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新たな展開
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杏は昼食もいつものように博文と屋上で食べた。
初めは警戒していた杏も博文が特に自分に手を出してこないとわかると安心した。
(良かった・・・何も変わらない)
杏は博文と過ごす時間をいつの間にか受け入れていた。
たまに博文から”好きだ”っと言われるがどうしていいのかわからない。
今日の放課後また父親が来たらどうしようという不安感は強くある。
でも博文が守ってくれる・・・。
出来れば怪我はしないでほしいけれども父の暴力は身をもって体験しているので痣くらいは出来るだろう。
流血沙汰は避けたい。
父は何故ああなってしまったのか・・・。
昔はもう少し優しかった気がする。
・・・人は変わる。
(私も今のままではいられない。変わらなければ!)
杏はそう決意した。
博文は杏と一緒にいると安心する。
杏には申し訳ないが告白出来て良かったと思っている。
好きな人を守りながらの登下校。
いつ現れるか分からない杏の父親。
しかし、また殴られようとも杏を守れればそれでいい。
だが、あの父親の目は異常者のものだった。
刃物で立ち向かってこられると太刀打ちできない。
多分杏を庇い刺されるだろう。
それくらいの覚悟は博文の中にあった。
杏は強いと思う。
女子高へ逃げることもできたのに・・・こうして共学にいる。
登下校は想いを伝える前に比べると少し距離が出来た気がするが人は少しずつ変わっていくものだから。
本当は父親の件が片付いてから告白したかった。
でもあのままだとまだ”弟”のことで心を占められてしまう。
それが嫌で想いを伝えた。
そうすれば”弟”の事を少しは忘れてくれると思った。
家で両親の前では仲の良い姉弟を演じた。
両親には幸せになってほしかった。
例え偽りでも・・・。
最近では直美さんの事を母さんと呼べるようになってきた。
直美さんはとても嬉しそうな顔で博文を抱きしめた。
(ああ・・・母親っていいもんだな)
っと思いながら博文も抱き返した。
「本当の家族になったみたい」
そう言い直美さんは涙を流し始めた。
博文もそう感じていた。
一瞬実の母を思い出して泣きそうになった。
そんな幸せな日々は長くは続かなかった。
存在を忘れかけた頃あの男・・・杏の父親が博文の前に現れた。
丁度、博文が校門で杏を待っている時だった。
「・・・あんた・・・おかしいよ」
「お前に何が分かる!!」
「分かるわけないだろう!?実の娘と関係を持ちたいなんて」
そう言うと懐からナイフを取り出し博文めがけて振り下ろしてきた。
間一髪のところで何とか、かわしたが制服を斬られてしまった。
(まだ来るなよ・・・杏・・・)
「杏を出せ!!」
「連れ帰って何をする気だよ。また暴力で支配する気か!?」
「自分の娘をどうしようと親の勝手だろう!お前には関係ない」
「そんな奴と杏を会わせることはできない!!」
そう言いながらナイフを持っている杏の父親ともみあいになった。
「お前邪魔だな・・・」
ぼそっと杏の父親は呟き、博文の腹にナイフを突き立てた。
「うっ!?」
一瞬鋭い痛みが走りその後鈍い痛みに変わった。
博文はその場に倒れ込んだ。
ピピーッと見回りの警察官が笛を吹きながらやってきた。
血を流し倒れ込んでいる博文を見た警察官は杏の父親を傷害罪と殺人未遂の罪で現行犯逮捕した。
暫くすると救急車が来た。
今の博文にはサイレンの音も凶器だ。
(傷に響く・・・)
杏の姿も見えた。
今にも泣きそうな顔をしていた。
博文の意識はそこで途絶えた。
初めは警戒していた杏も博文が特に自分に手を出してこないとわかると安心した。
(良かった・・・何も変わらない)
杏は博文と過ごす時間をいつの間にか受け入れていた。
たまに博文から”好きだ”っと言われるがどうしていいのかわからない。
今日の放課後また父親が来たらどうしようという不安感は強くある。
でも博文が守ってくれる・・・。
出来れば怪我はしないでほしいけれども父の暴力は身をもって体験しているので痣くらいは出来るだろう。
流血沙汰は避けたい。
父は何故ああなってしまったのか・・・。
昔はもう少し優しかった気がする。
・・・人は変わる。
(私も今のままではいられない。変わらなければ!)
杏はそう決意した。
博文は杏と一緒にいると安心する。
杏には申し訳ないが告白出来て良かったと思っている。
好きな人を守りながらの登下校。
いつ現れるか分からない杏の父親。
しかし、また殴られようとも杏を守れればそれでいい。
だが、あの父親の目は異常者のものだった。
刃物で立ち向かってこられると太刀打ちできない。
多分杏を庇い刺されるだろう。
それくらいの覚悟は博文の中にあった。
杏は強いと思う。
女子高へ逃げることもできたのに・・・こうして共学にいる。
登下校は想いを伝える前に比べると少し距離が出来た気がするが人は少しずつ変わっていくものだから。
本当は父親の件が片付いてから告白したかった。
でもあのままだとまだ”弟”のことで心を占められてしまう。
それが嫌で想いを伝えた。
そうすれば”弟”の事を少しは忘れてくれると思った。
家で両親の前では仲の良い姉弟を演じた。
両親には幸せになってほしかった。
例え偽りでも・・・。
最近では直美さんの事を母さんと呼べるようになってきた。
直美さんはとても嬉しそうな顔で博文を抱きしめた。
(ああ・・・母親っていいもんだな)
っと思いながら博文も抱き返した。
「本当の家族になったみたい」
そう言い直美さんは涙を流し始めた。
博文もそう感じていた。
一瞬実の母を思い出して泣きそうになった。
そんな幸せな日々は長くは続かなかった。
存在を忘れかけた頃あの男・・・杏の父親が博文の前に現れた。
丁度、博文が校門で杏を待っている時だった。
「・・・あんた・・・おかしいよ」
「お前に何が分かる!!」
「分かるわけないだろう!?実の娘と関係を持ちたいなんて」
そう言うと懐からナイフを取り出し博文めがけて振り下ろしてきた。
間一髪のところで何とか、かわしたが制服を斬られてしまった。
(まだ来るなよ・・・杏・・・)
「杏を出せ!!」
「連れ帰って何をする気だよ。また暴力で支配する気か!?」
「自分の娘をどうしようと親の勝手だろう!お前には関係ない」
「そんな奴と杏を会わせることはできない!!」
そう言いながらナイフを持っている杏の父親ともみあいになった。
「お前邪魔だな・・・」
ぼそっと杏の父親は呟き、博文の腹にナイフを突き立てた。
「うっ!?」
一瞬鋭い痛みが走りその後鈍い痛みに変わった。
博文はその場に倒れ込んだ。
ピピーッと見回りの警察官が笛を吹きながらやってきた。
血を流し倒れ込んでいる博文を見た警察官は杏の父親を傷害罪と殺人未遂の罪で現行犯逮捕した。
暫くすると救急車が来た。
今の博文にはサイレンの音も凶器だ。
(傷に響く・・・)
杏の姿も見えた。
今にも泣きそうな顔をしていた。
博文の意識はそこで途絶えた。
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