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その後の2人
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出会った日から由愛は淳のお迎え付きでマンションへ通っている。
不眠症は治らず、まだあの悪夢を見る。
トラウマになっているようだった。
自分にできる事は夢魔として彼の夢を食べることくらいだ。
それが最近もどかしく感じていた。
あれは現実に起こったことなのだろう。
母親から受けた暴力の傷跡はなかなか消えない・・・。
癒すことが出来ないことが腹立たしいとさえ感じていた。
「由愛の両親は良い両親だな」
「・・・うん」
「もうわかっていると思うが・・・俺の母親は俺を虐待していた」
「・・・」
珍しく淳が自分の話を始めた。
あまり聞いていて心地の好い話題ではないがせっかく淳のことを知るチャンスだ。
「母が死んでもう何年も経っているのに夢に見るんだ・・・」
淳は俯いて話している。
今、一体どんな表情をしているのだろうと思い由愛は淳の顔を覗き込んだ。
淳は無表情だった。
「俺はー・・・母が死んだと聞いた時、安堵したんだ」
衝撃の一言だった。
「でも・・・それは当たり前の感情なんじゃないのではないでしょうか?」
(きっと私も同じ気持ちを抱くわ)
「そうか」
短くそう言った淳がとても切なくて思わず抱きしめていた。
「あっ、ごめんなさい・・・」
淳は由愛の背へ手を伸ばし抱きしめた。
「俺は本当に由愛に相応しいのだろうかと最近考えている」
それを聞いた由愛はバシッと淳の頭を叩いた。
「相応しいかどうかは私が決めます!!」
「じゃあ、今この場で告白の返事をくれないか?」
一瞬怯んだが、淳が本気なことが伝わってきたので本音を言うことにした。
「私は…多分、淳の事が好きなんだと思う」
卑屈な部分も含めて・・・愛おしいと感じた。
人を好きになったことがないのでこれが恋なのかはわからないが本音を伝えた。
すると抱きしめる腕に力が籠められた。
(苦しい・・・)
「ありがとう・・・由愛は優しいから俺を放っておけないんじゃないのか?」
「違うわ!私は誰にでも優しいわけではないし・・・淳さんだから放っておけないの・・・」
そう言うとベッドに押し倒された。
「こんな俺でもいいのか?」
「そんな淳さんだから良いんです」
そう言うとキスされてしまった。
いつものように軽く触れるだけのキス。
でも甘く痺れる感覚がある。
由愛は淳からキスされることが好きになっていた。
これが恋じゃなければ何というのか・・・。
本当は分かっている。
自分が淳に惚れていることくらい。
でも、なかなか切り出せない。
素直になれない。
言葉にできないから行動に表してみた。
由愛からキスをしてみた。
すると淳の顔は真っ赤に染まった。
「・・・私たち出会いは最悪だったけど・・・今は違うのよ?」
そう言うと淳は頷いた。
由愛は考えた。
期限まであと数ヶ月。
その間に言えるだろうか?
淳を好きになったと・・・。
不眠症は治らず、まだあの悪夢を見る。
トラウマになっているようだった。
自分にできる事は夢魔として彼の夢を食べることくらいだ。
それが最近もどかしく感じていた。
あれは現実に起こったことなのだろう。
母親から受けた暴力の傷跡はなかなか消えない・・・。
癒すことが出来ないことが腹立たしいとさえ感じていた。
「由愛の両親は良い両親だな」
「・・・うん」
「もうわかっていると思うが・・・俺の母親は俺を虐待していた」
「・・・」
珍しく淳が自分の話を始めた。
あまり聞いていて心地の好い話題ではないがせっかく淳のことを知るチャンスだ。
「母が死んでもう何年も経っているのに夢に見るんだ・・・」
淳は俯いて話している。
今、一体どんな表情をしているのだろうと思い由愛は淳の顔を覗き込んだ。
淳は無表情だった。
「俺はー・・・母が死んだと聞いた時、安堵したんだ」
衝撃の一言だった。
「でも・・・それは当たり前の感情なんじゃないのではないでしょうか?」
(きっと私も同じ気持ちを抱くわ)
「そうか」
短くそう言った淳がとても切なくて思わず抱きしめていた。
「あっ、ごめんなさい・・・」
淳は由愛の背へ手を伸ばし抱きしめた。
「俺は本当に由愛に相応しいのだろうかと最近考えている」
それを聞いた由愛はバシッと淳の頭を叩いた。
「相応しいかどうかは私が決めます!!」
「じゃあ、今この場で告白の返事をくれないか?」
一瞬怯んだが、淳が本気なことが伝わってきたので本音を言うことにした。
「私は…多分、淳の事が好きなんだと思う」
卑屈な部分も含めて・・・愛おしいと感じた。
人を好きになったことがないのでこれが恋なのかはわからないが本音を伝えた。
すると抱きしめる腕に力が籠められた。
(苦しい・・・)
「ありがとう・・・由愛は優しいから俺を放っておけないんじゃないのか?」
「違うわ!私は誰にでも優しいわけではないし・・・淳さんだから放っておけないの・・・」
そう言うとベッドに押し倒された。
「こんな俺でもいいのか?」
「そんな淳さんだから良いんです」
そう言うとキスされてしまった。
いつものように軽く触れるだけのキス。
でも甘く痺れる感覚がある。
由愛は淳からキスされることが好きになっていた。
これが恋じゃなければ何というのか・・・。
本当は分かっている。
自分が淳に惚れていることくらい。
でも、なかなか切り出せない。
素直になれない。
言葉にできないから行動に表してみた。
由愛からキスをしてみた。
すると淳の顔は真っ赤に染まった。
「・・・私たち出会いは最悪だったけど・・・今は違うのよ?」
そう言うと淳は頷いた。
由愛は考えた。
期限まであと数ヶ月。
その間に言えるだろうか?
淳を好きになったと・・・。
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