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ようやくフォンの発情期が終わり、いつもの生活へ戻った。
フォンの発情期中、優也は昼まで動けず公務を休みがちになっていた。
そして昼から公務にいそしみ、夜は何度もフォンが満足するまで彼女を抱き続けた。
発情期が終わった今、朝早く起き公務が出来るようになった。
「この2週間お疲れ様でした結城様。さ、溜まっている仕事に取り掛かりましょう」
紀藤がそう言いずるずると引きずるように公務をひたすらさせられた。

「悠里さんやっと発情期が終わりました!」
「そうですか、よかったですね。御子ができていると良いですね」
悠里にそう言われフォンは自分のお腹を触ってみた。
「どうでしょう・・・まだわかりません」
「そうですね。気が早い話かもしれませんね」
ふふふふっと悠里は笑う。
「悠里さん、人間と人獣の子供って・・・どちらが産まれてくるんでしょう」
悠里はお茶を入れていた手を止めた。
「フォン様、どちらでもいいではありませんか」
「でも、王族と貴族の方たちは・・・」
あの時の言葉が思い出される。
王妃であり国母になる自覚があるフォンは不安になる。
「本当にどうして、優也様は私を選んでしまったのかしら・・・」
「・・・一目惚れだそうです」
悠里は紀藤に話を聞いて優也がフォンに一目惚れした事を話した。
「・・・」
フォンは目が点になっている。
「ひとめぼれ?私に!?そんなことあるはずないです」
「何故そう思うんですか?」
「だって私はその時奴隷でした。・・・同情とかではなくて本当に一目惚れなんでしょうか?」
お茶をフォンに差し出しにっこり微笑んで悠里は言った。
「それは、優也王に確認された方がいいでしょうね」
「・・・そうですね」
「フォン様は優也王のことをどう思っていらっしゃるんですか?」
「え?」
「優也王は見るからにフォン様を溺愛なさっています。でも、フォン様はどうなんですか?」
突然問われフォンは戸惑った。
「私は・・・好きだと思います」
悠里は暫く考えてもう一度質問してきた。
「愛してはいらっしゃらないんですか?」
「私は・・・愛というものがよくわかりません。そういう環境で生きてきたので。でも優也様は特別な存在だと思います」
悠里はその答えが聞けて満足しているようだった。
「そういう存在の方を愛しているっというのではないでしょうか?私はフォン様は優也様の事を愛していると思います」
「どうしてそう思うのですか?」
「お二人を見ていたら分かります」
「それではそろそろ優也様がお越しになるころですね」
「はい」
「一度優也様に愛していると言ってみてはいかがですか?きっとお喜びになりますよ」
「・・・」
「それでは失礼いたします」
そう言うと悠里は部屋から出て行った。

「”愛している”か・・・もし言ったら優也様喜んでくれるかな?」
最近優也様といると胸が締め付けられるような気持ちになる。そして心が温かくなるのを感じる。
これが愛というものなのだろうか・・・。
優也様とずっと一緒にいたいとも願ってしまっている。
「貪欲になったものね・・・」
フォンはこの世界に来て変わった。
怯えることもなくなり、前向きに物事を考えられるようにもなった。
それもすべて優也様のおかげだとフォンは思っている。

夜になると優也が部屋へやってきた。
「今日はうまい菓子を持て来たぞ。明日にでも食べるといい」
「わぁ、美味しそうです!ありがとうございます」
優也は菓子を台の上に置いた。
そして、フォンのいるベッドまでゆっくり歩いてきた。
するとフォンはいきなり優也に抱きついてきた。
優也はベッドへ押し倒される形となった。
「どうした?珍しいな、フォンの方からこんなことするだなんて」
「私、優也様の事を愛してしまったようです」
「!」
優也は突然の告白に顔を赤く染めにやけそうになるのを必死でこらえるために手で口元を覆った。
「今日、悠里さんに愛について相談してみたんです。そしたらこの感情が愛だと仰ってくれて」
「・・・」
「優也様は私の特別な方です、優也様のことを思うと心が温かくなります」
「フォン・・・ありがとう」
「優也様、愛しています」
「俺も、フォンを愛してる」
二人はキスを交わしあった。
優也の上にフォンは乗ったままだった。
まるでフォンからキスしているみたいだった。
「・・・フォンは相変わらず軽いな」
「あ、すみません乗ったままでした」
「いいよ。お前が乗るくらい軽いものだ」
そう言って優也は笑った。
この日初めて二人は愛を言葉で交わしあった。

「今日悠里さんに聞いたんですが、優也様が私に一目惚れしたって本当なんですか?」
「!!」
(悠里め、余計なことを・・・)
フォンはじっと優也を見つめ答えを待っている。
尻尾がぱたぱたと動いていた。
「はー・・・そうだ、俺はお前に一目惚れしてこの世界に連れてきたんだ」
「一体どこに・・・?」
「わからん、だが惹かれたんだ」
耳まで真っ赤にしてそう答えた。
甘酸っぱい空気が部屋に漂う。
「・・・私を好きになってくれて、ありがとうございます」
「お前は素直だからなんだか調子が狂うな・・・」










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