悪魔召喚~呼び出したら淫魔でした~

えりー

文字の大きさ
上 下
2 / 13

添い寝

しおりを挟む
夜も更けてきた頃、巴は言った。
「そろそろ眠りましょう」
「私は眠らなくても平気だ」
「・・・」
「何だ?」
「一緒に寝ることを命じます」
「なっ」
もちろん契約者には逆らえない。
「お前みたいなガキと一緒に寝ても何も楽しくない」
「?」
巴は小首を傾げた。
言われた意味が分からないようだった。
「眠るのに楽しい、楽しくないがあるのですか?」
純粋な眼差しでそう問われた。
「そんな穢れのない瞳で私を見るな」
レオンは自分が酷く穢れた存在のような気がしてきた。
結局レオンは巴のベッドに一緒に入り添い寝することとなった。
ベッドに入り暫く眠れなかった巴だがようやく眠気が襲ってきた。
眠りに落ちる直前巴は言った。
「レオン、来てくれてありがとう」
「良いから寝ろ」
「・・・」
巴はようやく眠りに落ちた。
契約者がこんな幼い少女だったことがないレオンは扱いに困った。
あまりは通じないようだ。
また重たい溜息を付き自分にしがみついて眠っている巴を見た。
巴は幸せそうにレオンにくっついている。
その姿を見て自嘲気味に笑った。
そして巴の髪を撫でた。
巴はくすぐったそうな仕草をした。
(この家は一体どうなってんだ?)
(こんな子供一人きりにしておかしいだろう)
そう思うと怒りが込み上げてきた。
(両親は海外とやらに行っていると言っていたが子供が心配ではないのだろうか)
悪魔を呼び出すくらい寂しさを抱えていた巴。
暗闇の中を1人きりで彷徨っていたレオン。
状況は違うが孤独は理解できる。
孤独は人を狂わす。
悪魔でも発狂しそうになるというのに。
(こんな幼いのにどんなに不安だっただろう)
レオンは眠気はないが目を閉じた。
そして無意識に巴を抱きしめていた。
頬にキスを落とした。
柔らかい感触が心地よかった。
レオンはもっと巴に触れたくなった。
レオンは人肌に飢えていた自分に気がついた。
これ以上は駄目だと自分に言い聞かせた。
せっかく眠ったのに起こしてしまう。
最後に巴の唇にキスをした。
甘い感覚が心に広がっていくのがわかる。
(ああ、まだ自分にもこんな感情が残っていたのか・・・)
そう思いながら大人しく巴の抱き枕になった。
今の俺は滑稽だろうな。
こんな小娘一人に良いように使われている。
だが、レオンはそんなに悪い気はしなかった。
必要とされていることが嬉しかった。
何百年もの間1人で過ごしてきたからだろうか。
昔の自分からすると考えられないほど穏やかになった。
自分を倒したレンの魔方陣に何かそう言う細工があったのかもしれない。
しかし、穏やかな自分も悪くないと思った。
昔はかなり荒ぶっていたがあの時はあまりいい気分ではなかったように思う。
いつも何かを求めていた。
それが今ではない。
こんなに穏やかな気持ちはどのくらいぶりだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...