義姉と恋がしたいがしてはいけない

えりー

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転校生

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杏は博文と一緒の高校に通うことになった。
転校初日ということなので博文と登下校することになった。
「ごめんね博文君!!寝坊しちゃった」
「いいよ、遅刻してもそんなに怒られないぜ?」
そう言って励まそうとすると杏が怒った。
「駄目だよ!!ちゃんと時間通りに行動しなきゃ!」
寝坊した本人が言っても説得力に欠ける。
「じゃあ、寝坊するなよな・・・」
「・・・本当にごめんね!」
両手を合わせ上目遣いで謝ってきた。
(・・・これはなかなか卑怯だ・・・)
「走れば間に合う」
「え!?走るの!?」
「時間通りに行動するんだろう?」
博文は意地の悪い顔をして見せた。
思ったより杏は足が遅く走り出すと2人の距離が広がっていく。
博文は立ち止まり杏が自分のところに来るのを待った。
杏がようやく辿り着くと博文は杏の手を握り走り出した。
半ば引きずられるように杏は走っている。
予鈴の音が聞こえずんずんと杏を引きずるようにしながら博文は歩みを進めた。
門はまだ開いていた。
滑り込みセーフと言ったところだ。
「はぁはぁはぁ・・・」
「・・・あ、杏、大丈夫か?」
(まさか、あんなに足が遅いとは思わなかった)
「博文君は足が速いのね・・・」
汗だくになりながら杏は顔を上げた。
「本当にこんなんで転校初日やっていけるのか?」
「むっ、そんな意地悪言わないで!」
意地悪を言ったつもりはなかったが彼女からすると意地悪に聞こえたらしい。
(拗ねた顔も可愛い!!)
そんなやり取りをしていると1人の教師がやってきた。
「お前らもう予鈴は鳴っているぞ!早く教室に入れ」
「はーい」
博文は適当に返事を返した。
「お、見かけない顔だな。もしかして転校生か?」
「はい。今日からお世話になります」
そう言いながら杏は軽く頭を下げた。
「山口博文は早く教室へ行け。転校生は俺が教室まで案内する」
「はい」
博文は教師に杏を託し、教室へ行った。

自分の教室では2年生の転校生の話で盛り上がっていた。
「ねぇねぇ、転校生って博文君のお姉さんって本当?」
噂というものは怖い。
一度広がると何処までも広がっていく。
「そうだけど」
「あの、お父さんの再婚相手の娘さんって本当?」
(一体誰情報だ!!)
何故、皆詳しく知っているのか・・・。
(そもそも再婚したことなんて誰にも言っていないはずだ)
「ああ、俺の義理の姉だ」
素っ気なく答えると少しは静かになった。
触れて欲しくないという事を察してくれたのだろう。
やはり家庭の事を学校で話されるのは面白くないし不快に感じた。

2年の教室では大きな歓声が上がった。
「すげー可愛い!!」
「お人形みたい」
「美人!!」
それぞれ口々に賞賛の声を上げている。
「うるさいぞ!お前ら!!」
「えっと、山口杏といいます。宜しくお願いします」
「山口さん!彼氏とかいる?俺立候補したい」
「あ、俺も!!」
杏はこの手の話題が苦手で真っ赤になった。
「赤くなるところも可愛いー!!」
そこに助け舟を教師が出した。
「ほらほら!!うるさいぞ!!山口の席は左の列の一番後ろな」
「はい」
杏は教師に感謝しながら席に着いた。
席に着くと隣の席の女子が話かけてきた。
「教科書、まだ届いてないでしょ?」
「え?うん」
「一緒に見よう」
そう言い机をくっつけ教科書を真ん中に置いてくれた。
午前中の授業は滞りなく終わり、杏はほっと一息ついた。
昼食は博文と約束していたので1年の教室までやってきた。
「博文くーん」っと博文を呼ぶと博文が急いでやってきた。
1年の教室は騒然となった。
「お昼一緒に食べる約束でしょう?」
「ああ・・・」
2人のやり取りを面白そうにクラスメイト達が見ている。
「場所を変えよう」
そう言いまた杏の手を引き歩き出した。
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