。
「どうして?」
駆けよれば、佐次が若草の頬に触れてくる。
「佐次?」
そんな風に触れたことなんて、今までなかったのに。
「若草。ほら」
佐次が笑う。笑って見せた腕には、人面瘡がない。
「人面瘡を消せたの?」
今までその方法が分からなくて苦しんでいたのに。
若草は、嬉しさで涙がこぼれてくる。
「良かった。これで人間に戻れるんだ。もう、大嫌いな妖と向き合わなくてもいいんだよ」
ハラハラと泣き笑う若草に佐次がキスをする。
「佐次?」
佐次に抱きしめられた若草は、とまどう。
佐次は、人間の嫁を探すと言っていた。
「若草。好きだ」
佐次にそう言われて、若草がそれを嬉しく思わない訳がなかった。
若草は、そのまま佐門に連れ去られてしまった。
「連れ去られた直後の詳しい話は聞いてくれるな。佐門の妖魔の国の家から、命からがら逃げてきた若草は、妖狐の里で胎の子を育てた。しかし、な。命からがら逃げて来た身だ。若草の身は出産に耐えられなかった」
だから、だから佐次の所には、来なかったのか……。
佐次の心に、最後に見た若草の笑顔が浮かぶ。どうして、もっと優しい言葉をかけてやらなかったのか。どうしては、虚しく後悔ばかりを振り積もらせる。
「では、その連れている子は……」
「ああ、若草の子だ」
これが、佐門と若草の子……。静かに眠る子は、確かに若草に似ている。
「若草の、願いだったから。子どもをお前に見せて、自分の最期を伝えるようにと。言葉も預かっている。『ごめん、佐次』だそうだ」
黄金は、
「用件はそれだけだ。子は、妖狐が育てる」
そう言って、河童と子どもを連れて足早に去ってしまった。
若草を失って、佐次の心に浮かんだのは、佐門への怒り。
佐門への復讐だけだった。
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