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翌日
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(あー・・・頭がズキズキする・・・)
見慣れぬ天井を見ながらそんな事をぼんやり思っていると、真由子が水を持ってきてくれた。
「真由子ちゃん?お父さんは?」
「今日は早出だからってもう会社に行きました」
「えぇ!?起こしてくれたら良かったのに!!」
真由子の父親の見送りさえできなかった。
「お父さんからの伝言が・・・」
ごくりと息をのんだ。
「”また、遊びに来なさい。今度は普段着で”っと伝えてくれと言っていました」
はー・・・良かった。もう怒ってなさそうで・・・。
「今、何時だい?僕も店を開けないと」
「今は6時です。朝ごはん作ったので一緒に食べましょう」
僕は布団を片付けるのを手伝った。
それから真由子と一緒に朝食を食べた。
ロールパンとハムエッグだった。
「お客様用の歯ブラシ置いてありますから使ってください。これタオルです」
(新妻みたいだな・・・今日も可愛い)
「ありがとう」
そう言いながらタオルを受け取った。
身支度を整えて真由子と一緒に家を出た。
僕は勇気を出して自分から真由子の手を握った。
年甲斐もなく手を繋ぎたいと思ってしまった。
(誰だって好きな人と手くらい繋ぎたいものだろう)
2人の手は緊張して少し汗ばんでいた。
祐樹は無性に真由子に触れたくなったのだ。
こんなにすっきりした気分は3年ぶりだ。
まるで霧が晴れたような感覚だった。
「真由子ちゃん今日は何時まで働けるの?」
「今日は父の帰りが遅いのでラストまで大丈夫です」
「学校は?」
「・・・今日はずる休みします」
何処か調子が悪いのだろうかと思い訊ねた。
「どうしてずる休みなんて」
「今日こそ私が本気だと知ってもらいたくて」
その言葉を聞き、あの時の真由子を思い出し真っ赤になった。
「駄目です、学校へ行きなさい」
「・・・分かりました。教材を取ってきます」
(そうか、僕はもう真由子を抱いてもいいのか)
真由子はストレートすぎるので心臓に悪い。
今も僕は赤面しドキドキしている。
真由子はすぐに家から出てきた。
「朝の講義に出たらすぐに”プリンセス”になりに行きますね」
「ああ、わかったよ。変な人には気を付けるんだよ?」
(大学まで送って行ってあげたいがもうすぐOPENの時間だ)
「はい、わかりました。あと車とかバイクにも気を付けて」
「もう!小さい子供じゃないんですから」
「だから心配しているんだよ」
彼女は一度誘拐されかけている。
もうそんな事がないとは限らない。
「ありがとうございます。私、こっちなので行きますね」
「店で待ってる」
真由子は大胆にもキスをしてきた。
軽く触れるだけのキス。
周りの人達が見ている・・・。
僕は恥ずかしくなり店へ急いだ。
店の前に1人の男性が立っていた。
「お客様でしょうか?すぐにお店を開けますね」
僕はその男を店へ招き入れ、おしぼりとタオルを持って行った。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「このモーニングを1つとコーヒーをお願いします」
男は注文してきた。
「ところで今日は”プリンセス”は?」
「”プリンセス”は午後から来ます」
男は普通の優男風だった。
彼も”プリンセス”目当ての客のようだ。
”プリンセス”の評判はすこぶるいい。
良すぎるくらいだ。最近では遠方から彼女を見に来る客も増えている。
僕は厨房に行きモーニングのメニューを作りコーヒーを淹れ男に運んだ。
「ここの料理は味が落ちたな」
「!?もしかして父の常連の方ですか?」
男はホットサンドを食べながら頷いた。
「申し訳ありません。同じ味を出すよう努力したんですが」
「言い訳は結構です」
正直、ぶん殴りたい気持ちになった。
僕は気を取り直し、今日の仕込みに励んだ。
父の味を出すのは難しいがいつかは・・・と思っていた。
さっきの一言はショックだった。
男は文句を付けたくせに全部平らげていた。
「すみません、お会計いいですか?」
そう言われ僕は作業を中断し、会計をしに行った。
男はこう言った。
「午後また来ます」
「はい、お待ちしております」
カランっと音を立て戸が閉まった。
やはり”プリンセス”不在だとこんなものなのか・・・。
僕は落ち込みながら仕込みに戻った。
見慣れぬ天井を見ながらそんな事をぼんやり思っていると、真由子が水を持ってきてくれた。
「真由子ちゃん?お父さんは?」
「今日は早出だからってもう会社に行きました」
「えぇ!?起こしてくれたら良かったのに!!」
真由子の父親の見送りさえできなかった。
「お父さんからの伝言が・・・」
ごくりと息をのんだ。
「”また、遊びに来なさい。今度は普段着で”っと伝えてくれと言っていました」
はー・・・良かった。もう怒ってなさそうで・・・。
「今、何時だい?僕も店を開けないと」
「今は6時です。朝ごはん作ったので一緒に食べましょう」
僕は布団を片付けるのを手伝った。
それから真由子と一緒に朝食を食べた。
ロールパンとハムエッグだった。
「お客様用の歯ブラシ置いてありますから使ってください。これタオルです」
(新妻みたいだな・・・今日も可愛い)
「ありがとう」
そう言いながらタオルを受け取った。
身支度を整えて真由子と一緒に家を出た。
僕は勇気を出して自分から真由子の手を握った。
年甲斐もなく手を繋ぎたいと思ってしまった。
(誰だって好きな人と手くらい繋ぎたいものだろう)
2人の手は緊張して少し汗ばんでいた。
祐樹は無性に真由子に触れたくなったのだ。
こんなにすっきりした気分は3年ぶりだ。
まるで霧が晴れたような感覚だった。
「真由子ちゃん今日は何時まで働けるの?」
「今日は父の帰りが遅いのでラストまで大丈夫です」
「学校は?」
「・・・今日はずる休みします」
何処か調子が悪いのだろうかと思い訊ねた。
「どうしてずる休みなんて」
「今日こそ私が本気だと知ってもらいたくて」
その言葉を聞き、あの時の真由子を思い出し真っ赤になった。
「駄目です、学校へ行きなさい」
「・・・分かりました。教材を取ってきます」
(そうか、僕はもう真由子を抱いてもいいのか)
真由子はストレートすぎるので心臓に悪い。
今も僕は赤面しドキドキしている。
真由子はすぐに家から出てきた。
「朝の講義に出たらすぐに”プリンセス”になりに行きますね」
「ああ、わかったよ。変な人には気を付けるんだよ?」
(大学まで送って行ってあげたいがもうすぐOPENの時間だ)
「はい、わかりました。あと車とかバイクにも気を付けて」
「もう!小さい子供じゃないんですから」
「だから心配しているんだよ」
彼女は一度誘拐されかけている。
もうそんな事がないとは限らない。
「ありがとうございます。私、こっちなので行きますね」
「店で待ってる」
真由子は大胆にもキスをしてきた。
軽く触れるだけのキス。
周りの人達が見ている・・・。
僕は恥ずかしくなり店へ急いだ。
店の前に1人の男性が立っていた。
「お客様でしょうか?すぐにお店を開けますね」
僕はその男を店へ招き入れ、おしぼりとタオルを持って行った。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「このモーニングを1つとコーヒーをお願いします」
男は注文してきた。
「ところで今日は”プリンセス”は?」
「”プリンセス”は午後から来ます」
男は普通の優男風だった。
彼も”プリンセス”目当ての客のようだ。
”プリンセス”の評判はすこぶるいい。
良すぎるくらいだ。最近では遠方から彼女を見に来る客も増えている。
僕は厨房に行きモーニングのメニューを作りコーヒーを淹れ男に運んだ。
「ここの料理は味が落ちたな」
「!?もしかして父の常連の方ですか?」
男はホットサンドを食べながら頷いた。
「申し訳ありません。同じ味を出すよう努力したんですが」
「言い訳は結構です」
正直、ぶん殴りたい気持ちになった。
僕は気を取り直し、今日の仕込みに励んだ。
父の味を出すのは難しいがいつかは・・・と思っていた。
さっきの一言はショックだった。
男は文句を付けたくせに全部平らげていた。
「すみません、お会計いいですか?」
そう言われ僕は作業を中断し、会計をしに行った。
男はこう言った。
「午後また来ます」
「はい、お待ちしております」
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やはり”プリンセス”不在だとこんなものなのか・・・。
僕は落ち込みながら仕込みに戻った。
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