悪魔召喚～呼び出したら淫魔でした～

魂の食事

魂の食事の場所は病院になった。
病院だったら死んだ後の魂もこれから死ぬ魂も手に入る。
久しぶりの食事だ。
食べ過ぎないようにしなければいけない。
あまり一気に食べると怪しまれる。
死神たちともめるのは面倒くさい。

「美味い」
久しぶりに魂を口に含んだ。
つい声が口からもれた。
「早く巴の元へ戻らなければな」
（きっと私の事を待っている）
そう思うとレオンは嬉しくなった。
レオンは自分ではまだ気づいていないが巴に必要とされていることをどこかで喜んでいた。
「しかし今朝の女は腹立たしかったな」
（巴が止めなければ灰にしてやったものを）
あの女は巴の事を厄介者扱いしていた。
あの女からは悪意を感じた。
それなのに何故巴は庇うのだろう。
巴の心がよくわからない。
巴はあんな扱いを受けて悔しくないのだろうか。
どんな事情があるにしてもあれは酷い。
（私はどうして巴の事をこんなに熱心に考えているのだろうか）
分からない。
巴は、小柄で綺麗な長い黒髪をしている。
そして大きな黒い瞳。
顔は整っているのに表情は乏しい。
少しでも笑えば可愛らしいのに・・・。
今朝笑いかけられたことを思い出しそう思った。
彼女を見ていると守ってやりたくなる。
しかし、彼女は手を出すなという。
一体どうやって守ってやればいいのだろうか。
そう思いながら空を飛んでいると学校という所に辿り着いた。
色んな教室を覗きようやく巴を見つけた。
今は昼休みのようだ。
だが、巴は1人きりだった。
空き教室に1人でいるところを見つけた。
「巴、どうしてこんなところに1人でいるんだ？」
「教室は居づらいから」
そう短く返事が返ってきた。
巴の手には切り裂かれた体操服が握られていた。
「それ、お前の服か？」
「そうです。酷いでしょう？」
巴の表情はない。
「誰にされた！！？」
「レオン！？」
「私も分からないんです」
「分からない？」
「いつもの事ですから気にしないでください」
巴はレオンに抱きついた。
レオンは空を飛んだ。
「レオン！？」
「こんな場所に巴を置いておけない！学校に傷つきに来ているようなものじゃないか」
巴はレオンにより家へ連れ戻された。
レオンは怒っていた。
巴が学校に戻ろうとするとすごい剣幕で怒った。
レオンの怒りはそう収まりそうにない。
巴を力強く抱きしめてくれた。
巴は嬉しくて泣き始めた。
初めて自分を守ってくれる存在に出会えた。
巴はそう思った。