悪魔召喚~呼び出したら淫魔でした~

えりー

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翌朝

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お手伝いさんがやって来た。
レオンは慌てて姿を巴以外の人間に見えないようにした。
「お嬢様、朝ですよ」
「はい」
「私は朝食を作ったらすぐ帰りますので」
「はい」
感情のない声音で巴は返事をする。
何故か巴はレオンの手を握った。
お手伝いさんは朝食の用意をするために台所へ向かった。
「巴、もしかしてあいつの事嫌いなのか?」
「・・・嫌いって程じゃないけど冷たくて少し怖いです」
レオンは指から赤い炎だし巴に見せた。
「レオン、それは?」
「魔界の炎だ。これで焼かれると灰になるまで意識が残ったまま焼かれることになる」
「そんな危険なもの早くしまってください!!」
「さっきの奴、燃やしてやろうかと思ったのに・・・」
レオンの瞳は本気だった。
ぞっとするほど冷たい眼差しだった。
「やめてください、私そんなこと望んでいません」
レオンは指から炎を消して、頭をガシガシ掻いた。
レオンは巴の為にしてやろうと思っただけだったのだが全力で拒否られた。
「だが、あいつの事気に入らないんだろう?」
「・・・あの人にも色々事情があるんだと思います」
そう言い巴はにっこり微笑んだ。
「学校があるので着替えたいので部屋の外にいてください」
「・・・私が居たら恥ずかしいのか?」
「当り前じゃないですか!」
巴はそう言いぐいぐいドアの外へレオンを押しやってドアを閉めた。
そうして巴は制服に着替えた。
ベッドを見て、本当に隣にいてくれたレオンの事を思い心が温かくなった。

レオンは茶色の長い髪に普段は金色だが怒ると赤い瞳をしている。
身長は190cmくらいだろうか。
かなり大きい。
瞳が妖しく煌くときがあるがその時の彼は危険な時だとさっき気がついた。
あの魔導書には契約者には悪魔は優しいと書かれていた。
きっとそのせいでお手伝いさんを敵とみなし焼こうとしたに違いない。
一階に降りるともうお手伝いさんの姿はなかった。
彼女が無事に帰ったことに安堵し、出来立ての食事を口にした。
レオンは黙ってその姿を眺めていた。
ふと目が合った。
「レオンは何を食べるの?」
「人間の魂」
「・・・用意できなくてごめんなさい」
「良い、あとで適当に探して食べてくる」
レオンは人間の魂を食べる。
それしか受け付けない。
「すぐに戻ってきてくれる?」
「ああ、そう言う契約だからな」
その言葉を聞き、巴の胸は少し痛んだ。
(そうだった。レオンは契約に縛られているから私の傍にいてくれるんだった)
巴は少し悲しい気持ちになった。
「・・・魂はどうやって食べるの?」
「そうだな、死にかけている人間を見つけて抜いて食べるかな」
「・・・人殺しは駄目ですからね?」
「・・・善処する・・・」
本当だろうか。
疑わしい所だが彼がそう言うのなら信用するしかないだろう。
食べ終わった食器を洗い片付けて、学校に行く準備を整えた。
「じゃあ、私は先に学校に行きますね」
「あとから必ず行く」
「うん」
そう言って2人は別れた。
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