6 / 14
下校時間
しおりを挟む
下校時間になり2年生の教室へと博文は足を運んだ。
2年生はまだホームルーム中だった。
「では、今日はここまで」
「「起立、礼。ありがとうございました!」」
一同は教師に挨拶した後、杏の元へ集まった。
どうやら転校生の杏に興味があるらしかった。
しかし杏は家とは違い消極的な感じだった。
特に男子を怖がっているように見えた。
「・・・姉さん!!帰ろう!」
「博文君!」
ここで杏と呼ぶと変な勘繰りをされてしまう恐れがあったのでわざと”姉さん”と強調した。
杏は鞄を持っていそいそと同級生に挨拶をしつつ教室から出てきた。
「杏って男嫌い?」
杏の肩がビクッと揺れた。
これは肯定ととっていい。
「俺は怖くないのか?」
「・・・だって博文君は弟だもん」
(・・・弟ね・・・)
男として見られていないという事かと納得させられた瞬間だった。
少し苛立ちを覚えた。
意識させたらどうなるんだろうと・・・。
トンっと壁際に杏を追いやった。
「これでも意識しない?」
見る見る杏の顔に赤みがさしていくのが分かった。
「何だか怖いよ、博文君」
「冗談だよ。杏」
本当はあのままキスしたかった。
だが、あまり意識されすぎて怖がられても困る。
「何で男嫌いなのか聞いていい?」
「・・・ごめん。まだ言えない」
(なんでだよ。そんなに信用無いのかよ)
「そのうち話してくれるのか?」
「・・・うん、まだ話す勇気がなくて」
(信用がないわけではないのか・・・)
「怖がらせて悪かった」
「ううん。大丈夫だよ」
杏はそう答えたが顔色が真っ青だった。
「本当に大丈夫か?」
「ごめんね、気を使わせてしまって」
それでも無理に微笑む杏を見て胸が痛んだ。
過去に何があったというのだろう。
「そこの公園で一休みしていかないか?」
「うん、ありがとう」
道を歩いている時に見つけた公園に入り、2人でベンチに座った。
「俺、何か飲み物買ってくる」
そう言い博文は走り出した。
(あんなことするんじゃなかった)
後悔しながら自販機へ向かう途中怪しげな男と目が合った。
(普通じゃない・・・)
一目見てそう思った。
ジュースを買い嫌な予感がして戻ってみるとさっきすれ違った男と杏がもめていた。
「嫌!!来ないで!!」
「父親に向かってそんな口を利くんじゃない!」
(父親・・・杏のか?)
杏はガタガタと震えている。
「お前は俺と一緒に暮らしたほうが幸せなんだ!」
博文は見ていられなくなり、間に割って入った。
「何だお前は」
「俺は山口博文。杏の母親の再婚相手の息子だ」
「お前もそこの娘に誑かされたのか?」
「は?」
「言っていることが分からないんですけど?」
(正気じゃないな・・・)
「もうやめてよ!お父さん!帰って!!」
「そうだ、帰らないと痛い目みるぜ?」
博文は強がった。
実際喧嘩なんかした事ない。
だけどー・・・杏の為なら何だってできる気がした。
「ちっ、今日のところは退いてやる」
そう言って杏の父親は一発腹いせに博文の顔を殴った。
「~っ!」
鈍い痛みが走る。
だが、博文は後ろに杏を庇ったままだった。
2年生はまだホームルーム中だった。
「では、今日はここまで」
「「起立、礼。ありがとうございました!」」
一同は教師に挨拶した後、杏の元へ集まった。
どうやら転校生の杏に興味があるらしかった。
しかし杏は家とは違い消極的な感じだった。
特に男子を怖がっているように見えた。
「・・・姉さん!!帰ろう!」
「博文君!」
ここで杏と呼ぶと変な勘繰りをされてしまう恐れがあったのでわざと”姉さん”と強調した。
杏は鞄を持っていそいそと同級生に挨拶をしつつ教室から出てきた。
「杏って男嫌い?」
杏の肩がビクッと揺れた。
これは肯定ととっていい。
「俺は怖くないのか?」
「・・・だって博文君は弟だもん」
(・・・弟ね・・・)
男として見られていないという事かと納得させられた瞬間だった。
少し苛立ちを覚えた。
意識させたらどうなるんだろうと・・・。
トンっと壁際に杏を追いやった。
「これでも意識しない?」
見る見る杏の顔に赤みがさしていくのが分かった。
「何だか怖いよ、博文君」
「冗談だよ。杏」
本当はあのままキスしたかった。
だが、あまり意識されすぎて怖がられても困る。
「何で男嫌いなのか聞いていい?」
「・・・ごめん。まだ言えない」
(なんでだよ。そんなに信用無いのかよ)
「そのうち話してくれるのか?」
「・・・うん、まだ話す勇気がなくて」
(信用がないわけではないのか・・・)
「怖がらせて悪かった」
「ううん。大丈夫だよ」
杏はそう答えたが顔色が真っ青だった。
「本当に大丈夫か?」
「ごめんね、気を使わせてしまって」
それでも無理に微笑む杏を見て胸が痛んだ。
過去に何があったというのだろう。
「そこの公園で一休みしていかないか?」
「うん、ありがとう」
道を歩いている時に見つけた公園に入り、2人でベンチに座った。
「俺、何か飲み物買ってくる」
そう言い博文は走り出した。
(あんなことするんじゃなかった)
後悔しながら自販機へ向かう途中怪しげな男と目が合った。
(普通じゃない・・・)
一目見てそう思った。
ジュースを買い嫌な予感がして戻ってみるとさっきすれ違った男と杏がもめていた。
「嫌!!来ないで!!」
「父親に向かってそんな口を利くんじゃない!」
(父親・・・杏のか?)
杏はガタガタと震えている。
「お前は俺と一緒に暮らしたほうが幸せなんだ!」
博文は見ていられなくなり、間に割って入った。
「何だお前は」
「俺は山口博文。杏の母親の再婚相手の息子だ」
「お前もそこの娘に誑かされたのか?」
「は?」
「言っていることが分からないんですけど?」
(正気じゃないな・・・)
「もうやめてよ!お父さん!帰って!!」
「そうだ、帰らないと痛い目みるぜ?」
博文は強がった。
実際喧嘩なんかした事ない。
だけどー・・・杏の為なら何だってできる気がした。
「ちっ、今日のところは退いてやる」
そう言って杏の父親は一発腹いせに博文の顔を殴った。
「~っ!」
鈍い痛みが走る。
だが、博文は後ろに杏を庇ったままだった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる